見出し画像

プロダクトマネージャー(PdM)になるために #6_価値あるアウトカムの指針策定・拡大・測定

IT業界で引く手あまたのPdMについて学習しています。
前回#5_良い製品を創り出す地図では以下のことを学習しました。

・従来型の製品ロードマップの問題点
・アウトカムロードマップ作成に向けて開発チームが理解しておくべきこと
 +企業がどこに向かっているか
 +大きな目標に対してどのように貢献するのが望ましいか
・コミットメントの合意方法(経営陣 vs 開発チーム)

今回からは「説得力があって人を魅了するビジョン」と「それを実現するために戦略」がどれだけ重要かについて学んでいきます。
文字数:5,500

参考図書

③ 成功するための製品〜製品のビジョン、目標、スケールアップ〜

■Chapter24 製品ビジョンと製品戦略

<製品ビジョン>
・おおよそ2〜5年スパンで実現しようと考える未来
・企業のミッションステートメントとは違う。ミッションステートメントは分かりやすいが、それを実現するプランは何も語っていない
・製品ビジョンの目的は、製品開発チーム、ステークホルダー、投資家、パートナーおよび将来の顧客がその実現を手伝いたくなるように動機付けること

<製品戦略>
・大きな教訓のひとつは
「すべての人を同時に喜ばせようとすれば、ほぼ確実に誰も喜ばせることはできない」
ということ
・製品戦略とは、製品ビジョンを現実化する途上で提供を計画しているリリースの一連の出来事
・開発チームはPMFを交えて製品戦略を構築する

<製品戦略のバリエーション>
1、異なるバーティカルマーケットに焦点を当てる
例)金融サービス、製造業、自動車など

2、toCでは異なるユーザーのペルソナを中心にそれぞれのPMFの達成
例)教育サービスなら、高校生 → 大学生 → リカレントなど

3、論理的かつ重要な順序にキーとなるマイルストーンの達成
例)ECアプリ開発者向けの評価とレビュー機能を提供 → その利用データから消費者心理のデータベースを作成 → そのデータベースから更に進んだ製品の提案を行う、など

・開発チームが増えるほど、各チームが適切な選択ができるようにビジョンと戦略を統一することが重要
ビジョンと戦略の違いは、優れたリーダーシップと優れたマネジメントの違いに似ている
・リーダーシップ :「心を奮い立たせる」
 マネジメント  :「目的地到達を支援する」

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P144〜147

■Chapter24_2 市場の優先順位

市場の優先度とは、一度のリリースにつき一つのマーケットに焦点を絞ること

<市場の優先度を判断する3つの指標>
1、市場規模
・獲得可能な最大の市場規模(TAM:Total Addressable Market)に対し、通常大きな市場が好まれるが、Time to Marketがはるかに短い重要な市場がいくつかある場合、小さな市場に早く製品投入することを選ぶ

2、流通
・市場によって必要な販売チャネルが異なり市場開拓が必要(GTM:Go to Market)

3、収益確保までの時間
・投入から利益を生むまでの時間(TTM:Time to Money)

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P148〜149

■Chapter25 製品ビジョンの原則

<製品ビジョン創出の10の重要原則>
1、Whyから始める
・製品ビジョンを使って開発チームの目的をはっきりさせる

2、解決策でなく問題に恋をする

3、臆病にならず大きな視野でビジョンを考える
・野心的と言えないビジョンは誰の心も揺さぶらない

4、チームの混乱を恐れず、あなたがしなくては誰かがそうする
・今持っているものを守ることに必死になりすぎない

5、製品ビジョンは心を揺さぶるもの
・開発チームは伝道師のチームでなくてはならない
どうすれば顧客を本当に助けることができるかに情熱を傾ければ意味あるものになる

6、関連性があり意味のあるトレンドを見つけ出し取り入れる

7、*パックがある場所でなく、パックが向かっているところに滑っていく
製品ビジョンの中で「時間軸で変化するもの」と「変化しないもの」を見極めることが重要

8、ビジョンには頑固でディテールには柔軟
・多くの開発チームが早々に製品ビジョンを諦めてピボットするが、頑固にやり抜く
・望ましい目的地は諦めず、その道程は柔軟にすべき

