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2020年12月のベストトラックス

12月のベストトラックスを振り返ってみます。アルバム単位ではなく「トラック」。曲単位のベストです。先月度は13曲。メタル系は少なめで5曲。日本語の歌が3曲。けっこう落ち着いた系の音が多め、かも。

各曲の解説とアルバムレビューへのリンクです。

1.The Power Of Prayer
ピアノからスタート、ドラムと共にボーカルが入る
音程の上下移動がある、歩いていく、探索する曲
ちょっと浮遊感があるメロディ、夜明け、夕暮れ、なんだろう
NYの町、裏通り、そこに差し込む冬の光
明るい情景なのだが、現実感、生活の息遣いがあるというか
リアリティを感じるポップス
それがつまりロックなのだろうか
なんということのない一つ一つのフレーズが美しい
★★★★★

2.Morning News
ささやくような声からスタート、歌メロはポップで口ずさめる
小人の踊りのようなどこかかわいらしいリズム、それをのぞき込む人間、または巨人が歌っているのだろうか
ささやくような、見守るような歌い方
モーニングニュース、ということは朝の知らせ、何かを伝えているのか
現実感よりはファンタジー感が強い、シンセとギターがユニゾンする
どこかオーソドックスな、オールディーズな名曲の佇まいもある
ビートルズ的、アビーロードのB面あたりを彷彿させるシーンもある
粘り気のあるギターの音、優雅なナウシカの羽虫が腐海を飛ぶようだ
★★★★☆

3.ヨコスカ慕情
軽快で落ち着いたリズム
ボーカルは魅力的な歌謡曲メロディ
頭2曲は脂は抜けているもののダークな質感と昭和の情念が戻ってきていてGood
流れるようなメロディ、コード展開、マイナーからメジャー、しゃれたテンションコードへの展開が見事
こういう昔の歌謡曲とブラジル音楽やラテン的なコードを混ぜるミクスチャー感覚
昔のとがった歌謡曲を今のプロダクションとロックバンドのフォーマットでくみ上げるのがこのバンドの魅力
なんだか最近は名曲を作ろうと力んでいたというか、メロディから奇想天外さがなくなっていた
★★★★☆

4.Echoes
ハンドクラップとエレキサウンド
ビンテージで70年代ソフトロック的なサウンド
浮遊するメロディ、美しい
けだるいボーカルだが熱量はある
リズムが面白い、ズンタタ、ズンタタ
ダサいんだかオシャレなんだか
スパイ映画のテーマのようでもある
★★★★☆

5.Obey
こちらもリードトラック、グルーヴィでヘヴィなリフ
刻みは細かくややオーガニック
音があふれ出してくる
ボーカルはゲストを迎えてダブルボーカル
ヒップホップ的なマシンガンワードのパートあり
バンドは有機的に絡み合っている
メロディが次々と展開する
まさにニューコア的なサウンド
ギター主体だがパワーメタルとは遠い
ルーツとしてはパンクやコアにインダストリアルメタルや90年代以降のグルーヴ系のメタルを感じる
分かりやすいメロディがある
ギターとドラムの絡み合いがリズムを多重に奏でている
★★★★☆

6.Paris
散歩するようなリズム、メロディ
パリ、優雅さを感じる、シャンゼリゼだろうか
エッフェル塔か、凱旋門、行ったことがないのでイメージでしかないが
パリの散歩道、どこか跳ねるようなリズム、シャンソンか
ギターの自然音、弦をこする音、揺れる音、自然なハーモニクス、スライドバーと弦がこすれる音
それらがハーモニーを奏でる、街の喧噪、風の音、車の音、あるいは天気の音か
口笛のようにも聞こえるメインメロディ
スライドギターによるどこかアーシーさ、アメリカンな感じも残っている
最後は揺れるメロディで終わり、旅立ちだろうか
★★★★☆

7.Scars
遠くから響いてくるようなエフェクトがかったスクリーム
そこからバンドサウンドがなだれ込んでくる、手数の多いギターリフ
緊迫感のあるリフとボーカルメロディ、各パートが絡み合う
跳ねるようなリズムだがどっしりしている、ギターも少し跳ねている
躍動感がある、ボーカルもだんだん熱量が上がっていく
ツインギターのリフの絡みが心地よい、ギターフレーズでポリリズムを作るのがこのバンドはうまい
左右のギターの絡みでリズムが多重化していく
ギターソロへ、フレーズに対してリズムまでユニゾンする
バンド全体のサウンドが絡み合い、揺れている
ややオリエンタルなフレーズ、コード進行
コーラスが戻ってくる
楽器隊がリフを奏で、上昇して終曲
★★★★☆

