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僕は突然、難病になった。

矢野康弘(やのっち)です。
このnoteを見つけていただき
ありがとうございます。
僕は2017年から、突然、
原因不明の難病を発症し
いまもその病気を抱えながら生きています。

どんな病気…?

「中枢性羞明」
ちゅうすうせいしゅうめい、と読みます。

テレビ、スマホ、パソコン、LED、照明、
タッチパネル、看板、車のライト、
現代に溢れているあらゆる人工的な光。

そして、青空や太陽、窓から差し込む自然光。

それを見ることで
脳に殴られたようなダメージを感じる、
そういう病気です。

眼球や網膜にはなにも異常がみられず、
脳が原因の病気ではないかといわれています。
最近では「眼球使用困難症」と呼ばれている
病気の一種です。

現代医学では、
まだ本当の原因も、治療法も、緩和方法も
なにも確立していない病気
ということです。
薬も、手術も、なすすべが何もありません。

主治医の先生曰く
日本に数百人しかいないと思われる
珍しい病気で、
まだ完治した人がいない・・・
そして、同じ病気で励ましあったり
理解しあえる人がほとんどいないのです。

それは、とても孤独です。

しかも指定難病に認定されていないので、
公的に救ってもらうことが
極めて難しい病気です。
将来のことを考えると
重たい不安に押しつぶされそうになるので
できるだけ明日くらいまでのことしか
考えないようにしてます。

僕は元からとても視力が低かったのですが
この病気によって
視力矯正が難しくなってしまいました。
そのため、弱視で視覚障がい者として
障害者手帳を持つことになりました。

しかし、障害年金がすぐにおりることもなく
特殊な病状を知ってもらうだけでも
とてもハードルが高く
今はこの難病をサポートしてもらう制度もありません。

妻や、友人たちのおかげで
なんとか生きているような状態です。

光を避けて生きるということ

現代に生きる人にとって
「光」を避けて生きるということが
どれだけハードルが高いか…
ちょっと想像してみてください。

ライフラインとなるスマホやパソコンが
まともに使えない不便さ…
(このnoteは妻に代筆してもらっています)

テレビや映画やドラマやステージを、
一生見ることができない人生。

そして、病気は残酷にも進行して
2021年1月頃、
初めは大丈夫だった自然光も
ついにダメになってしまいました。。。

今では、家は雨戸を閉めて
遮光カーテンを閉め切り
他の部屋の灯りもすべて遮断して
真っ暗な部屋に24時間、
居続けることしかできません。

このように暗い部屋に24時間います(ほとんど写らないのでカメラで少し明るめに補正しています)

家族も、なるべく電気を使わずに
他の部屋でも小さい読書灯を使ったりして
強い光が出ないようにしてくれています。

視覚的な情報にあふれる現代で
それを奪われるだけでなく、
光が存在する空間にいることが難しい、
そんな状態を想像できる人は少ないと思います。

普通の視覚障がいと違うのは
目が使えない、というだけでなく
【光の存在する場所に居ることができない】
という、とても生きづらい状態です。

照明やLED表示や看板だけでなく
駅でも車内でも全員スマホを使っている。
光の洪水。
便利な世の中は光に溢れていて
外に出ることも難しくなりました。

家の中でもどこでも、僕はずっと
遮光(しゃこう・光を遮る特殊な)サングラスや
パラリンピックの選手が使っている
視界が真っ暗になるゴーグルをかけています。
横になっている時は遮光ドームで頭部を覆っています。

しかし、わずかな光でも
ダメージは蓄積します。

そういう光によって、脳にダメージが起こると
頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、倦怠感、硬直、など
とても具合が悪くなります。
ちょうど格闘ゲームのダメージがインジケーターで表示されるみたいに
光の強さに応じて
どんどんダメージが溜まっていきます。
そして、文字通り
すぐにダウンしてしまいます。

