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※無償公開【同人誌市場㊦】(2018.7.1発表)

※本書は2018 年7月1 日発表の調査データです。最新の情報ではない可能性がありますのでご了承ください。

目次

#【同人誌市場㊤】
・市場定義/市場構造
・同人誌即売会の比較 by「X ビジネスエンジン」
・市場規模

#【同人誌市場㊦】
・主要事業者の動向
・主要事業者詳細個票①(エイシス)
・主要事業者詳細個票②(コミケット)
・主要事業者詳細個票③(虎の穴)
・関連事業者簡易個票①(ケイコーポレーション)
・関連事業者簡易個票②(ケイ・ブックス)
・関連事業者簡易個票③(メロンブックス)
・関連事業者簡易個票④(ユウメディア)
・関連事業者簡易個票⑤(らしんばん)

≪主要事業者の動向≫

コミケット:

 1985 年に創業し、東京ビッグサイトで開催される同人誌即売会「コミックマーケット」(以下「コミケ」)の運営に必要な諸々の事務作業や実施会場確保の際の契約業務などを行っている。
 「コミケ」は世界最大規模の同人誌即売会で、毎年8 月(「夏コミ」)と12 月(冬コミ)の年2 回、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で3 日間ずつ開催されている。2017 年12月に開催したコミケで通算93 回目となった。
 「コミケ」は、1975 年から開催されており、運営はボランティアスタッフで構成される「コミックマーケット準備会」が主催していた。しかし、イベント開催規模が大きくなるにつれ任意団体である「コミックマーケット準備会」では運営が困難になってきたことから、運営組織として同社を設立した。個人情報の取扱いに関わる法人格が必要な場合などを同社が対応し、「コミックマーケット準備会」をサポートしている。
 同社の具体的な業務は、現在約3,000 人から成る「コミックマーケット準備会」からサークル配置データの提供を受け、コミックマーケットカタログを製作するほか、会場と契約して場所を提供するといったことが主となる。


虎の穴:

 1994 年6 月、同人誌、商業誌を中心に取り扱うショップ「コミックとらのあな」を秋葉原にオープンしたことを契機に事業を開始した。開業当時は同人誌即売会に参加する以外に同人作家が作品を提供するマーケットが存在しなかったことから、そうした場の提供を行っていきたいとの想いで事業展開をスタートさせ今日に至る。
 秋葉原にオープンして以降順調に店舗数を増やし続けており、2018 年6 月現在、日本全国に27 店舗を展開する。
 同店舗の特長としては、同人誌や商業誌のほか、アニメに関連する映像・音楽ソフト、及びアニメ関連書籍やグッズ等を幅広く取り扱っている点である。また、秋葉原の観光地化や商業施設の増加に伴い、秋葉原へ来るライトユーザー層や女性層が増えていることから、全年齢向け・女性向け同人誌の取り扱いも充実させている。
 客層に関しては、20~40 代を中心に幅広い年代に支持をされている。男女比は6:4 程度であり、比率は大きく変わっていないが、昨今ますます女性客が増加傾向にあると感じている。店舗のつくりが男性向けとなっていることから男性比率が多いが、ネット通販についてはやや女性の方が多いようである。
 新品同人誌の流通形態は、同人サークルから同人誌を買い取り販売する「買切」と、サークルから同人誌を預かり、販売手数料を差し引いて売れた分をサークルに支払う「委託」の2 パターンがある。「委託」の掛率は64~67%(税別)、「買切」の掛率は60%(税別)となっている。同社専売作品の販売部数が2,000 部を超えるサークルには売上総合計の6%をキャッシュバック、1,000 部超だと3%をキャッシュバックしている。併売時では1,000部を超えると3%のキャッシュバックを実施している。
 実店舗のほかにもインターネット通販サイトの運営を行っている。主に男性向けの「とらのあな」、女性向けに特化した「Toranoana Princess Side」、ダウンロード販売の「とらのあなダウンロードストア(TDS)」を運営する。ここ数年は、スマートフォンの普及に伴い、それに対応したサイトも提供している。

エイシス:


