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現状を打破してプロの世界へ!慶大・増居翔太投手

 増居翔太投手。彦根東高校時代、キレ味鋭い直球と変化球を武器に甲子園を湧かせた左腕。その後、慶大に進学し、1年生の春からマウンドに立った増居投手。ドラフトイヤーとなった4年生の今季、プロへの扉が開かれていたものの、試練が襲ってきています。現状を打破し、プロ入りを果たせるのか。増居投手の球に魅せられたのは私だけではないはず。もう一度、増居投手らしい投球を。

制球難

 増居投手はキレ味鋭い直球、カーブ、スライダー、チェンジアップを制球良く投げ分け、打者を打ち取っていくスタイルの左腕です。ソフトバンク・和田投手とイメージが重なります。

 コーナーを広く使い、捕手のミットに吸い込まれていくその球は観客を魅了し、まさに芸術品と呼べる投球でした。慶大では3年生までに7勝1敗と好成績を残し、ドラフトイヤーにさらなる飛躍が期待されていました。しかし、突然の試練が襲ってきます。

 それは制球難です。3年春のリーグ戦は30㌄を投げて9個、3年秋のリーグ戦では25㌄を投げて8個四死球を与えました。しかし、4年春のリーグ戦では41㌄と3分の2を投げ、30個の四死球を与えてしまいました。

 防御率も3年時は春秋ともに2点台前半でしたが、4年春は4.54と急速に悪化した増居投手。防御率の悪化に四死球数が大きく関わっていることは間違いないと思いますが、突然大きな壁にぶち当たりました。

チームを引っ張る

 それでも増居投手は最上級生としてチームを引っ張り、自己最多タイの4勝を挙げ、先発として最高の役割を果たしました。

 伝統の早慶戦では初戦の先発を任され、5㌄を投げて2失点と試合を作り、勝利投手となりました。6四死球を与えたものの、四死球数を上回る7個の三振を奪い、苦しみながらも踏ん張りました。要所で魅せたキレのある直球は増居投手らしさが詰まった球で、観客を魅了しました。やはり、他の投手にはない素晴らしい「モノ」を持っている、そう感じた瞬間でした。

壁を乗り越えてプロへ

 ただ、なにかを変えようとしている途中なのか、それとも投球フォームといった技術的な問題なのか、はたまたイップスなのか。原因ははっきり分かりませんが、本来の増居投手の姿ではないことは確かです。

 コースぎりぎりに投げ分け、捕手のミットに狂いなく収まる球を繰り出せるのが増居投手の魅力です。球速は130㌔台から140㌔前半と決して速くないですが、簡単に空振りを奪うことができます。しかし、今は生命線ともいえる制球が乱れています。

 近年、MLBの大谷翔平選手のように球速が速い投手が注目されています。しかし、球速表示以上に感じさせる直球とキレ味抜群の変化球を武器に打者を打ち取る投手も非常に魅力的です。

 増居投手の投球はまさに芸術品で、観る者全てを魅了することができます。そんな本来の姿の増居投手を取り戻し、プロの世界へ飛び込んでほしいと願っています。持ち味の制球が乱れ、非常に苦しい状況でしょう。それでも、あの制球力が戻ればプロでも通用すると考えています。

 大学生活最後となる秋のリーグ戦で本来の姿を取り戻し、ドラフト会議で名前が呼ばれてほしい、そう願うばかりです。唯一無二の球で観客を魅了し、マウンドで躍動する姿を見せてください。応援しています!

【出典】
一般財団法人 東京六大学野球連盟 (big6.gr.jp)

 

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