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「居心地の良い場所」

 何か重大な罪を犯した訳でもなく、物騒な人に負債を抱えている訳でもない私は、差し迫って逃亡する必要は全くない。しかし、心が疲れたとき、心を守るために身を置く逃げ場所は確保しておいた方が良い。

 それでは、そんなとき、私はどこへ身を置くことにしようか。理想を言えば、空の上が極めて居心地が良い。私が空を飛行する訳ではなく、飛行するのは飛行機であり、私はその中である。空気を切り裂く音、力強いジェットエンジン音は心を鎮めてくれる。巡航高度から見下ろす景色も最高である。しかし、海外に行く訳でもなければ一日中飛行機に乗っている訳にもいかない。

 結局、私が行き着く先は、公園水辺空港の何れかとなる。

1 公園
 まず、一番手っ取り早いのは公園である。一口に公園と言っても、住宅街にあるような小さな公園もあれば、地域的に知られるような大きな公園もある。ちなみに私が好きなのは後者である。夏は日陰、冬は日向に腰掛ければ、私は時間が許す限りのんびりできる。更に、寝転がれる芝生があれば言うことがない。これだけ言うと、中央競馬の競馬場でも良いのではいかという気がしてきた。
2 水辺
 水辺も居心地が良い。写真の場所は出町柳駅よりすぐ、高野川と賀茂川が合流し、鴨川となる地点であるが、あの飛び石を飛んでいるときは、悩み事を容れる余地はなくなり、心の内に抱えた大抵の悩みは水に流せる気がしてくる。少しばかり時間を掛けて、海へ赴くのも良い。海辺で飲むビールの何て美味しいことであろう。
3 空港
 予定のない休日、空を見たくなったときに足を運ぶには空港もちょうど良い。巨大な推力を発生させるジェットエンジン、離陸時のその轟音は、展望デッキの空気を心地よく振動させ、それはそのまま私の心の推力となる。併せて空港内飲食店でお酒を楽しむのも悪くない。

 ここまで書いて、私にはいくつもの逃げ場所があることを再認識した。どこに行こうか悩むよりも先に足を動かせば、もはや悩んでいる暇はないのではないかと思えてくる。ここに挙げた以外にも、寺社を巡るのも良いし、カフェでコーヒーを楽しむのも良い。同じ所に長く留まることを考えなければ、行く先はもっと多い。

 寝心地の良いベッドで思い悩むより、足を動かし、心穏やかに過ごせる場所を増やしていきたい。そうすれば、今よりももっと笑顔でいられる時間が増える、と思う。

ここまでご覧頂いただきまして誠にありがとうございます。 大事なお時間に少々の笑顔をお届けできれば幸いです。