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漫画教育を考えよう

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漫画家をやりながら、漫画の専門学校の講師をしています。 大学の准教授をしたり 海外の漫画学校に教えに行ったりしてます。 その中で教育というのを、真面目に考えよう、もっといい教育は… もっと読む
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記事一覧

漫画編集者による意味のよくわからない言葉から漫画の本質に近づいてみようのコーナー2

もっと情熱的なコマ割りを と編集者に言われた学生がいた。 「なんでしょう、これ」 と訊かれたが、知りませんがな。言った本人に訊いて下さいよ。 というのは、大人の正論だ。長く社会人をやってたら「傷つけられたら牙を剥け」ってどっかで心得てくるものだからだ。 しかし、二十歳くらいの学生が自分より年上の社会人に、むきだしの個人が会社人に質問できるかっていったら、それは難しい。 じゃあどうしましょう? 編集者が訳のわからない要求をしてくるのは前の項でも書いた。こう言う変な…とい

漫画編集者による意味のよくわからない言葉から漫画の本質に近づいてみようのコーナー1

漫画の編集者は電気毛布の夢を見るか こういうコーナータイトルをつけると 「あ、こいつは漫画の編集者を馬鹿にしようとしてるな?」 と思われそうだが……別にそういうわけではない。 漫画編集者は総じて勉強が足りない気がしているのは確か。漫画編集者ってのは大体がサラリーマンで、日本のサラリーマン全体は先進国一強しない勤め人だというのがOECDで報告されているそうだから、そんなに驚くことではない。編集者ってのは大変なのである。どう大変かっていうと……。 ★漫画ってのは奥深い。 漫画

連載漫画の作り方12 発表作と漫画家人生2

風まかせなら 「風まかせなら、じゃあどう生きれば良いのか?」っていうと、 ご立派な考え方はご立派な人たちに聞いて下さい。 ボクが言えるのは 「とにかく楽しくやっていこう」 って事です。そして 「できれば長くやっていこう」 とも言いたいです。 仕事ってのはそういうモノだと思っているからです。 ちょっと変わった例を すごく長くこのシリーズを書いてきましたが、最後に少し変わった例をお話しします。ある大手漫画編集者の例です。 そこの会社はやけに人事異動の多い会社です。もちろん、

岡田斗司夫から漫画の入門書を考える

岡田斗司夫という人がいる 岡田斗司夫はYOUTUBEなんかで動画をいっぱい流してる人だ。動画の内容はサブカルチャーの解説を中心に多岐にわたってる。 いろんな事を知ってるなあ、面白いなあと感心していたが、岡田斗司夫自身については、ボクはほとんど知らない。 ★初期ガイナックスにいた。けどアニメーターではない ★同時進行の不倫が騒動になった ★太っていたけど痩せたみたい。でもまた太ったみたい このくらいである。話しぶりが面白いなあと思って動画を見ていただけである。 それが突如「え

連載漫画の作り方12 発表作と漫画家人生1

作品の保存は常に、丁寧に 長いことやっていく間に浮き沈みは当然あります。思い返すのも嫌な作品もあります。それでも原稿の整理はいつもちゃんとしておくといいでしょう。 今ならデジタルの人が多いのでアナログよりずっと生理は楽ではないでしょうか。 ボクの『笑え、ゼッフィーロ』の原稿はデジタル保存していますが連載を開始した当初から ファイル名 西風001 原稿ファイル 西風入稿001-0102 というふうにナンバリングして保存していました。「連載一回目のファイルで、連載一回目の入稿原

連載漫画の作り方11 発表作と漫画家人生1

原稿料のこと 今は安い?高い? 漫画家のギャラは総じて原稿料と呼ばれています。払われ方はいろいろで一冊丸ごとでいくらってこともあるし、ページ単価でってこともあります。一冊丸ごとの場合は、例えば192ページでいくら…とページ数決まってることもあるし、200ページくらいで、のように大体ってこともあります。 ボクはいきなりWEB漫画を描くという経験がないので、そっち関連はよくわかりません。こっから話す内容は自分の経験と最近人から聞き込んだ話。 実は最近どっかの記事で「漫画の原稿

連載漫画の作り方10 体力と志3

漫画家の体力とは 大ベテランのH先生は今年デビュー55周年でいま連載してる漫画は35年目。近頃では、歩く歩幅も狭くスピードそのものが遅い。それでも月二回の連載を落とさず続けている。クオリティも落としていない。 「漫画家の体力」ってのは漫画を描く体力を言います。結構高齢になっても漫画描いてらっしゃる方がいるのは、この体力はかなり長いこと維持できると言うことなんでしょう。昨夏突如現れた生成系AIがもう少し高性能、使い勝手が良くなればもっと長く保つかも知れません。現状では個人のカ

