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PdMは組織も作る_#2_新任PdMの育て方=新任PdMが学ぶべきこと

前回はプロダクトリーダーシップとは何かについて概要を理解しました。
ここから、その各要素をガンガン掘り下げていきます

毎回どこを説明しているかは、「Chapter06 本書のガイド」で分かるようにしてみます。

そしていきなり今回は最も重要と記載のあった「コーチング」です。
本書でもコーチングが一番ページ数使っているので、良きところで区切りながら進めていきます。
文字数:約6,500

Chapter06:本書のガイド

・Part II:有能なプロダクトリーダーにとって最も重要な職責である「コーチング」と「人材開発」に焦点を当てる(★今回はここ)
・Part III:プロダクトチームの採用について焦点を当てる
・Part IV:これから作ろうとする未来を定義し、プロダクトビジョンと原則について理解する
・Part V:会社のニーズに合うチームトポロジーに編成する方法
・Part VI:プロダクト戦略について理解する
・Part VII:各プロダクトチームの目標(解決すべき問題)を決めて、プロダクト戦略を行動に変える方法について理解する
・Part VIII:ケーススタディの紹介
・Part IX:プロダクト組織が他の部門と築くべきコラボレーションについて理解する
・Part X:すべてをつなぎ合わせ、一流のチームや企業のように仕事をする会社へと変革するプラン

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P49~50

PartII:コーチング

PartII:Prologue

テクノロジー業界では、プロダクトマネージャー、プロダクトデザイナー、エンジニアの中心的スキルと能力に重点を置くが、マネージャーとリーダーのスキルの能力を軽視している
・会社の成功は「優れたプロダクト」にかかっている、「優れたプロダクト」は「優れたプロダクトチーム」から生まれる
優れたコーチングとは、「従業員が自らのポテンシャルを引き出せるように支援するという目的を持った継続的な会話」

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P54~55

Chapter07:コーチングのマインドセット

ためになる言葉をかけるのがメンターなら、袖をまくり上げて自分の手を汚すのがコーチ。コーチはメンバーのポテンシャルを信じるだけでなくさらに一方踏み込みポテンシャルを実現できるように助けてくれる(ビル・キャンベル)
コーチングのマインドセットはチームの能力開発に関する行動と意思決定を導く指針となる
①第一の仕事は人材育成
・チームの評価、コーチングプランの作成、チームメンバーの向上と成長の積極的な支援という仕事に心血を注ぐ

②エンパワーメントが最善の結果をもたらす
・チームメンバーが仕事に当事者意識を抱くことがない状況では、優秀な人材の流出を防ぐのが難しくなる
エンパワーメントとは、作業だけでなくアウトカム(=顧客の課題解決)についても当事者意識を持てる環境を作り上げる事
マネージャーは一歩下がってこの環境を作りつつ、障害を取り除き、コンテキスト(状況や関係)を明らかにし、指導を行う

③自分自身の不安感に気を付ける
・優れたマネージャーは健全なレベルの謙虚さを持ち合わせ、自分自身のパフォーマンスを改善して成長できるように取り組んでいる

④多様な視点を育む
不安に陥りやすいマネージャーは自分と違う意見を抑圧する恐れがある
・優れたアイデアは自分の専売特許ではなく、最も優秀なアイデアを他の人が提案する場合もある
・マネージャーとして、チームのさまざまな強みと背景を取りそろえたポートフォリオのように考え、採用を行う
・チームの各メンバーのスキルや専門性を活かし、協力して優れた意思決定を行う方法を身につけられるように手助けするのがマネージャーの役目

⑤育てる機会を見つける
ポテンシャルを引き出すためには困難を乗り越える必要がある
・まだ荷が重い分かっていることは挑戦させるべきではないが、多少の不安やストレスを感じる課題を探す必要がある
・ただ能力不足の領域を埋めるだけでなく、もともと備わっている強みを認識し、育てることも必要

⑥チームの信頼を勝ち取り続ける
・信頼はチームのメンバーの成功と成長を心から尽くしている、と行動で示し続けることで生まれる
・良い結果を上げているときには褒め、改善が必要な領域をごまかしてはいけない
・褒めるときはオープンに、批判するときは内々で行うことが大切

⑦失敗を修正する勇気を持つ
・コーチングとは人を育てることなので、必然的に問題点を成長の機会として見ることになる
・部下に仕事ができていないと伝えるのは精神的に最もキツイ会話の一つであり、この実態に目をそむけたくなる。しかしそれは信頼を損ない、本人のモチベーションを失わせる可能性がある
問題があることが分かれば後回しにせず、すぐに解決する

