安田潤司

映像作家、映画監督。 https://www.yasuda-junji.com

安田潤司

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最近の記事

「ちょっとの雨ならがまん」と「素晴らしき日々も狼狽える」。40年前と40年後。

「"素晴らしき日々も狼狽える"を上映中の劇場から、1日だけ「ちょっとの雨ならがまん」を上映したいとお話を頂きましたので上映しますね。」 と、配給スタッフからLINEがきた。 ということで「40年前のライブハウスのパンクシーンの映画」と 「現在の野外フェスの映画」の同時上映となりました。 12/10(土)「ちょっとの雨ならがまん」と「素晴らしき日々も狼狽える」の上映。 以前だったら、 「いいよ、そういうのは」 とか言って断ったかもしれないが、 「了解です、よろしくお

    • 戦場にいる夢を見た。

      戦場で平伏して頭の上を弾が飛び、 ただひたすら動かないようにしているしかできない夢を見た。 とてもリアルで恐怖で目覚めた。 自分の夢は今も誰かの日常で現実。 戦争がなくならないのは 「戦争することそのものが最終目的」の存在もいるのだと思った。 軍需産業とか経済とかに関係なく、 純粋な戦争が最終目的。 ゴールの。 ごく一部の支配者層がこれに共鳴し 何も考えていない大多数が煽られ 戦争が始まるのだと。 そんなことを夢を見ながら考えていた。 「平和を求める存在」と「戦争を求め

      • 「素晴らしき日々も狼狽える」という映画のタイトル。 bloodthirsty butchersとWALK INN FES!

         今、公開されている映画「素晴らしき日々も狼狽える」のタイトルはbloodthirsty butchers(ブラッドサースティー・ブッチャーズ)というバンドの「ファウスト」という曲の歌詞から引用したものだ。 「映画にはブッチャーズは出演していないのになぜタイトルになって劇中で曲も使用されているのですか?」 と、度々聞かれた。 至極当然な質問だ。公開中の映画の内容について監督があれこれ言うのは、とても間抜けな話なのだが、このタイトルについては少し話しておこうと思う。 ご存

        • 気狂いピエロにあこがれた

          片付けしてたら映画のチラシと前売り券の半券が出てきた。こんな片付け進むわけがなく段ボールの前に座って色々と懐かしむ。色々と。 写真は「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」。 どちらも先日亡くなったジャンポール・ベルモント主演のゴダール監督作品、ゴダールの他の作品はそんなに好きじゃないけど、この2作品は大好きだ。 ヌーベルバーグのとても自由な映画のスタイルは「勝手にしやがれ」で世界的に広がったけど、その即興演出やハンディ撮影、同録、ジャンプカットは今見ても感情がざわざわする

        「ちょっとの雨ならがまん」と「素晴らしき日々も狼狽える」。40年前と40年後。

          ただ嘘ばかりを語り合った記憶

          若い頃、ぼくらは時間とエネルギーを持て余して 月夜の下で相手を気づかいながらも ただ自分を取り繕った嘘ばかりを語り合っていた。 それを誠実さだと勘違いして。 港で語り合う彼らはとても正直だ。 裸足だから足の裏は汚れているけど とてもきれいだ。 喧嘩する時も相手の世界に 土足ではなく わざわざ靴を脱いで 裸足で入ってくる。 だから自分も痛い。 その痛さが僕には無かった誠実さだ。 積み重ねた嘘とスキルでは 到底手に入れられないものだ。 レンズの向こうに彼らを見ながら 自分

          ただ嘘ばかりを語り合った記憶

          つまづいて転んでも編集の日々

          Mac studioついに届く 3月に注文したMac Studioがやっと届いた。 M1 Ultra、メモリ128GB、内蔵SSD4Tb、という化け物じみたスペックで 映像やCG制作のプロ以外には全く必要のない代物。 新しいマシンは嬉しい。 高い買い物なだけに。 なのでたまには映像編集や仕上げ、パソコンのことなど書いてみる。 Macbookで創った映画「素晴らしき日々も狼狽える」 今回の映画「素晴らしき日々も狼狽える」は、編集仕上げ、映画館納品用のデータDCP(デジタル

