漁港の近くには必ず八坂神社がある
久しぶりの神社妄想ストーリーです。
日本三大祭りの一つ祇園祭で有名な京都の八坂神社。京都だけでなく日本全国に沢山の八坂神社があります。その数2300社以上。
でも、意外と知られていない事実。それは、漁港の近くには必ず八坂神社がある、ということ。
一度「八坂神社 漁港」、「漁港 八坂神社」で検索してみてください。全国津々浦々、たいていの漁港のそばに八坂神社があることがわかります。
商売繁盛の神様として有名な八坂神社。
主祭神は、須佐之男命(すさのおのみこと)。そして多くの八坂神社では、お妃の櫛稲田姫命(くしなだひめのみこと)も一緒に祀っています。
では、なぜ漁港の近くに八坂神社があるのか? なぜ、須佐之男命と櫛稲田姫命を夫婦で祀る八坂神社が多いのか?
今回はこの謎に迫る妄想ストーリー!
須佐之男命は海原の神だが、聞かん坊…
漁港の近くにある理由。それは、須佐之男命は海を治める神様だからです。でも、それだけで終わったら妄想ストーリーになりませんね…奥さんも一緒に祀られている理由もわかりません。
聞かん坊で暴れん坊の須佐之男命(※この先はカタカナ表記にします)
スサノオは、父のイザナキノミコトが黄泉の国から逃げてきたあと、川で鼻を洗ったときに産まれた神様です。
その前に、イザナキが左目をあらったときに天照大神(あまてらすおおかみ)、右目を洗ったときに月読命(つくよみのみこと)が産まれています。
イザナキは、アマテラスに高天原(たかあまはら)を、ツクヨミには夜の国を、スサノオには海原を治めよ!と告げるのですね。これが、スサノオが海の神様である由来です。
ところが、聞き分けのないスサノオは、「お母さんに会いたい!お母さんの所に行きたい!」と言って泣き叫ぶばかり…ちっとも海を治めません。
身体がものすごく大きいので、涙を流せば津波のように押し寄せる、叫べば嵐が吹き荒れる、地団駄踏めば大地震がおこるわで、もう大変。
スサノオがあんまり涙を流すので水という水が吸い集められて、地上から水がすっかり無くなって疫病がはやりだした…というほど。
これでは神様なのか疫病神なのかわかりません…
あきれたお父さん(イザナキです。)は、「もうお前みたいなのは知らん。どこへでも行くがいい!」と勘当してしまう。
ところが当の本人は大喜び。何しろ、したくもない海の統治から解放されたのですから…
「それでは、お母さんのいる地下の国に行く前に、お姉さんに挨拶しておこう」と、喜び勇んで高天原の天照大神に会いにいくのですが…
天岩戸隠れはスサノオのせい…
暴れん坊のスサノオ。高天原に入るときにもひと悶着ありました。が、長くなるので細かなところは飛ばしまして…何とかアマテラスに入国を許されました。
ところが、傍若無人ぶりは続きまして…やりたい放題し放題。しばらくは弟をかばっていたアマテラスでしたが、スサノオが尻の皮を剥いだ馬を投げ散らかして女官を死なせてしまう…
こんな大事件を起こされたら…もうこれ以上かばいきれない。
アマテラスは、「もう知らない!」と岩の中に引きこもり。これが天岩戸隠れですね。天も地も暗闇になって何もできない。さらには、悪い事をする禍津神(まがつかみ)たちも暗躍し始める。
困った八百万の神々は、集まって話し合いをします。(このころから日本は合議制なのですね…)結果、妙案を講じて何とかアマテラスを岩から引っ張り出し、元通りの明るい世界を取り戻しました。
そして、厄介者のスサノオは、ひげを抜かれ爪をはがされて高天原から追放処分。地上に降ろさてしまいます。
地上では大活躍のスサノオ
ところがスサノオさん。地上に降りてきたとたんガラッと違う人柄になってしまうのですね…
川沿いを歩いていくと、スサノオは妙齢の美しい娘と遭遇、傍らには老夫婦も…なぜかしくしくと泣いている三人に訳を尋ねると…