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P56~64

Chapter08:評価

・PdMを評価するためのテクニックを見ていく
■評価スキルの分類
・プロダクトについて論じるときの分類法は、人・プロセス・プロダクトの3本柱
<プロダクト:製品知識>
・PdMはユーザーや顧客のスペシャリスト
・PdMはデータツールに関するスキルを備え、ユーザーが使うプロダクトを使う方法を熟知しているか
・PdMは、業界と分野、競合関係や関連する業界トレンドを熟知しているか
・PdMは自社の事業の様々な側面を理解しているか
・PdMは見込顧客に効果的なデモを行い、新しい顧客に使い方をトレーニングし、カスタマーサポートの問い合わせに対応できるか

<プロセス>
・PdMはプロダクトのリスクとそれぞれのリスクに対応する方法をよく理解しているか、問題を協力して解決する方法を熟知しているか、アウトカムを重視しているか
・PdMは、プロダクトまたは新機能が本格的に稼働した後で、プロダクトを迅速に改善し、洗練していく最適化テクニックを熟知しているか
PdMの主な職責はプロダクト発見であるが、デリバリーを支援するのも重要。PdMはエンジニアまたはプロダクトマーケティング担当者に対する職責を理解しているか
・PdMは開発プロセスをしっかり理解しているか

<人>
・PdMは部下のエンジニアやプロダクトデザイナーとどのくらい効果的に仕事をしているか、協力的な関係を築けているか、互いへの敬意があるか
・PdMはエンジニアやデザイナーを早期から関与させ、顧客との直接的な接点を与えているか
・PdMはチームのスキルや意識をフルに活用しているか
・PdMは社内全体にわたる関係者と協力するのがどれくらい上手か、ステークホルダから事業の成功に純粋にコミットしている真のパートナーと認識されているか
・PdMはプロダクトビジョンと戦略を効果的に共有し、社内の人々を刺激してモチベーションを上げているか
PdMは人を管理するわけでなく、影響を与え刺激することができる必要がある
・PdMは効果的にコミュニケーションを取ったりモチベーションを上げられているか
・PdMは重圧のある状況でリーダーシップを求めて頼られているか

■ギャップ分析
<期待値と現状>
・前述したスキルに2つのレーティングを割り振っていく
1つ目は対象のスキルについてある従業員が達しているべきレベル=期待値
2つ目はその従業員が同じスケールでいまどの段階にいるか(=現状の能力)
・通常10段階で評価し、ギャップがあるスキルを重点的にコーチングする
・期待値レベルの設定は、通常組織全体で行うかあるいはマネージャーが行う

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P65~72

Chapter09:コーチングプラン<プロダクト>

・前章で明らかにしたギャップに対してどのようにコーチングするかについて説明する
<プロダクト:製品知識>
①ユーザーと顧客に関する知識
社外に出てユーザーや顧客に会うことに代わる手段はない
・会社にカスタマーリサーチチームがあれば、そこから取り掛かるのが良い
・次にカスタマーサクセスやカスタマーサポートチームがあれば有益な情報源となる
これらのチームと価値のある時間を過ごし顧客がプロダクトをどう受け止めているかを理解する
・多くの企業では創業者やCEOが誰よりも多くの顧客に会っているので、懇意になって理解すると最も役に立ちそうな顧客は誰か聞いてみるのも良い

②データ知識
・新任のPdMは3種類のデータとツールを使えるようにする
A)ユーザー分析:ユーザーとプロダクトとのやり取り
B)セールス分析:プロダクトと営業サイクル
C)データウェアハウス分析:データが時系列でどのように変化しているか
・それぞれのツールを使える状態とは「ツールを使って問いに答える方法=操作方法を知ること」と「ツールに入っているデータが語り掛けるメッセージを理解できるようにすること」

③業界と分野に関する知識
・業界知識は担当する製品に関係しそうな業界トレンドを特定すること
・もう一つの業界知識は競合分析
・競合分析についてPdMをコーチングするおすすめの方法は、3~5社挙げてもらい各社の強みと弱みを比較して対照させるナラティブを書かせること

④事業と会社に関する知識
・新任のPdMにとって自社の事業の仕組みを理解することには多くの作業量が必要になる
コーチングするおすすめの方法は、担当する製品のビジネスモデルキャンバスを埋めてもらうこと

⑤販売とマーケティング(市場参入戦略)
プロダクトがどのようにして顧客の手に渡るか示す
・一般的にB2Bは複雑になる
・営業プロセスはマーケティングから始まるが、どんなマーケティング戦略を採用していても、顧客がプロダクトを認知し、活発な顧客にあるまでのファネルが出来上がる
新任のPdMは認知からトライアル、オンボーディングの能力と限界を理解することが重要

⑥財務(収益とコスト)
・新任のPdMはKPIの種類(LTVなど)とその意味(LTVの計算方法など)をまず理解する
・最後にプロダクトの立ち位置(LTVがCACと比較して十分かなど)を理解する

