ロルフ・ヤコブセンの詩「ゴム」について
ゴム
六月の明け方四時過ぎの白けた朝、
国道がまだ濡れて灰色だった頃、
延々と続く森のトンネルの中を
一台の車が土煙を上げて通り過ぎて行った、
そこを今一匹の蟻がせっせとモミの葉を担ぎ、
百ニ十キロメートルにわたる国道の砂に刻まれた
「ブリヂストン」の大きなBの字の中を彷徨っていた。
モミの木の葉は重い。
繰り返しそれは揺れ動くその積み荷をふるい
落とし
そして再び奮い立ち
そして新たな葉をふるい落とす。
巨大な、雲で照らされたサハラを横断していく。
◆
ロルフ・ヤコ