語学業界にイノベーションを!4つの問題を解決すれば、もっと圧倒的に語学できる人が増える

正しいやり方で学習量を確保すれば結果は出る

まず、中国語で“使える(会話できる)”ようになるには次の2点が必要であることを確認したい。(前提として語学する人のほぼ全ての人は、“使える”中国語力を身につけたいと仮定)

1.中国語を身につけるための基本トレーニングを知っている(目標設定と学習計画)
2.基本トレーニングを、必要な量、実行・継続している(実行)

これはあらゆる技術体系を習得するための鉄則で、楽器やスポーツについてもまったく同じことが言える。ピアノやテニスを正しい学び方で計画的に習い、一定期間継続できれば誰でもかなりの腕前になる。もちろん世界的なコンテストに入賞したり、国際大会に出場などは才能やより圧倒的な練習が必要だが、近所のイベントでベートーヴェンを演奏したり、テニスで草トーで優勝するくらいは誰でも到達可能といえる。

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中国語で友達といろいろな話題について会話したり、ネットや動画を見て情報収集したり、発信するような水準を目指すにも、この程度の難易度であり、特殊な才能を必要とするものではない。ただ、練習の実行と継続は避けられず、家にピアノがあるだけで弾けるようになったり、テニスラケットがあるから試合に勝てるようになることはない。

一応、上記の1点目を説明しておくと、語学において、王道というものがある。ある第二言語習得研究者は科学的に「音読とシャドーイングが語学のほぼ王道」と控えめに言っているが、実際、「音読」は王道である。

「音読」は正直飽きるし、きつい。でも、音読をしっかり正しいやり方でやれば間違いなく伸びる。外国語を表面的な知識から、“使える”技術にするには身体化が必要だ。第二言語習得の語では「内在化」とも言われる。これ以外にも結果が出るやり方もあるだろうが、最も有力な正しいやり方はこれだ。

ただ、音読やシャドーイングをしなくても“使える”ようになる人もいる。

肝心なのは、

意味行為として沢山の単語や文法を含んだ文を、意味と構造を理解した状態で発話したり聞く

という経験だ。それが確保できていれば他の方法でもいい。

それは「音読」が一番再現しやすいのだが、人によってはアニメを見ながら視覚情報とともに外国語を聴解したり、台詞を真似して意味行為を行って身につける人もいる。

正しいやり方でなく、学習量も足りない

日本人の多くは、中学高校で英語を学んできたのではないか。でも“使える”という人はとても少ない。

なぜか?

それは、やり方が間違っているからだ。

“使える”ようになるための学習、という意味で間違っている。読み書きのための知識は多くの人が理解しているが、その知識を“使える”技術に変えるトレーニングはほとんど行っていない。だから使えないのだ。中学高校で少しはやっていたかもしれないが、その場合、圧倒的に量が足りない。

多くの日本人は、この英語学習を外国語学習をする上の手がかりにしてしまう。つまり、別の外国語(例えば中国語)を学ぶ場合、悪いやリ方で学ぼうとしてしまうのだ。

独学の4つの問題(根本問題)

さて、少し観点を変える。

学習者が新しい領域の学習をする場合の問題は4つある。語学についても同じだ。

1.目標設定と学習計画が分からない

2.学習内容がわからない(教科書や動画をみても分からない)

3.変な癖がつく、誤解

4.モチベーション維持(学習量)

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さきほどから説いている「正しいやり方」がわからないというのが「1」である。独学でやるとこれが根本的な問題となる。沢山学習しても全然進歩しないという泥沼だ。ダメなやリ方で時間を大量に確保しても進歩はほぼない。

しかし、「しっかりと」やるべきことを整理して提示してあげれば解決する。(仮にそれが綺麗事でもいいから)

(しかし、「しっかりと」というのが重要で、既存の市販コンテンツでは十分ではない。市販教材では「知識を技術に変えるトレーニングが不足」&「学習量が圧倒的に不足」の問題があり、そこに無自覚だからだ。ちなみに手前味噌だが、しっかりと作り込んだ中国語学習コンテンツはこちら→「中国語独学完全マップ」https://dokugaku.paochai.jp/)

