面接で未経験者から大化けする大器を見出す為に必要なこと
私が勤めるアンテロープでは当社の業務は未経験でも入社後に大化けする人物が入社してきます。しかし、人材エージェントの仕事をしているとクライアント企業で応募要件を大きく外れている候補者を面接することはレアです。一方で、意外なキャリアとキャラの人物を採用して1年後に強力な戦力に仕立て上げている会社も少ないながらあります。この違いは何か。
採用でリスクを取りたくない、、、
応募要件を満たさない応募者を面接に呼ぼうと思う会社(人)はレアです。忙しい中で貴重な時間を使う訳ですから、応募要件を満たしている人々に絞ってお会いしたいという気持ちは分かります。ひょっとして、、、と思ってお会いしても「やっぱり期待外れか」という可能性の方が高いですから、良い人に会える可能性が高い方を優先するのは合理的です。期待外れの候補者であった場合に自分の時間を無駄にするリスクは負いたくないのは自然な感情でしょう。
また、例え、自分は「意外とこの候補者は良いかも!」と思っても、上司や次の面接担当者に回した時に「何で?要件と全然違うやん!こんな人回されても困るわ!」と言われるのは怖いです。しかも、採用して入社後に「やっぱり違った」となることは絶対に避けたいです。
自分が良いと思っても説明が難しい
普通なら不合格にする経歴や経験の人物を合格にする場合は、上司や次の面接担当者に対して分かりやすい説明をする必要があります。なぜ自分はこの候補者を良いと思ったのか?論理的に説明できなければ、次の面接担当者が会う理由を見つけることができません。
しかし、多くの人々は直感的にこの人は良い!凄いポテンシャルを持っている!と感じても、論理的で明確な説明は簡単ではありません。
必要なコンピテンシーを明確にすることがポイント
説明が難しい主な理由の1つに「自社の仕事で活躍する為に必要なコンピテンシーが何かを言語化できていない」ということがあります。
候補者の経験職種が異なっていても、その人がその仕事に必要なコンピテンシーを持っていたら、半年~1年もすれば実務的な知識やスキル修得して戦力になります。その仕事で活躍する為に必要なコンピテンシーを把握することは非常に大切です。
自社の仕事に必要なコンピテンシーを把握しておれば、面接を行う時に何を基準として評価するか明確になりますので、誰を合格にするのか、自信を持って判断がしやすくなります。
また、自分が面接をした後も、上司や次の面接担当者になぜこの候補者を次の面接に回すのか説明しやすいですよね。「我々の仕事で成功する為に必要なコンピテンシーである〇〇〇〇〇をAさんはお持ちです。なぜなら、、、」と説明できれば、じゃあ面接してみようかなという気持ちになりやすいものです。
隠れた大器を掘り出すことは三方良し
昨今は人材不足で、限られた実務経験ある候補者群の中で候補者の取り合いをしています。しかし、競争の激しい人材獲得競争を半年、1年かけてやっと一人採用するだけでなく、実務経験者の群れの外からポテンシャルある有望な人物を掘り出して半年~1年かけて育成して一人前に仕上げることも、大変有力な人材戦略だと思います。
未経験者の中から大成する人物を見出すことは、会社にとっても、候補者本人にとっても非常に嬉しいことであるだけでなく、その人物が一人前に成長して活躍を始めれば価値を生み出して会社や顧客、そしてひいては社会に貢献します。加えて、人数が限られたその仕事の実務経験者が増えますので、その産業の労働市場にもプラスとなり、産業全体の生産性が少しずつ上がることにもなると思います。
最後は少しマクロな話となりましたが、未経験者の中から大器を掘り出して育てることは自社にとっても、候補者にとっても、社会にとってもプラスとなる三方良しです。
(2024年11月18日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士