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自分の市場価値はどれくらいか?

転職市場(労働市場)での自分の市場価値は
どれくらいか?
これ、気になりますよね。
転職やキャリアの相談を受けていると、
「自分の市場価値を知りたい」から
転職活動を始めるのだと言う人々に時々お会いします。

自分の市場価値とは

そもそも自分の市場価値とは何でしょうか?
多くの人々が言う市場価値とは、
自分を採用したい会社はどれくらいあるのか?
幾らくらいの年収でオファーされるのか?
…ですよね。

で、転職サイトに登録をして、
自分宛てに届くスカウト・メッセージの数や、
応募してどんな年収で採用をオファーされるか、
などを気にする人々が多そうです。

しかし、スカウト・メッセージは、
企業の採用担当者や人材エージェントにとっては
「とりあえず会って候補者になりそうかどうか
考えてみよう」という気持ちで送っています。
で、1カ月に100通とか200通、500通とか、
言葉を選ばずに言うと「手当たり次第に」送信
しているものです。

求人サイト側も利用者(企業や人材紹介会社)が
メッセージを沢山送りたくなるような仕組みに
なっています。

これでは自分に届くスカウト・メッセージの数が
自分の市場価値の目安になんてなりませんよね。

また、応募してどんな年収を提示されるのか、
を試したいと思って転職活動をはじめても、
その様な動機では面接で落ちてしまいます。
そうすると、オファー年収で自分の市場価値を
はかることは出来ません。

どうすれば、自分の市場価値が分るのでしょうか?

値段は人ではなくポジションについている

多くの日本人がイメージしている転職市場での
市場価値という概念は大いなる勘違いです。

転職市場、労働市場において、
値段は個人についているのではありません。
正しくは仕事(その職務、ポジション)に
値段がついているのです。
転職活動で椅子取りゲームをしているとして、
ゲームに参加している人ではなく、
それぞれの椅子に値段がついているのです。

だから、僕は400万円の価値だ、
俺は1000万円の価値がある、
私は2000万円の価値がある、、、
という考えは幻想で、
「400万円の職務に就いている」
「1000万円の職務に就いている」
「2000万円の職務に就いている」
という捉え方が正しいのです。

ですから、自分の市場価値とは?
という問い自体が誤りでしょう。

自分の職務の平均年収は?

そうすると、正しくは「自分が就いている職務
(経理とか、法人営業とか)の平均年収は
どの程度か?」と考えることですね。

その水準と比較して、自分の年収は上か、下か。
随分上回っているから恵まれているポストだな、
下回っているなら、転職しようか、
など考えるものです。

ただ、日本ではジョブ型雇用が主流ではない為、
自分の職務の平均年収を調べることは簡単ではないですよね。

因みに、米国だと、Salary.comなどで
自分の職務の平均年収を簡単に検索出来ます。
例えば、私が従事する人材紹介の仕事の場合、
Executive Recruiterは約10万ドル、
Executive Search Associateは約4万5000ドル、
とサクッと数字が出てきます。

さて、日本の雇用の多くはメンバーシップ型です。
その様なタイプの会社に勤務している場合は、
その会社の年収水準がどの程度か、
という見方をすれば良いでしょう。

例えば、総合商社やメガバンクの場合、
〇〇商事は30歳で1000万円、
□□△△銀行は30歳で800万円などと。
職務での違いはほぼありません。

尚、外資金融や外資コンサルティング、
ITエンジニアなどの専門職の場合は、
ほぼジョブ型ですので、職務(ポジション)に
値段がついています。

経営コンサルタントの場合だと、
アナリスト600万円、アソシエイト1000万円、
マネージャー1500万円などの様にです。

希望する年収水準の仕事に就く方法

ということで、自分の市場価値について、
自分が年収で何万円の価値なのか知る為の
行動は意味がないことが分ります。

もし希望する年収金額があるならば、
その金額が得られる会社か、
あるいは、その金額がついている職務に、
就くことです。

従来の日本型企業でメンバーシップ雇用の
会社の場合は、30歳で年収800万円を
総合職に払う会社はどこか?
その会社に中途採用で入る為の基準は?
などを調べるのです。

ジョブ型雇用をするコンサル会社への転職で
年収1500万円以上を希望するのなら、
マネージャー職に求められる要件を知って
その要件を満たす為のスキルを得ることです。

最後に、こんなことを言うと下品かもですが、
今の日本は空前の人材不足ですので、
望む待遇を得る、あるいは近づくことは可能です。

必要なハードスキルを獲得して、
コミュニケーション力などソフトスキルを高め、
且つ、(これが大事ですが)キャリア上の
ビジョンを明確にして、行動計画を立てて、
やるべきことを実行していけば、
望む待遇に到達出来る可能性は十分にあります。

何しろ人材不足がはなはだしく、
いろんな会社が採用に苦労していますから。

(2022年10月11日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士


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