このような正しい道筋をしっかりと辿れる学習コンテンツがあれば独学の根本的な問題は解決される。つまり、「1」については静的なもので一度作ってしまえばそれで終了だ。

独学の4つの問題(その他3つの問題)

残る2〜4の問題は、動的だ。学習者によって具体的な問題は異なる。語学教師(この呼び方が適切かわからないが)が集中して取り組むべきだ。

2については、学習者に質問し放題の機会を与え、語学教師がつどつど答えていけばいい。(←これが語学教師の仕事1)

そして、3についてはネイティブに評価させ問題を明らかにさせ、その上で共通の母語を持つ語学教師がどう間違っているか説明し、直していく。(←これが語学教師の仕事2)

4については、継続させるため、動機づけのためにいろいろな施策を取る。これは語学教師という名前でよぶ仕事とは少し違うかもしれない。ライザップのパーソナルトレーナーみたいなものだろうか。進捗管理、目標の確認、質問への回答(これは少し2に入るが)、なぜ学ぶかの確認など総合的にサポートする。(←これが語学教師の仕事3)

(ちなみ、一般的なレッスン(授業)では、先生が目の前にいるから集中が保たれるというのも4に入るが、学習しているときの集中は、先生に促されないと集中できないようでは根本的に学習に失敗している。なのでそういう人はそもそも学習しないで、やる気をもって取り組めることをしたほうがいい。)

ということで、語学教師の仕事は、

(1)質問への回答

(2)ネイティブにダメ出しされたところを解説し、処方箋を与える

(3)学習継続のサポート

の3つである。

既存の語学業界と語学教師の決定的な問題

語学サービス(語学コンテンツ、語学学校、語学教師など)の存在意義は、独学の4つの問題を解決することといえる。

1.目標設定と学習計画が分からない

2.学習内容がわからない(教科書や動画をみても分からない)

3.変な癖がつく、誤解

4.モチベーション維持(学習量)

まず、「1」について正しいやり方を踏まえて具体的に道筋を示している学習コンテンツはほぼない。これが業界の問題だ。英語業界では、「英語上達完全マップ」というコンテンツが優れている。しかし、思想的なことが中心で具体性が少し足りず学習者はなかなか一歩を踏み出しにくい。「中国語独学完全マップ」はそこを具体的にして解決している。

学習コンテンツとしてこのようなものがないだけでなく、語学教師もこの正しいやり方を知らなかったり、自覚してない場合もある。これも問題だ。よい学習コンテンツがあれば、この語学教師の問題は解決される。

続いて「2」「3」「4」についてはかなり専門性が求められるが、それぞれを効果的、効率的にプロとしてできる人はどれだけいるだろうか。無自覚に1から4をなんとなしに提供している人が多いのではないか。

しっかりと学習の全体像と独学の4つの問題を理解し、学習者に何が足りないかを考え提供できている人は少ない。まずは、学習の全体像を理解することが重要だ。

語学業界にイノベーションを

私が取り組みたいのは、簡単に言うと「1」を解決する学習コンテンツの開発と、「2」「3」「4」を専門的に提供できる人材の育成と仕組みだ。(「中国語独学完全マップ」で「1」の解決はほぼできている)

「1」のコンテンツが優れていれば「2」はほとんどいらなくなるだろう。また、AI技術など使えば「3」はある程度自動化でき、「4」もより的確なサポートができる。これができればもっと圧倒的に語学できる人が増えることは間違いない。

そうすれば、外国語を学習しだした人がよりスムーズに外国語を身につけられ、国際間の交流が増え、国際ビジネスも盛んになる。社会としては異文化理解や経済成長に繋がる。個人としては、異文化理解力が高まり自分の価値観や世界観を相対化でき、より世界に適応できるようになる。これほど意義のある取り組みはなかなかない。

同じ考えは、外国語学習に限らず、あらゆる技術体系習得の分野に当てはまる。哲学や、政治経済、数学などなど教養と言われるものの多くはそうだ。中長期的にはそちらにも向かっていきたい。


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