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雪のない妙高で大自然とインスタ映えを感じる【信越北陸一人旅⑭】

妙高高原の秘湯、燕温泉で気持ちの良い朝風呂に入ることができた。

朝風呂を終えたのでどこかで朝ごはんが食べたい、と思い周辺のお店を調べ始めたが、この時まだ朝7時過ぎ。やっているお店が全然なかった。お店が開き始めるまでの間、どこかしらに行って暇をつぶさないといけないことになった。

燕温泉の温泉街を出て、再びトレッキングレースの横を申し訳なさげに通り、赤倉温泉の方へ戻ってきた。赤倉温泉にも日帰り入浴できる施設があるようだが、この時間はまだ空いていないようだ。いったん赤倉温泉を通り過ぎ、長野方面から妙高に来るときに通った道を引き返す。そしてやって来たのは、いもり池という池だった。

天気についてはもう先ほどの曇天はどこへやらといった気持ちの良い晴れ模様で、いもり池の水面に日光が反射していてなかなか綺麗だった。野尻湖の濁った水よりも水が綺麗な気もした。この時間にいもり池を観光している人は僕一人だった。大きい池ではないため10分くらいのんびり歩いて池の周りを一周した。途中、一見藪に見える道からいきなりワンちゃんを散歩したおばさんが出て来てびっくりした。いもり池の周辺には民家はあまりなかった気がするけど、ここを散歩コースにしている人もいるんだなぁ。

いもり池

いもり池でのんびり歩いて車に戻る。まだお店がやっている時間にはならない。再び車を走らせ、さらに温泉街から離れた場所に苗名滝という滝があるということで行ってみた。川沿いに用意された駐車場に車を停め、駐車場から滝が見える場所までは歩いて15分だということで運動がてら歩き始めた。


滝に向かう道は山道のようだった。一応整備はされているものの、足場が悪いため土の上を一歩一歩登山のように歩いていく。道の途中では石段を登ったり、道に倒れている太い木を無理やり乗り越えたりなど、足腰の悪い人にはなかなかキツいであろう障害が多く待ち構えていた。おまけに昨日雨が降ったのか、土がたまにぬかるんでいて足元が結構滑る。何度か滑って転びそうになった。自分の身を守りたい気持ちと、これまで大事に履いて来たニューバランスの白いスニーカーをなるべく汚したくないという気持ちでなるべく慎重に歩みを進めた。

なんだかんだで駐車場から20分くらい歩き進めた。木々の間から滝の姿が見える。これが苗名滝という滝のようだ。滝の高さはそこまでないけれど、流れ落ちる水が太い。太いと言って伝わるのだろうか。岩盤を突き破ったかのように作られた滝上から滝壺に落ちるあの水の横幅が割と広いのだ。もちろんナイアグラとかに比べれば大した太さではないのだけれど、大自然の強さを感じるには十分な太さと水量の滝だった。一方的だが不規則的に下に流れ続ける滝はなぜかずっと見ていられる。滝をずっと眺めていると、不思議と気分が良くなるような気がした。これがいわゆるマイナスイオンを感じている、といった状態なのだろうか。マイナスイオンって本当に身体に良いのだろうか。にわかに信じがたいけど、とにかく同じ場所に立って10分くらい滝を見続けた。この時何を考えていたかは覚えていない。

苗名滝

滝を見た後は来た道を戻って駐車場へ帰って来た。帰り道も土のぬかるみに注意しながら歩いた。駐車場に戻って来た時、スニーカーがそこまで汚れていなかったのでよかった。燕温泉に行く時に見たガチ登山靴がやはり欲しいなぁと思った。

運動もしたことでますますお腹が減った。駐車場に戻って来た頃には大体8時半ごろになっていたので、あと30分もすればお店が開き始めるだろうといった時間になっていた。僕は赤倉温泉の中心街に戻ることにした。


赤倉温泉の中心街に戻って来て次に向かったのは赤倉温泉のロープウェイ。赤倉温泉には中心街のとても目立つところにロープウェイの山麓駅がある。このロープウェイに乗ると、標高1300mの妙高山の山頂付近まで一気に上ることができる。さらにスマホで調べた情報によると、その山頂駅の近くにはスカイテラスがあるらしく、そこでは赤倉観光ホテルのパティシエ監修のスイーツや軽食がいただけるとのことらしい。僕はせっかくなのでロープウェイに乗ってそのスカイテラスで朝ごはんを食べることにした。

まずはロープウェイの山麓駅近くにある駐車場に車を停める。ここから見上げる丘の景色もとても綺麗だった。

赤倉温泉ロープウェイ山麓駅の入り口

山麓駅でチケットを購入し、5分後にロープウェイが出発するとのことなのでエスカレーターで乗り口まで上ってロープウェイに乗り込んだ。僕以外にも観光客が10人くらいいたと思う。ロープウェイはそこそこ大きかったため満員電車みたいにならずに済んだ。ほどなくしてロープウェイが出発した。ロープウェイに乗ったことは何度もあるので慣れているはずなのだが、いざロープウェイが動き出すと、思ったより速いな、といつも思う。ロープウェイはぐんぐん高度を上げていく。高所恐怖症の僕はこれがいつもちょっと怖い。でも上る途中で見える山々の景色はとても綺麗だ。遠くの方に先ほど行った野尻湖も見える。今頃はあそこも晴れているのだろうか。そんな感じで景色を楽しんでいたら10分弱くらいでロープウェイは山頂駅に到着した。