8.O Mundo Gira Sobre Si
爽やかなコードカッティングから、差し込む光のような
朝のイメージ
ベースと共にボーカルが入ってくる、ゆったりとしたリズム
言葉のテンポは小気味が良い
自在に泳ぐようなメロディ、テンションをかけながら展開感もある
シーンの展開感がある、なんだろう、寄せては返す波のような
夏の終わりの海のような、穏やかな寂寥と少し幸福な追憶
これから新しい始まりのような
少し湘南も感じるSE、ラテン
美しいメロディ
★★★★☆

9.Cold Northland
波の音にピアノのメロディが乗る、哀切なメロディ
とはいえそこまで重々しくなくサラッと流れていく
そこからスローなドラムが入ってくる、ヘヴィなリズム
流麗なツインリード、哀切と勇壮が混じったようなメロディ
曲が進みだす、進軍、全体が一丸となり、進軍ラッパが鳴る
なかなか大げさなスタート、管楽器まで入ってユニゾンで吹き鳴らす
ユニゾンの連打の合間にギターやオーケストラがメロディを慣らす、シンフォニック
グロールのボーカルが入ってくる、うめくような声
テンポアップしてアグレッション強めの音像に
歯切れの良い疾走リズムにグロール
からのメロディアスなハイトーン、パワーメタル、これはハロウィン的ではないな
独自性のある、裏声まで使うボーカルメロディ、新鮮な音階
グロールが入ってくる、何を物語っているのだろう
途中でナレーションが入る
サビ~金切り声ハイトーンシャウトからグロール、そして間奏へ
曲を貫通するメインメロディがギターによって奏でられる
見事な構築力、8分41秒という長尺曲だが飽きることなく聞かせきる
風と雨の音が残り、フェードアウトして去っていく
★★★★☆

10.Demon Fire
ユニゾンから低音ボーカルでスタート
そこそこアップテンポで軽快、単音で展開の激しいギターリフ
かなり手数が多い、なだれ込んでくるようなリフ
メロディアス、あまりAC/DCの著名曲ではないパターンな気がする、新鮮
音程移動も激しい、創造性と新機軸を感じる
ギターリフの落ち着き先というかコード展開はAC/DCらしいのだけれど
初期に戻った感じなのかな
★★★★★

11.A Christmas Has Come
明るい、クリスマスがついに来た! みたいな感じか
前の曲でクライマックスが終わり大団円、的な
バンドが入ってくる、明るい、祝祭感が強い
メリークリスマスアンドハッピーニューイヤーと歌い上げる
なんだこのアルバム、名曲というか「クリスマスにこんなメタルソングがあったらなぁ」という曲が続く
メタルアーティストによるクリスマスソング、クリスマスキャロルカバーって今までけっこうあった
だからアイデアとしては斬新というわけではないのだけれど、それをアルバム一枚にわたって徹底的にやり遂げたというのは初めてじゃないか
昨年はロブハルフォードもクリスマスアルバムを出したけれど、あれはカバーも多かったし実のところ(このアルバムと比べてしまうと)サウンドにはそこまでクリスマス感がなかった
これ凄いなぁ、しかもコロナ禍の中でレコーディングとかしてたわけでしょ
凄いね、クリスマスの祈りというかある意味奇跡の音像化
ユーモアを通り越してなんか感動的に思えてきた
笑える(笑顔になる)けれど泣ける、祈りが込められているからだな
★★★★★

12.罪の香り
急に歌謡曲的というか、大げさなイントロ
歌いだしも歌謡曲的、これはアレンジが活きている
こういうアレンジだとこういうちょっとまとまった、まとまったぼんやりとした音像が合う
全体として勢いが出るというか
メロディと歌詞があまりリンクしていない、感情的に盛り上がる歌詞とメロディのリンクの大げささが少ない
音として心地よい場所、バッキングの隙間をボーカルが埋めていく、基本は歌がありそれに対するバッキング
ただ、バッキングの和音のテンションや展開をけっこうボーカルメロディが引っ張る
だから「この瞬間にここに音が欲しい」というのをボーカルが埋める
人の声が一番耳を惹くから合理的なのだが、ボーカルラインがけっこう楽器的
ジャズのピアノソロのような響きもある、もちろん、速さに限界はあるのだけれど
★★★★☆

13.パプリカ
久しぶりの国民的唱歌とも呼べる曲
ただ、かなり実験的なアレンジ
パプリカと言えば筒井康隆のパプリカの印象が強く、そうなると主題歌もP-MODEL的なものを連想するが
その文脈もとらえている、ジャパニーズコンテンツ、アニメ的
川井憲治や菅野よう子といったクリエイターとの連動性もある
もともとニコ動の歌い手出身ということもあり、本当の「ジャパニーズコンテンツ」の深淵から現れた才能という感じがする
祭囃子、笛の音、リズムは基本的に祭囃子だ
骨子だけに分解された祭囃子
★★★★☆

それでは良いミュージックライフを。

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