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先生、どうか皆の前でほめないで下さい

#読書の秋2022 #先生、どうか皆の前でほめないで下さい  #わたしの本棚

はじめに

本屋で「先生、どうか皆の前で叱らないで下さい」ありますか?
と言って失笑を買った。それぐらい反語的タイトルだ。

今の学生は、たった10年前の学生と気質が異なる

10年前、学生に「次回までにこれをしておくように」と指示し、「はい、わかりました!」と元気よく返答したのに、次回、「できませんでした。ムリです」と平然という。アルバイトが忙しかったとか言い訳をはじめる。「事前に相談ぐらいできただろう」と、きつく叱ると二度と私の前に姿を見せることはなかった。

私の同級生、機械研、産総研の同僚はもちろん、機械研や産総研で共同研究をした研究者や技術者、短期あるいは長期インターンでやってきた学生たちを含め、「締切を守らないだけでなく、引き受けた作業自体を放棄する」人に会ったことがなかった私は「こんな人が存在するんだ」と驚いた。

本書を読むと、彼は、この本に出てくるタイプの学生で、時代を先取りしていたことが理解できる。

ぼっち・ざ・ろっく

「ぼっち・ざ・ろっく」が、2022年秋アニメでぶっちぎりの人気だ。

ストーリー構成、絵作り、直接刺さる数々の楽曲などのヒット要素が揃った上で、
主人公の「人に合わせる」姿から徐々に抜け出すところが、本書に出てくる層に強く共感されているのではないか。

若者に人気の住野よるさんの著作の主人公も、それほどではないが似た部分を抱えている。

著者の訴えと解決策

著者は、体験談を多数示して、今の学生の同調圧力を説き、「これが通用するのは日本だけ」であること、海外では「如何に目立ち、自分を売り込めるか」に腐心し、日本は真逆だとして日本の将来を危惧する。

では、どうすればこの状況を打破できるのか?
著者は
第9章で大人の読者に「現状を嘆くのではなく、自分が模範を示せ」
第10章で若者に「自分を変える方法」を述べている。

私の考える解決策

私は、著者が推奨する人間に「自己を変革する」ことは「出る杭は打たれる」対象になるだけで、返って自己変革した人の状況を悪化させるだけだと感じる。

私が常々感じている「出る杭を打つ」日本の風土が変わらないと問題は解決しない

「太陽を創った少年」を育てる風土醸成が必要

*****
日本:この忙しい時に有給休暇を取るなんて信じられない!
北欧:ゆっくり楽しんでリフレッシュしておいで。旅行から帰ったら、楽しい話しを聞かせてね。次は私の番だからね!

日本:有給休暇に私用の実家帰省をくっつけるなんて公私混同だ!一度会社に戻ってから帰省し直せ!
北欧:せっかくの出張だから、個人旅行をくっつけて見聞を広げて見識を豊かにしておいで。

日本:沖縄の国際会議に出張!遊びじゃないんだぞ、発表だけしてとんぼ返りしろ!くれぐれも遊んでくるんじゃないぞ
海外:国際会議はリゾート地で開催しよう。なんといってもファミリープログラムを家族ぐるみで楽しんでもらえなかったら失敗だからな。普段は入れない洞窟にある文化財でバンケットを行い、ヨットクルーズで我が国の素晴らしさを体感してもらおう

あとがき

イギリスの国際会議に出席したら、樋口先生の教え子が参加していた。イギリスの会社で働いているという。彼は、在学時から、就職先はイギリスの会社と決めていた。
彼曰く
日本の会社は労働条件がひどくて勤めるところじゃないですよ。イギリスにして大正解でした。勤務は9時5時で、昼休みと午前午後の紅茶休憩を含めて8時間勤務。住環境も素晴らしい。

日本は近々疲労破壊する

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