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ポエム《ナツノトナリ》

短編小説『ナツノトナリ』を要約した、ポエム的な文章です。

最後に小説本編のリンクを貼っていますので、ぜひご覧ください!

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真っ白な夏の日を
私は
何色に染めてゆくのだろう
 
真っ白な夏の日を
『彼女』は
何色の瞳で見つめるのだろう
 
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人生の意味がわからなかった
生きる理由がわからなかった

いつまで傷付けばいいのか
どこまで傷付けばいいのか
ボロボロのまま彷徨う日々

逃れるように、誰かに縋った
逃げる事が当たり前になっていた

すべての物事から目を逸らし
誰かに依存して不安をごまかした

このまま逃げていれば
このまま縋っていれば
これ以上傷付く事もないのだから
 
そんな私の胸を貫いたのは
鉛色をした『彼女』の瞳だった

『彼女』の瞳はすべてを見ていた
逃げ続ける事の傲慢さも
傷付いた過去を盾にする卑怯さも
 
私は、『彼女』の瞳を反芻した
 
私の心を映し込む
鉛色の瞳を反芻する度に
変わりたいと願った
 
願うだけではなく
変わるための行動に移したら
少しずつ、強くなれた気がした
 
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「でもさ、ホント変わったよね」
静かな空気を纏い、ある人は言う
 
「自分でも気づいてるはずでしょ?」
包み込むように、またある人は言う

昔の私を知っているその人達は
今の私をしっかり見つめていた
 
凪いだプールのように穏やかな
その笑みを受け止めて
私も、今の自分と向かい合っていた
 
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『彼女』は、また現れた
 
重々しい濁りが消えた
純度の高い銀色の瞳は
私を満月のプールサイドへと誘う
 
月が影を落とした
フェンスの上に立つ『彼女』は
妖しくも、美しかった
 
「おいで」
 
差し伸べられた大きな手を
私は掴み、高く飛ぶ
 
夜のプールに忍び込んだ共犯者は
子供のように、悪戯っぽく笑う
 
淡い闇に包まれたプールサイド
飛び込み台、隣に座る『彼女』

夜空のすべてを映し込むその瞳は
私を真っ直ぐに見つめていた
 
「あなたは一体──」

そう言いかけた私を制止して
『彼女』はふわりと微笑んだ
 
「私は、貴女の──」

『彼女』の笑顔が
漆黒の水の中に溶けた
 
月夜の泡沫
頬を撫でる夜風
オーバーフローする想い
 
「やっと、会えた……」
 
見つけた答えは
『彼女』の瞳の中にあったんだ
 
────────────────
 
『彼女』は消えていった
輪廻を繰り返す水の中へ
 
でも、きっと、また会える

私があの瞳を忘れずにいれば
新しい『彼女』にまた会えるから

いつだって、そばにいる

忘れないで、あの夏の日を

『彼女』の瞳を胸に
私はまた、歩き出す

太陽と、満月と、満天の星
爽やかな風が吹くあの場所
 
夏の隣に、私達はいるんだ

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