 1996 年より二次元総合ダウンロード販売サイト「DLsite.com(ディーエルサイトコム)」の運営を開始しており、同人コンテンツのダウンロード販売におけるパイオニアである。
 同サイトの特徴としては、「品揃えの豊富さ(取扱作品数の多さ)」と「過去の同人作品も購入可能」な点である。過去の同人誌作品は、紙ベースの場合、品切れで入手困難なこ
とが多いため、過去の作品を欲しがるユーザーに重宝されている。さらに、「全年齢」「成人男性」「成人女性」「ゲイ」「海外」と明確に作品ジャンルを区別した上でそれぞれのサイトを構築しているため、ユーザー、サークルともに使い勝手が良いことも大きな特徴である。
 2018 年6 月時点での登録作品数は約42 万タイトル、登録サークル数は約3 万7 千人である。同人コンテンツのみでは約29 万タイトルとなっており、その中で同サイトと専売契約をしている作品は約1 万タイトルである。2017 年の年間新規販売作品数は、約5 万1 千タイトルで、その内、同人コンテンツは約2 万2 千タイトル、商業作品が2 万9 千タイトルであった。また、同サイトの利用デバイス比率はPC が約7 割、スマートフォンが約3割となっており、スマートフォン利用の拡大傾向が続いている。
 DLsite.com のほかには、美少女に特化したソーシャルゲームとブラウザゲームのプラットフォーム「にじよめ」、動画・音声・音楽・コミックなどの体験版が無料で楽しめるサービス「chobit(ちょびっと)」、まとめ記事作成や掲示板機能が充実した二次元情報サイト「DLチャンネル」などのサービスを展開している。
 「にじよめ」は、2013 年にスマホ版、2015 年からはPC 版のサービスを開始し、会員数は130 万人以上に拡大している。また、にじよめアプリでは2018 年6 月時点で180 タイトルを展開している。2017 年度にはDLsite.com とアカウントの統合を行い、1 つのID で双方のサイトを活用できるように利便性の向上を図った。
 「chobit」も順調に登録作品数を増やしており、2018 年6 月時点で約2 万タイトルとなっている。
 2018 年4 月には、クリエイターの作品創作の過程を支援できるプラットフォーム「Ci-en(しえん)」を開設している。同サイトでは、クリエイターに対して、金銭的な支援を送ることができるサービスを行なっており、開設後2 ヶ月の時点でクリエイター登録は千数百アカウントとなっている。
 同社サイトにおける掛け率に関しては、ここ数年変動はなく、小売価格1,000 円のコンテンツの場合、卸価格(サークルの売上)は600 円(掛率60%)、残り400 円は同社への販売委託手数料となっている。また小売価格100 円の場合の卸価格は30 円(掛率30%)同3,900 円の場合3,000 円(掛率76.9%)と、単価が高くなるほど掛率(サークルの取り分)が大きくなる仕組みを採用している。またサークル向けに無料コピープロテクトツー
ルも備えている。
 法律や公序良俗に反するコンテンツの流通を防ぐため、同社独自で定めた基準を満たす作品のみを扱っている。審査のために専門部署を構えており、同社内でも一番人員を配置する大きな部門である。登録から販売まで早ければ中1 日で販売可能な体制を敷いている。