          つまづいて転んでも編集の日々

          嘘でもファッションでもいいからNO WARしとけ

          祖父には13人の兄弟がいて、広島の原爆ドームのそばに住んでいた。 77年前の今日、11人が亡くなった。 父と母は疎開していて助かった。 小さい頃、学校で原爆の話を聞いたので 夕食時に父に言うと、 「その話はやめろ、飯が不味くなる。思い出したくない。」 と怒られた。 「人は台風とか地震とか自然災害は、どんなにつらくても最終的にはあきらめて受け入れることができる。でも、やった相手が人間だと永遠に忘れない。」 と、昔、師に教わった。 だから戦争は終わらないのかな、と思った。

          嘘でもファッションでもいいからNO WARしとけ

          8月15日に想ふ

          今年も戦争とか軍隊とか考えた(妄想した)。 2011年東北大震災の直後、被災地で働く沢山の自衛隊の方々を見た。 誰もが目を覆うような光景で、僕にはとてもできないようなことを黙々とやる姿に自然と感謝と尊敬の念が溢れた。 自衛隊は軍隊だ。 戦いが仕事だ。 税金を注ぎ込んでアメリカや軍需企業から買った兵器や武器をたくさん持っていて、富士山の麓とかで演習とかしている。でも、僕が生まれてからは戦争は起きていないので、自衛隊の武器は実戦では使われていない。 とても役立たずな武器

          8月15日に想ふ

          大坪草次郎

          1月28日は大坪の命日。 あっという間の1年だったけど、怒涛の1年だった。 お前が死んでからあっという間に世界がコロナに覆われて 色々な常識がまた変わったよ。 あの3月11日とは違った意味で、また新たなる意識のシフトを余儀なくされた。 街が地震や自然災害にあった訳じゃ無いのにライブができなくなるなんて 想像もつかないだろうね。 去年の葬儀の後、やるはずだった追悼上映会もいまだに開催できないけど 気長に待っていてくれ。 みんなで気兼ねなく集まって騒げる時まで しぶとくだらだ

          大坪草次郎

          粒子。

           最近、NetFlixやAmazonなどで昔の映画がとてもきれいな画質でたくさん見れるようになった。その中には16mmや8mmフィルムで撮影されたものもあり、その光と陰の粒子やグラデーションを見る度に「きれいな粒子だなあ」と見とれてしまう。  僕の最初の作品は17歳で創った短いアニメーションだった。だから最初に買ったのは写真カメラではなく8mmカメラ。アニメを作りたかったのでコマ撮りができる一番安いカメラを新宿で買った。初めての編集ももちろん8mmフィルムでスプライサーとい

          近藤等則さん

           10月17日に日本を代表するトランペット奏者である近藤等則さんが亡くなられた。  1996年、近藤さんがDJ KRUSHと「記憶」というアルバムを創られていた時、僕はDJ KRUSHのドキュメント撮影でアムステルダムにある近藤さんの住居件スタジオに約2週間、泊まらせていただいた。近藤さんは海辺にあるビルをまるごと借りていて「空いている部屋ならどこに寝てもいいよ」と初対面の僕にもとても優しく接してくれた。僕は近藤さんのスタジオを拠点にDJ KRUSHのヨーロッパツアーの

          近藤等則さん

          映画「JUSTANOTHER」

          結成38年を迎えるthe原爆オナニーズのドキュメント映画「JUSTANOTHER」(大石規湖 監督)公開初日にks’シネマに見に行った。 未見の方もいるので内容は割愛するがタイロウさんとメンバーの皆さんの言葉、その関係性のリアルさ、大石監督のカメラ1台の距離感にドキドキして血が沸いた。複数台のカメラやジンバルが誰でも使える時代になったが、ライブハウスで撮るパンクやロックはハンディカメラ1台で勝負するのが一番いいと改めて気づかせてもらった。また、大石監督が「ライブ感を感じても

          映画「JUSTANOTHER」

          置き土産

          フィルムとハードディスクが届いた。 まだ俺に編集やらせるつもりだな。

          置き土産