9、信じて賭けることと考える

10、絶え間なく粘り強く説得して回る

*パック:アイスホッケーのボールに相当するもの

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P150〜152

■Chapter26 製品戦略の原則

<製品戦略の5つの原則>
1、1度のリリースに対して1つのターゲット市場やペルソナに集中する
2、ビジネス戦略と整合する
3、販売戦略やGTM(販売チャネル)戦略と連携する
4、ライバルでなく顧客のことだけ考える
5、組織全体で戦略についてコミュニケーションを取る

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P153〜154

■Chapter27 製品理念

・製品ビジョン→開発チームが作りたい未来
 製品戦略→ビジョン実現の道筋
 製品理念→作りたい製品の特質
・製品理念は特徴のリストではなく、かつ個別のリリースとも結びつけられていない
・製品理念とは製品ライン全体を考慮した製品ビジョンと整合したもの

例)eBay
「買い手と売り手のニーズがぶつかる場合は、買い手のニーズを優先する。なぜならばそれこそが売り手のために私たちができる最も重要なことだから」

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P155〜156

■Chapter28 製品の目標、OKR手法

<製品目標の概要>
・目標を管理し評価する基本的なマネジメントの原則
1、どうやるかを指示してはならない。何をすべきか指示すること。そうすれば創意工夫に驚かせされる
→人々にどのように権限を与え、動機づけるか

2、パフォーマンスは結果で測る
→どうすれば意味のある形で進捗を測れるか

・ビジネスの目標を管理するツールはいくつかあるが本書ではOKR(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)にフォーカスする
・OKRは管理、集中、整合のためのツール

<OKRを製品開発チームに適用する際の重要点>
1、目標(Objective)は定性的、主要な結果(Key Result)は定量的

2、主要な結果はアウトプットやタスクでなく、ビジネスの成果として測れるもの

3、PdM、デザイナー、技術の各組織では、組織の目標とそれぞれの製品開発チームの目標にフォーカスする
→それぞれの開発チームの目標が達成されることで組織の目標が達成されるようにしておく

4、目標見直しサイクルを見つける

5、組織と開発チームの目標と主要な結果は、数を少なく保つ(1つから3つ)

6、目標にどれだけ積極的に近づいたかを確認する(通常は毎週)

7、目標は細かいことまでカバーしなくて良い

8、目標達成に責任を感じることが重要。明らかに失敗した場合は事後分析や見直しをする

9、主要な結果の定量値は組織として合意する(0から1.0のスケールで0.1ポイント単位)

10、主要な結果が通常の目標でなく、ハイインテグリティーコミットメントである場合は0か1しかないので確実に示す

11、開発チームが取り組んでいる目標と進捗が、製品開発組織と技術組織全体に見えるようにする

12、トップがチームの目標に責任を持つ

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P157〜161

※1月25日にとても面白い記事を見つけました。超実用的な取り組みの話です。決してOKRだけの話ではありませんが、特にObjectivesの設定の話が面白かったのでここに載せました。

■Chapter29 製品開発チームの目標

製品開発チームは職能横断型のプロフェッショナル集団であり、通常1人のPdM、1人のデザイナー、少数のエンジニアで構成される
それに加えて、データアナリスト、ユーザーリサーチャー、テスト自動化エンジニアなども加わる

・それぞれの開発チームが企業の製品提供やテクノロジーの重要な部分に責任を負っている

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P162〜165

■Chapter30 製品の目標のスケールアップ

・ここまで製品の「ビジョン」「戦略」「ビジネスの目標」について説明したが、実はアーリーステージのスタートアップではこれらはなくてもやっていける
・規模が大きくなるとビジョンとビジネスの目標を必要とする
・スケールアップの過程で元々の創業者がいなくなり空白が生じる可能性もある
・OKRは拡張性が高い一方で、利用の拡大に苦労している事実もある