<同人誌市場 詳細個票>
①株式会社エイシス

エイシス

1.事業概要
●同人誌のダウロード販売事業を展開
 1996 年より二次元総合ダウンロード販売サイト「DLsite.com(ディーエルサイトコム)」の運営を開始しており、同人コンテンツのダウンロード販売におけるパイオニアである。
 同サイトの特徴としては、「品揃えの豊富さ(取扱作品数の多さ)」と「過去の同人作品も購入可能」な点である。過去の同人誌作品は、紙ベースの場合、品切れで入手困難なことが多いため、過去の作品を欲しがるユーザーに重宝されている。さらに、「全年齢」「成人男性」「成人女性」「ゲイ」「海外」と明確に作品ジャンルを区別した上でそれぞれのサイトを構築しているため、ユーザー、サークルともに使い勝手が良いことも大きな特徴である。
 2018 年6 月時点での登録作品数は約42 万タイトル、登録サークル数は約3 万7 千人である。同人コンテンツのみでは約29 万タイトルとなっており、その中で同サイトと専売契約をしている作品は約1 万タイトルである。2017 年の年間新規販売作品数は、約5 万1 千タイトルで、その内、同人コンテンツは約2 万2 千タイトル、商業作品が2 万9 千タイトルであった。また、同サイトの利用デバイス比率はPC が約7 割、スマートフォンが約3割となっており、スマートフォン利用の拡大傾向が続いている。
 DLsite.com のほかには、美少女に特化したソーシャルゲームとブラウザゲームのプラットフォーム「にじよめ」、動画・音声・音楽・コミックなどの体験版が無料で楽しめるサービス「chobit(ちょびっと)」、まとめ記事作成や掲示板機能が充実した二次元情報サイト「DLチャンネル」などのサービスを展開している。
 「にじよめ」は、2013 年にスマホ版、2015 年からはPC 版のサービスを開始し、会員数は130 万人以上に拡大している。また、にじよめアプリでは2018 年6 月時点で180 タイトルを展開している。2017 年度にはDLsite.com とアカウントの統合を行い、1 つのID で双方のサイトを活用できるように利便性の向上を図った。
 「chobit」も順調に登録作品数を増やしており、2018 年6 月時点で約2 万タイトルとなっている。2018 年4 月には、クリエイターの作品創作の過程を支援できるプラットフォーム「Ci-en(しえん)」を開設している。同サイトでは、クリエイターに対して、金銭的な支援を送ることができるサービスを行なっており、開設後2 ヶ月の時点でクリエイター登録は千数百アカウントとなっている。
 同社サイトにおける掛け率に関しては、ここ数年変動はなく、小売価格1,000 円のコンテンツの場合、卸価格(サークルの売上)は600 円(掛率60%)、残り400 円は同社への販売委託手数料となっている。また小売価格100 円の場合の卸価格は30 円(掛率30%)、同3,900 円の場合3,000 円(掛率76.9%)と、単価が高くなるほど掛率(サークルの取り分)が大きくなる仕組みを採用している。またサークル向けに無料コピープロテクトツールも備えている。
 法律や公序良俗に反するコンテンツの流通を防ぐため、同社独自で定めた基準を満たす作品のみを扱っている。審査のために専門部署を構えており、同社内でも一番人員を配置する大きな部門である。登録から販売まで早ければ中1 日で販売可能な体制を敷いている。


2.業績概況


 2018 年3 月期の売上高は、前期比14.1%増の90 億9 百万円となり、ここ数年2 桁成長を続けている。主な増収要因としては、ヒット作品に対して単体で広告を投入したり、販売前にサイト内でカウントダウンを行うなど、より売れるようなアプローチを行ったことが奏功した。
 売上高の約8 割が男性向け同人コンテンツであるが、ここ数年は音声作品の人気が継続している。特に「耳かき音声」は10 代後半を中心とした若いユーザーが増えている。また「もんむす」をはじめとしたRPG のアダルトゲームに関しても、30~40 代といった幅広い層の人気を集めている。
 新規ユーザーは月15,000 人ペースで増え続けている状況である。同社が取り扱うコンテンツが男性向け中心であることからユーザーの約9 割は男性、平均年齢は30 代が大半を占めるという。20 代のユーザーや女性ユーザーも増加傾向にあるという。1 コンテンツ当たりの平均小売価格はマンガで700~1,000 円、ゲームで1,000 円~2000 円程度となっており、こちらは大きな変動はない。
 年間売上高計上時期の傾向としては、夏(7-9 月)と冬(12 月-1 月)にかけて売上高が特に大きく伸張する傾向を示している。その要因は、祝日が多く同人サークルが制作に時間を取りやすいことや、同人イベントと同時期もしくはイベント直後に合わせて新作を登録するサークルが多いことに加えて、この時期に合わせて同社では“半額キャンペーン”を実施していることも影響している。


3.事業体制、事業戦略


●コンテンツ審査や無断転載への対策
 同社は、コンテンツの審査を担当する部門に最も人員を割いている。また、DLsite.comで販売する作品に対して無断で転載されないよう、作家やサークルに代わって同社が対策を講じている。個人だけでは対策を講じることが大変難しいため、同社が代行して行っている。費用負担に関してはサークルなどには求めず、同社が負担している。対策する作品に関しては、基本的に新製品とサークル・作家から申請があった作品に対して行っている。