連載漫画の作り方9 体力と志2

志の2回目 前回、とってももっともらしい事を書きました。 しかし、ボクの本音ってのは まぁなるようになりますって です。顔を下げて生きることもないですが、鼻息を荒くしても特にそれでどうにかなるとは思えません。 例えば「次までに20ページのネームを描いてきて」って言われて 「やる気が溢れたので60ページのネーム作りました!」 って参上しても「いや、あの、それ、違……」というオチは見えてます。 適宜頑張る・十分以上頑張らない ってのをボクは志として大切にしています。 ここまでボ

連載漫画の作り方8 体力と志1

まず志のこと 「漫画がこの世にないと本当に困る」 って人はどのくらいいるものでしょうか?ボクの勤務してる専門学校にはね、 「あなたがいなければ生まれなかった夢がある」(とかなんとか。あんまり正確に覚えていない) という標語がエレベータの中に掲げてあります。会長が作った言葉だったとか。ボクはどれを見るたびに 「大丈夫だよ。あなたがいなくても誰かの夢が替わってくれるから」 と思います。そんなもんです、漫画家って。自虐的ではなく。 大きな書店の漫画コーナーに行ってみて下さい。恐ろ

連載漫画の作り方7 人間関係4

アシスタントとの人間関係 ところで、今でも「アシスタント」と言う人多いですかね? ボクはいつの頃からか「スタッフ」と呼ぶようになりました。仕事の内容は「漫画のアシスタント」なんですが。 潜水艦漫画で有名な小沢さとる先生は何十年も前から「クルー」と呼んでいたそうです。ちょっと気恥ずかしいがカッコいいかも。 アシスタントをお願いするときに大事なのは 仕事を頼んでる という気持ち。いや、これ回りくどく書きました。とにかく心得て欲しいのは ・あなたが好きで、あなたを尊敬して仕事に

連載漫画の作り方6 人間関係3

編集者と漫画の関係の築き方 web漫画の編集者の人がどうもこのページを読んでくれたみたいなので、編集者の方も含めてここからの話を描きます。自分で経験してきたこと(主に失敗してきたことですが)、実践例を踏まえて書いていきます。 漫画家としてキャリアが浅いと編集者が頼もしく見え、それが原因でハラスメントが起きる傾向があるという話を以前書きました。ハラスメントになってしまったら一番良いのはそこを逃げ出すことだとボクは思います。 しかし、漫画家が無策だとどこに行っても同じような状

連載漫画の作り方5 人間関係2

アシスタントとする仕事、スタイル 次はアシスタントとの人間関係。COVID19流行以前から漫画界では集まらずにオンラインで仕事をするスタイルがはやり始めました。こうするといろいろ節約できるってのもありがたいからです。節約できるのは 1 仕事場の賃料 2 食事代、光熱費などの雑費 3 交通費 こんなところでしょうかね。ボクの場合は社会保険の代わりにアシスタント各人の小規模共済の積み立てをしました。これらがないと経費的には随分な節約になります。 数字には出ませんが アシスタント

連載漫画の作り方4 人間関係1

漫画の仕事の人間関係 仕事として商業漫画をしていてできあがる人間関係は主に二つ。 ・編集者 ・アシスタント 二つ目に関しては人によって、漫画のタイプによってなかったりします。四コマ漫画の人なんかは大体一人でやってると思う。本数が多いと、ベタ塗ったりデータ送信したり(デジタルだとして)くらいを家族が手伝うことはあるでしょうけど。漫画家ってのはだいたい閉鎖された系での仕事で、ボクなんかは「人に会わない」「やたらに出かけない」というのを大変に気に入っています。 担当編集者との人

連載漫画の作り方3 技術のこと3

納期のことさらにさらに まず、ボクが週刊少年マガジンでやっていたときの週のスケデュールをお話しします。 木曜 午後~夜 原稿を渡す 金曜午後   ネーム打ち合わせ→5,6時間して→ 夜ネームアップ 土曜午後   ネームがアップしてない時は再び打ち合わせからネームアッ       プ(アップしてる時は休養) 日曜     下描き 月曜     下描き、ペン入れ 火曜     アシスタント来る ペン入れ+原稿仕上げ  水曜     ペン入れ+原稿仕上げ    注目して欲しい