普段でも、不調は常にあり
目の痛みや不快感があったり
目が開けづらい時もあります。

僕の場合、不思議なことに
はじめは人工的な光がダメになり
太陽や炎の明かりは、まだマシでした。
焚き火や、昼間の公園や
人工的な光が介在しない場所では
サングラスは着用するものの
体調不良が起こりづらかったのです。

はじめの1年くらいは
昼間に野山や森を散歩したり、
公園で過ごしたりすることが増えました。
窓の大きなカフェで、照明がついていない店に
少しだけ入ることもできたり。
そういうことを
ちょっとずつ手探りで試してきました。

人工的な光のない場所を散歩していた頃
まだ体力があった時はいろんな野山を歩きました
まだ希望を捨てずに、前を向いていきたいけれど…

しかし、病状が進行して
ついに自然光もダメになってしまいました。
散歩にも出られず、
家の中でも光を避けて
真っ暗な空間に永遠に閉じ込められたような
不安と恐怖でいっぱいの時間がやってきました。

僕の隔離状態がいつまで続くのかは
世界中の誰にも
まだわからないようです。

光に溢れた世界で生きてきた日々

僕は、渋谷で生まれ、ネオンの街で育ち
エンターテインメントの世界に入り
渋谷で「シアターD」という
お笑い専門のライブハウスを約20年間やっていました。
人にスポットライトを当てる仕事です。

その後、自分自身も歌手として
スポットライトを浴びる
ステージに立ってきました。
おかげさまで、
フジロックにまで出してもらえたり
大好きな歌を歌って全国を駆け回る日々は
とても幸せでした。

ステージに立っていた頃
お客さんと分かち合うかけがえのない時間

しかし、突然、
光とエンターテインメントを愛する僕の世界から
「光」が奪われてしまいました。

僕の希望の「光」が消え、
光と生きていた僕は、どん底まで落ちました。

これから僕は
どうやって生きていけばいいんだろう?

僕の世界で感じることを発信し続ける


今は妻に手伝ってもらいながら
僕がこの病気になって感じたこと、
伝えたいこと、
まだまだ知られていない難病のこと、
生きていくために何ができるか、
その模索や、日々のことを
できる限り発信していきたいと思います。
音声メディアも進化している中で
声での発信をあきらめずに、
希望を見つけていきたいです。

■やのっちYouTubeチャンネル「やのひろば」
https://www.youtube.com/@yanohiroba

■やのっちTwitter
https://twitter.com/yanocchi33

■メディア出演

ABEMA的ニュースショーに出演しました(下記リンク動画あり)
2023年4月23日
https://www.youtube.com/watch?v=d2fSfNhTPAA

NHK福祉ポータルサイト「ハートネット」の記事になりました
2023年4月12日公開
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/797/

NHKラジオ「視覚障害 ナビ・ラジオ」出演
「眼球使用困難症の支援は可能か?
~初の実態調査を踏まえて~」
インタビュー出演しました
2023年2月19日(日)放送のアーカイブを聴くことができます。

https://www.nhk.or.jp/heart-net/shikaku/list/detail.html?id=47374#contentshifu

NHKラジオ「視覚障害 ナビ・ラジオ」出演
「眼球使用困難症を知っていますか?」2020年11月22日(日)放送
※今より症状がまだ軽かったころにインタビュー出演しました
https://www.nhk.or.jp/heart-net/shikaku/list/detail.html?id=47255#contents

最後までお読みくださり
ありがとうございます。
こんな風に
孤独と闘っている人が存在してることを
こうして知ってもらえるだけで
少し救われます。

そして、もし良かったら
この記事をシェアしてもらえたら助かります。
ひとりでもこの病気を知ってくださり
理解と研究が進むことを願うばかりです。

矢野康弘へのご支援についてはこちらをご覧ください
https://note.com/yanocchi45/n/n4a8669d1d837

(noteやSNSなどの発信は家族が代筆しています)

 2021年10月1日追記
 2023年6月18日更新
 2024年1月17日更新
(2019年春に書いたブログに
 病状を書き足した改訂版です)

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