●プロモーション活動
 プロモーションについては、各同人サークルが自サイトから同社へ張るリンクやアフィリエイトなど、インターネット広告を主に展開している。ここ数年は、意識的に広告の出稿を拡大させている。その他、同人誌即売会における企業ブースの出展やサークルへの直接営業、イベントカタログへの広告出稿も行っている。一方、雑誌媒体への広告は減らしている。スマートフォン向けの広告に注力しており、バナー広告などに予算を投じている。


●海外展開
 DLsite.com では、英語版サイト「DLsite.com English」を2004 年から開設しており、日本国内のみならずアメリカ・カナダ・ドイツ・イギリス・フランスなど欧米を中心に、海外向け販売や、海外同人サークルの作品を取り扱っている。英語版サイトでも、スマートフォン対応、成人向け、全年齢向け、ゲイ向けなどサイトを分けて細かなニーズに対応している。サイト開設以降順調に会員を増やし、2018 年5 月時点で会員数15 万人を突破し、海外向け売上高は総売上の3~4%程度となる規模まで拡大している。
 同社では、日本国内にいるクリエイターの海外展開をサポートするために、7 言語に対応した翻訳や、英語での音声吹き替えなども行っている。
 今後も英語以外の言語に対応した販売サイトの提供や、販売コンテンツの英語化(ローカライズ)などの施策により海外売上の拡大を目指していく方針である。

②有限会社コミケット

コミケット

1.事業概要


●世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」を運営
 同社は、1985 年に創業し、東京ビッグサイトで開催される同人誌即売会「コミックマーケット」(以下「コミケ」)の運営に必要な諸々の事務作業や実施会場確保の際の契約業務などを行っている。
 「コミケ」は世界最大規模の同人誌即売会で、毎年8 月(「夏コミ」)と12 月(冬コミ)の年2 回、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で3 日間ずつ開催されている。2017 年12月に開催したコミケで通算93 回目となった。
 「コミケ」は、1975 年から開催されており、運営はボランティアスタッフで構成される「コミックマーケット準備会」が主催していた。しかし、イベント開催規模が大きくなるにつれ任意団体である「コミックマーケット準備会」では運営が困難になってきたことから、運営組織として同社を設立した。個人情報の取扱いに関わる法人格が必要な場合などを同社が対応し、「コミックマーケット準備会」をサポートしている。
 同社の具体的な業務は、現在約3,000 人から成る「コミックマーケット準備会」からサークル配置データの提供を受け、コミックマーケットカタログを製作するほか、会場と契約して場所を提供するといったことが主となる。


2.業績概況


●2018 年1 月期の売上高は横ばいで推移
 2018 年1 月期の売上高は10 億円程度とここ数年は横ばいで推移している。1975 年の「コミケ」開催当時は、参加サークル数32、参加者数約700 名であったが、参加サークル数、参加者数とも年々増加し続け、現在では参加サークル数が3 万人超、入場者数が50 万人を超える規模となっている。2017 年12 月の「冬コミ」では、東京ビッグサイトの展示ホールをすべて使い(東1~8 ホール)、3 日間の来場者数は55 万人であった。夏・冬を合わせると6 日間で110 万人を動員しており、国内のイベントでは東京モーターショーに次ぐ規模である。ただ、1 日当たりの動員数ではモーターショーの倍以上となっており、もはや日本最大級のイベントといっても過言ではない。
 なお、同社は任意団体が運営する「コミケ」に付随する業務を補完する形で設立されていることから、その開催によって積極的に収益を得ていこうとするスタンスはない模様である。実際に「営利を目的としないアマチュアのためのシステム」を標榜している。