<OKRを大規模に使うときの変更点(特に成長期とエンタープライズ期)>
・要約すると、スケールアップと合わせてOKRを使うときリーダーシップとマネジメントに大きな負担がかかる。リーダーとマネージャーは組織が整合しているか確認しなくてはならないし、チーム各員が何に貢献しているか理解しているかも確認

1、スタートアップ期は、基本的にほかの人が何をしているのか、そしてなぜしているかも理解している。より大きな組織では製品開発チームはもっと助けが必要となる
どのチームにどの目標を追求させるのが適切か議論する必要がある

2、さらにスケールアップすると、かなり多くの製品開発チームがほかの開発チームのサポートに回る。
このチームは顧客に直接働きかけないで、間接的に顧客の役に立つ
この場合においてもこれらのサポートチームが目標を整合させるのを助け、依存関係を整理し、利害を調整することを手伝う

3、目標設定後は重要な調整プロセスが始まる
製品開発チームから提案された主要な結果を見てギャップを特定してさ、それを埋める手当てをする(例、別のチームに支援を要請したり、優先度の見直しなど)

4、スケールアップに伴い、どのチームが何をしているかわからなくなる。可視化ツールの導入だけでなくチームを結ぶ手助けとしてのマネジメントに頼る

5、大きくなるとハイインテグリティーコミットメントのリストは長くなり、より積極的な管理が必要になる

6、複数の事業部に対して企業レベルのOKRと各事業レベルのOKRがあり、製品開発チームはそこに包含される

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P166〜169

■Chapter31 製品に関するエバンジェリズム

・エバンジェリズムとは人々の未来の想像を手伝い、その未来を創造するエネルギーを与える
・傭兵でなく伝道師の製品開発チームを作る事が重要であり、その責任はPdMが負う

<PdMが夢を売る10のアドバイス>
1、プロトタイプを使う
2、悩みを共有する
3、ビジョンを共有する
4、学習したことを惜しみなく共有する
5、成果を惜しみなく共有する
6、優れたデモを行う方法を学ぶ
7、常に学習に励む
8、心からワクワクする
9、熱意の見せ方を学ぶ
10、チームと一緒に時間を過ごす

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P170〜172

<③ 成功するための製品〜製品のビジョン、目標、スケールアップ〜の所感>

非常に重要なので、ここまでをもう一度整理しておきます。

この一連の流れのなかでこのセクションをまとめておくことが重要です。
PdMとして、CEO並みのマネジメント力が必要となりますが、成長期、エンタープライズ期になると開発チーム数だけPdMが必要となります。

CEOはどんだけ忙しいんだ。と思ってしまいますね。

②&③ 成功するための「組織と人」と「製品」

② 成功するための組織と人
■#2_PdMの役割と多忙な理由
・そもそもPdMとは何か
・PdMに求められる要件とは何か

■#3_PdMが一緒に働く人たち
・PdMが顧客が熱狂する製品を作るために連携する人達
・連携する人たちとの責任および役割の分解

■ #4_PdMとスケールアップする人たち
・企業として成長していくに連れて
 変化するPdMおよび一緒に仕事をする人たちの役割の変化
 製品開発チームの構成

③ 成功するための製品
■ #5_良い製品を創り出す地図
・従来型の製品ロードマップの問題点・アウトカムロードマップ作成に向けて開発チームが理解しておくべきこと +企業がどこに向かっているか +大きな目標に対してどのように貢献するのが望ましいか・コミットメントの合意方法(経営陣 vs 開発チーム)


■#6_価値あるアウトカムの指針策定・拡大・測定
・製品ビジョン→開発チームが作りたい未来
 製品戦略→ビジョン実現の道筋
 製品理念→作りたい製品の特質
・ビジョンと戦略の違いは、優れたリーダーシップ(心を奮い立たせる
)と優れたマネジメント(目的地到達の支援)の違いに似ている
・規模が大きくなるとビジョンとビジネスの目標を必要とする(OKRの拡張)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?