ロープウェイを降りて外に出ると、まず先ほどとは明らかに気温が下がっていることに気づく。半袖の僕は若干の肌寒さを感じた。標高が上がるとここまで体感温度が変わるのだなぁと改めて気付かされた。

目当てのスカイテラスは山頂駅のすぐそばにあった。お店の前まで行くとちょうどお店がオープンしたばかりのようで、僕も含めて観光客たちがどんどんお店の中に入っていく。大きな窓が店内を囲っており、開放的で清潔感のある過ごしやすい店内だと感じた。窓の向こうのテラス席にはインスタ映えのために作られました感のある縁の見えないプールが用意されており、水が向こうの景色に向かって流れ落ちていくように見えるその光景は自然と一体になっているようだ。あとで調べたことだがこういうプールを"インフィニティプール"と呼ぶらしい。食事は店内席でとるつもりだがこのプールの写真はお店が空いているうちに撮っておこうと思い、いったんテラス席に出て写真だけ撮った。

スカイテラスのインフィニティプール

プールの写真を撮ったところで店内に戻り、何を頼むか考えた。このお店は雲海パフェという一風変わったパフェが名物だという。メニューの写真を見てみたところ、これもこれでインスタ映えのために作れられました感がムンムンに感じられる。僕はこの名物パフェよりも無難なパフェが食べたいと思ったのでストロベリーパフェを注文することにした。注文はお店に置かれている券売機で食券を発行するシステムのようなので券売機の方に向かった。券売機の前に行くと一人のおばちゃんが券売機の前で、連れの家族に向かって「何にするー?」と聞いていてなかなか券売機を操作してくれなかった。僕はおばちゃんが家族とやりとりをしている間ずっと後ろで待っていた。みんなでメニューを決めてから券売機に来てくれないかなぁと思ってしまう僕の心は狭いのだろうか。

おばちゃんが前からいなくなり、僕が券売機を使う番になった。決めていたとおりストロベリーパフェの食券を購入しようとお金を入れてストロベリーパフェのボタンを押したら、なぜか番号だけが書かれたすごく短い紙が出て来た。それを見た僕は果たしてこれは食券なのだろうか?と疑問に思った。僕はその番号だけ書かれた短い紙を店員さんの元へ持って行くと、店員さんは少し困った顔をしながら、

「こちらの呼び出しベルをお持ちください」

と言って僕に呼び出しベルを渡して来た。とりあえず僕は店員さんに言われたままその呼び出しベルを持って確保しておいた席に戻った。席に戻ってから券売機の方を見ると、店員さんが券売機を開けて何やら作業をしていた。どうやらちょっとした不具合があったらしい。


しばらくすると呼び出しベルが鳴ったので、厨房の方へそのベルを持って向かうと僕のストロベリーパフェが用意されていた。用意してくれた若い女性の店員さんに、コイツ男一人でストロベリーパフェ食うのかよなんて思われていたらどうしようなんてことは微塵も考えずに受け取った。そのまま席に戻ってパフェを食べようかと思ったが、テラス席が空いていたので一度ストロベリーパフェをテラス席に持って行ってより日差しが当たる場所でパフェの写真を撮ることにした。パフェのアイスが溶けないうちにさっさと撮影して店内席に戻った。

席に戻ってストロベリーパフェを食べた。朝ごはんでパフェを食べる経験もなかなか珍しい気がする。パフェは甘くて美味しい。パティシエが監修しているだけあって観光客向けの売店とかで食べるもののような素人感は感じない。窓からはプールの向こうに山々や小さくなった街が見える。ロケーションは抜群。とても良い朝食だ。向こうのテーブルを見てみると、家族連れでやって来ている若い女の子が厨房から受け取ったパフェをテラス席に持って行って何枚も写真を撮っているようだった。しばらくして女の子は写真に満足したのか店内席の家族の元にパフェを持って戻ってきた。その光景を見て、僕はその若い女の子が僕の行動に追随したかのように見え、なんだか誇らしげな気分になった。それと同時にこれしきの出来事でぬか喜びしてしまう自分はまさに弱小インフルエンサーだなと思った。

スカイテラスで食べたストロベリーパフェ


パフェを食べ終えた後はお店を出て山頂駅の周辺をぶらぶら散歩した。がほどなくして山麓駅行きのロープウェイが出発するとのことなので、散歩はそこそこにしてロープウェイに乗ることにした。山頂駅付近での滞在時間は30分もなかった気がするが満足である。ロープウェイはいつも行きよりも帰りの方が怖い。下に向かって下っているからだ。ロープウェイからの景色は今後またしばらく見られないだろうと思い、山麓駅に着くまでなるべく目に焼き付けておこうとずっと外を眺めていた。

ロープウェイからの景色。遠くに見える湖が野尻湖。



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