3.事業体制・事業戦略


●企業出展が拡大、2017 年夏コミには京都府精華町が町村として初出展
 企業の出展ブースは1996年より設置されているが、中には大手メディアも参加しており、民放を始め、2014 年にはNHKも初出展している。ニュースで取り上げられることも多くなり、若者にリーチしたい企業にとって、「コミケ」はかなり費用対効果が高い媒体となっている。
 実際に、森永製菓が筋肉自慢の男性ユニット「10 秒チャージ隊」と写真撮影するイベントを開くなどして話題を喚起、また、スポーツ用品のミカサが、女性に人気のバレーボール漫画「ハイキュー!!」を題材にしたストラップなどを販売するなど、「コミケ」を通じて若い人たちにブランドや商品を知ってもらう良い機会として捉えている。2015 年から出展している丸井グループは、アニメグッズの売り上げは想定通りであるとし、同社のエポスカード会員の新規加入の受け付けでは、計画比1.5 倍の会員を獲得したという。また、イラスト投稿サイトのpixiv は、グッズ販売のほか、「コミケ」での利用を見込みスマートフォンを使った決済アプリをリリースするなどしている。そのほか、アニプレックスやNBCユニバーサルなどのエンタメ系企業なども出展した。
 企業側にとってFacebook やTwitter を利用した広告と同様に、幅広い顧客層に対し自社製品を宣伝できるメリットがあることなどから、年々出店が増加している。また、近年は、ニコニコ動画など、ネットコンテンツ関連の出展も目立ってきている。以前は、テキスト中心であったのに対し、動画や画像が急速に増加しており、同人誌で出発した「コミケ」は、表現の幅においても拡大を続けている。
 ただ、大企業であっても抽選に通らなければ出展できない。「コミケ」はあくまでも一般ユーザーが中心であるというスタンスを貫いている。
 なお、今回の自治体では京都府精華町が、町村としては初めて出展し、町の広報キャラクターである「京町セイカ」をアピールした。


●「コスプレイヤー」の更衣室登録数は10 年超で倍増
 近年、コスプレイヤーが激増しており、コスプレ用更衣室の利用者数は、2005 年冬が約1 万2 千人であったが、2017 年冬には2 万5 千人超と大幅に増加している。男女別で見ると、女性が7 割強と圧倒的に多い。「コミケ」では、コスプレも表現の一部と捉えており、2012 年の「夏コミ」より、コスプレイヤーのために専用更衣室を用意したり、着替えを早くすることができる「先行入場」システム(要予約)を取るなどして、イベント全体の魅力度を高めるため便宜を図っていることも背景にある。
 また、安全への配慮などもあり以前は規制されていたアイテムが、徐々に規制緩和され、よりキャラクターを表現しやすくなっている。例えば「長物」と呼ばれる30 ㎝以上の小道具は、長い間持ち込み禁止であったが、振り回さないことなどの条件付きで2011 年に解禁され、よりダイナミックな表現が可能になっている。2013 年からは、カメラマンが三脚やレフ板を使って撮影できるようにもしており、一層の活性化が見られた。


●「コミックマーケットカタログ」Web 版で利便度向上
 「コミックマーケット準備会」は、参加する各サークルの紹介とその配置の紹介を兼ねた冊子「コミックマーケットカタログ」を毎回刊行している。このカタログは開催の1 ヶ月ほど前から「コミックマーケット準備会」のほか、大手書店や同人ショップによる通販などで販売され、開催期間中には会場においても購入することができる。
 2013 年5 月には、会場マップや参加者一覧が閲覧できる「コミケWeb カタログ」がリリースされた。また、専用の高速サーバーにて運用されているため、通信トラフィックが込み合っている時間帯でも閲覧性の良い点が特長となっている。さらに、コスプレイヤー向けの「コミケコスプレコミュニティ」が設置され、コスプレSNS サイトとの連携機能も付加された。

4.課題・市場への見解・トピックス


●2020 年のオリンピック開催により規模縮小を余儀なくされる
 巨大イベントとして定着した「コミケ」であるが、2020 年のオリンピックの余波で会場問題が噴出している。ビッグサイトはオリンピックのプレスセンターとして2019 年夏から使用されることが決定しているため、2019 年夏・冬、及び2020 年夏の「コミケ」を同所で開催することができない状況となった。
 2019 年夏・冬は従来の東ホールに代わり、西ホールと新設された南ホールを使用することになったが、従来の規模よりは縮小せざるを得ない状況である。2020 年は大会期間中でもあるため、同年のゴールデンウィーク期間に開催時期をずらす見込みである。