⑦法務(プライバシーとコンプライアンス)
・新任PdMは財務部門と同様に法務上の制約について理解を助けてくれる人と関係を確立することは重要

⑧事業開発(パートナーシップ)
・どのような目的であっても一般にビジネスパートナーシップ契約は自社が取り得る行動への制約を伴うため、PdMが契約と制約について理解する

⑨その他の領域
・複数の事業部門を中心とした構造になっている企業では各事業部門のリーダーが極めて重要なステークホルダとなる

⑩プロダクトのオペレーションに関する知識
・PdMが信頼されるためには、担当するプロダクトのエキスパートユーザーであるべき

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P73~81

参考:INSPIREDの関連箇所

Chapter09:コーチングプラン<プロセス>

・前章で明らかにしたギャップに対してどのようにコーチングするかについて説明する
<プロセス:プロセススキルとテクニック>
・PdMのコーチング担当者の主な目標は手持ちの仕事に適した各種のテクニックについて十分な知識を持たせること
①プロダクトディスカバリーのテクニック
・新任PdMは最低限プロダクトに関する4つのリスクとそれらのリスクに対処するための各種プロトタイプ、そして定性・定量的にこれらのリスクをテストする方法を理解する
A)価値のリスク
B)ユーザビリティーのリスク
C)実現可能性のリスク
D)事業実現性のリスク

②最適化のテクニック
・正式稼働中でトラフィックの多いプロダクトでは最適化と呼ばれる重要なテクニックがある
・PdMはこれを理解し、効果的な活用方法を知る必要がある

③デリバリーのテクニック
・デリバリーテクニックはエンジニアが重点的に取り組む領域
・しかしPdMもデリバリーテクニック(継続的デリバリー)を理解し、リリース計画などでより積極的な役割を果たすことが重要
・デリバリーについて適切は判断を下すためには、各テクニックの採用によって追加のエンジニアリングコストなど変化を知る

④開発プロセス
・新任PdMがCSPO(認定スクラムプロダクトオーナー)を受講していなければ受講することを勧めている
・多くの企業ではプロダクトバックログを管理するツールを標準化しているので、PdMはこのツールについても学んでおかなければならない

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P81~83

参考:INSPIREDの関連箇所(製品発見のテクニックとして4つのリスク)


Chapter09:コーチングプラン<人:対人スキル>

・前章で明らかにしたギャップに対してどのようにコーチングするかについて説明する
<人:対人スキルと職責>
①チームコラボレーションスキル
・PdMとは「プロダクト担当者」「デザイン担当者」「エンジニアリング担当者」との間のコラボレーションを構築することが重要
・PdMがここまで説明してきた基礎を学んだあとは、コーチングのほとんどがコラボレーションになる

②ステークホルダとのコラボレーションスキル
・①のスキルは②とも関連するが、同じ問題を解決するチームのデザイナーやエンジニアとの信頼関係の構築は易しい
ステークホルダとは別の力学が働く
・PdMにとって、各ステークホルダが抱える制約の理解に時間と労力をつぎ込む

③エバンジェリズムスキル
・PdMが自分のやるべきことを理解し、それを実現するためのしっかりした計画を持っているとチームとステークホルダに納得してもらうことが含まれる
後述するナラティブの作成がおすすめのテクニック

④リーダーシップスキル
・プロダクトチームとステークホルダはPdMの部下ではないので、説得とリーダーシップに頼らなければならない
素晴らしいリーダーと残念なリーダーについて議論し、素晴らしいリーダーを定義することはコーチングに有用

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P83~87

参考:INSPIREDの関連箇所

<所感>

当たり前ですが、INSPIREDで説明した内容との関連が多い内容です。
せっかくINSPIREDも読んだので、関連しそうな箇所はなるべく参考として掲載するようにします。

コーチングが一番ページ数を割いているとはいえ、まだまだ序章です。
noteは「3,000~4,000文字だとちょうど読みやすい文字数かな?」と個人的に思っているので、なるべくその文字数に収めようと試みましたが内容濃過ぎてかなり長くなっています。

JMAMのPdMシリーズは内容濃すぎて、読むのも書くのも時間かかるので1投稿に2日準備が必要です。(連続投稿記録も途絶えてしまいました笑)

今回の大きな気づきは、

INSPIREDにはなかった、PdMの育て方

を記載している点が新鮮でした。
日本の企業にはまだまだPdMが少ないので、育て方というかPdMとしてどんなことを学べば良いかと主体的な内容に読み替える必要があるかと思います。
相変わらず、やること知ることが多いですが、順序立てて説明してくれているので理解が進みました。

タイトルにもしましたが、

PdMの育て方=PdMが学ぶべきこと

です。この視線でこの先も読み進めていきます。


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