毎年毎年、ヤマタノオロチという大蛇がやってきては、娘をひとりずつさらって行く…たった一人残されたクシナダヒメもついに…
それを聞いたスサノオは、「クシナダヒメを俺にくれるのなら、ヤマタノオロチとやらを退治しよう!」と妙なオファー。
そして、見事ヤマタノオロチを退治してクシナダヒメとめでたく結婚!とあいなったわけであります。
ヤマタノオロチを退治したくだりは、だいぶ端折りましたが、スサノオは愛する女性と出会って家族を持ってからキャラクターがすっかり変わってしまうのですね。
変わったというよりも、元々あった愛妻家で家族思いの性質が出てきたのでしょう。そう、本来はとても愛情の深い神様なのです。
荒々しい性質があるかと思えば、とても優しい側面もある。日本の神様ってみんなそうなんですね。
神様の二面性のうち、荒い性質を、荒魂(あらみたま)、優しい性質を、和魂(にぎみたま)といいます。
愛すべきキャラクターのスサノオ
愛妻家で家族思いのスサノオですが、ご機嫌を損ねると大変…なにしろ、叫べば嵐、泣けば津波、暴れれば大地震です。
だから、人々はスサノオを神社に祀ったというよりも押し込めた、って感じだったのかも…「頼むから中でおとなしくしておいてくれ…」ってな感じで。これが八坂神社の本質なのでは…?
さらに、「一人にしておくと何をしでかすか不安だから、奥さんのクシナダヒメに一緒にいてもらおう」なんて…これが、多くの八坂神社がスサノオとクシナダヒメを一緒に祀っているという、僕の妄想。
クシナダヒメは漢字で書くと櫛稲田姫ですが、なだって案外なだめるって意味もあるのかもしれません。クシナダヒメがなだめる、というよりもスサノオの方がデレっとしておとなしくしてる、ってイメージがありますが…
スサノオのキャラクター、いいですね。なんだかジャイアンみたいじゃないですか。TVアニメでは乱暴者でみんなの嫌われ者だけど、映画では誰よりも頼りになる、みたいな。
暴れる出すと手が付けられないけど、家族と一緒だと誰よりも優しい…荒くれものの漁師たちが崇める神様として、きっとスサノオは最適な神様だったんじゃないでしょうか?
港町の神様が商売繁盛の神様になっていった…
昔は船が物流を担っていましたよね。港には、ヒトもモノも集まってくる。すると店が出来て様々な商売も生まれる。港の繁栄は、商売繁盛につながるわけです。
海難事故が起きないことは、港町に住む人々の一番の願いだったはず。だから八坂神社は必需、というくらい重要な神社だったのだと思います。
栄えていく港町と人々をにっこりと微笑みながら見守るスサノオとクシナダヒメ…
八坂神社をお参りすると、そんな絵が思い浮かんでくるのです。
妄想すると神社巡りが楽しくなる
今回は、須佐之男命と八坂神社のお話しでした。古事記に登場する八百万の神々、他にもたくさんの魅力的な神様がいますよね。
古事記以外にも、それぞれの土地に伝わる神話にも楽しい伝説があります。その中で好きな神様を見つけるといいですね。
そして「この神様はこんな性格だったんじゃないかなぁ…」とか「こんな事をしたんじゃないかなぁ…」とか、いろいろ想像してみると、その神様が祀られている神社に行きたくなります。
神社がある町の昔の人の息遣いが感じられてくるんですよ…
もう一つ。自分の守護神がわかるともっとその神社に行きたくなる…実は、僕の守護神は、スサノオなのです。
自分の守護神が知りたい人は、この本をどうぞ…
今回の神社妄想ストーリーは、八坂神社と須佐之男命でした…
こちらの記事もどうぞ!
この記事が参加している募集
よろしければサポートお願いします! 神話、神社、神様の話しを通して日本の心を伝える活動に充てさせていただきます。