③株式会社虎の穴

虎の穴

1.事業概要
●「コミックとらのあな」を全国27 店舗展開
 1994 年6 月、同人誌、商業誌を中心に取り扱うショップ「コミックとらのあな」を秋葉原にオープンしたことを契機に事業を開始した。開業当時は同人誌即売会に参加する以外に同人作家が作品を提供するマーケットが存在しなかったことから、そうした場の提供を行っていきたいとの想いで事業展開をスタートさせ今日に至る。
 秋葉原にオープンして以降順調に店舗数を増やし続けており、2018 年6 月現在、日本全国に27 店舗を展開する。
 同店舗の特長としては、同人誌や商業誌のほか、アニメに関連する映像・音楽ソフト、及びアニメ関連書籍やグッズ等を幅広く取り扱っている点である。また、秋葉原の観光地化や商業施設の増加に伴い、秋葉原へ来るライトユーザー層や女性層が増えていることから、全年齢向け・女性向け同人誌の取り扱いも充実させている。
 客層に関しては、20~40 代を中心に幅広い年代に支持をされている。男女比は6:4 程度であり、比率は大きく変わっていないが、昨今ますます女性客が増加傾向にあると感じている。店舗のつくりが男性向けとなっていることから男性比率が多いが、ネット通販についてはやや女性の方が多いようである。
 新品同人誌の流通形態は、同人サークルから同人誌を買い取り販売する「買切」と、サークルから同人誌を預かり、販売手数料を差し引いて売れた分をサークルに支払う「委託」の2 パターンがある。「委託」の掛率は64~67%(税別)、「買切」の掛率は60%(税別)となっている。同社専売作品の販売部数が2,000 部を超えるサークルには売上総合計の6%をキャッシュバック、1,000 部超だと3%をキャッシュバックしている。併売時では1,000
部を超えると3%のキャッシュバックを実施している。
 実店舗のほかにもインターネット通販サイトの運営を行っている。主に男性向けの「とらのあな」、女性向けに特化した「Toranoana Princess Side」、ダウンロード販売の「とらのあなダウンロードストア(TDS)」を運営する。ここ数年は、スマートフォンの普及に伴い、それに対応したサイトも提供している。


2.業績概況


 2018 年6 月期の売上高は前年比95.1%の193 億円を見込む。前期に比べて大きなヒット作に恵まれなかったことと、送料の値上げによる通販の停滞が主な要因である。
 一年を通した売上高の傾向としては、これまでは「コミックマーケット」開催直後の1月と8 月の売上高が特に大きく伸張していたが、近年においては女性向け同人誌の拡大に伴い、他の月(5 月・7 月・10 月・11 月)でも多くの女性向け同人イベントが開催されていることから、それらの月でも売上げが伸長しており、月ごとでの差は以前と比較すると縮小している状況である。
 2017 年度末時点における同社の取引実績に関しては、サークル数が約5 万、アイテム数が約15 万となっており、サークル数、アイテム数ともに増加している。


3.事業体制・事業戦略


●物流センターに新ラインを追加、作業の機械化や省力化を図る
 同社は、千葉県市川市に1 万㎡の規模を誇る自社物流倉庫「とらのあなロジスティックセンター」を構えている。同物流センターには、約4~5 万アイテムの同人誌などを保管しており、社内システムで全ての商品を管理している。通販顧客への発送業務や、全国27 店舗への配送も毎日実施している。
 2017 年度には新ラインを追加し、処理能力の向上を図ったほか、作業の機械化や省力化により配送頻度も向上している。

●2018 年7 月に「とらのあな大須店」をオープン
 2018 年7 月に国内28 店舗目で名古屋市内には2 店舗目となる「とらのあな大須店」(愛知県名古屋市)をオープンする。オープン記念には、購入金額3,000 円(税込)以上で景品が当たる抽選フェアを開催する。
 2018 年度には大須店のほかにも数店舗の新規出店を予定している。出店エリアなどについては、物件次第といった側面が強いが、通販顧客が多いエリアに出店していきたい意向である。また、既存店舗の増床やリニューアルについては、直近では大規模なものは予定していないが、小規模なものは適宜実施していく。

●通販サイトの利便性向上に努める
 スマートフォンの急速な普及に伴い、同社の通販事業に関しても好調な推移を示しており、ここ数年は売上高に占める割合が増加傾向にある。こうしたことから、ユーザーの更なる利便性向上に向けた施策を講じていく考えである。具体的には、検索機能やレコメンド機能を充実させている。今後もユーザーに合った商品を的確に紹介していくことができるサイト構築を継続していく。

<スマートフォンゲーム市場 簡易個票>

①ケイ・コーポレーション

ケイコーポレーション

②ケイ・ブックス

ケイ・ブックス

③メロンブックス

メロンブックス

④ユウメディア

ユウメディア

⑤らしんばん

らしんばん


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