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【短歌】「きょうの旅」其の弍

「鴨川」

待ち合わせ
来ないあなたは
夢の中
二度寝三度寝
暁知らず

鴨川に
ならぶカップル
みて歩く
ねぼうの君に
呪いの言葉

いつまでも
あなたの来ない
旅の地で
モノクロになる
落胆の空

あとがき

 時間を守らない人に寛容になれるかは、その待ち合わせ場所がポイントになります。
 本屋ならいくらでも待てます。カフェやベンチなら、本を読んで待ちます。待ち合わせが、駅の改札や、ただの雑踏であるなら、イライラ度が高くなります。

 ましてや視界に、幸せそうなカップルが等間隔に並んでいるのを見ると、森見登美彦の「四畳半神話大系」で主人公が、鴨川デルタでイチャつくカップルにロケット花火を打ち込んだ気持ちが、非常に理解できます。
 この小説の主人公「私」は非常に「こじれた人物」ですが、この小説・アニメを見て「聖地」だと、この界隈を訪れる私も、おそらく「こじれた人間」です。

 私が京都に出没する理由は①神社仏閣を巡ること。②映画・2時間ドラマのロケ地を探すこと、③小説・漫画の舞台を探すことです

 例えば、森見登美彦の小説「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」「サマータイムマシンブルース」書かれている場所を確かるために、出町柳に降り立ちます。

 改札を出て、鴨川デルタ、下鴨神社方面を歩くか、反対方面に歩き、まずは阿闍梨餅本店で、出来立ての阿闍梨餅を食べながら歩く。百万遍の交差点に立ち、ひとしきり風景を堪能し、進々堂で珈琲を飲む。次に吉田山、吉田神社から京都大学の構内を歩き、時計台を眺めて「ガリレオ」のオープニングに思いを馳せ、軽く横道にそれます。トリは吉田寮を遠目に見て終了です。このような散歩をするのです。

 そんな私の貴重な時間を無駄に消費する人物と、後々も付き合う必要があるなら、その相手を「遅刻大魔王」と認定し、待ち合わせ場所を本屋かカフェにする対策をするだけです。
 それでも来ないなら「私をお探しなさいな、オホホ」と姿を消すだけです。この記事を読んで思い当たる人は、今後は遅刻を改めてください。私は「聖地」巡りを急ぎますので。

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 お店の前に工場があるので、ほんのり温かい阿闍梨餅を食べることができます。出来立ての柔らかさは格別です。


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