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連載漫画の作り方7 人間関係4

アシスタントとの人間関係

ところで、今でも「アシスタント」と言う人多いですかね?
ボクはいつの頃からか「スタッフ」と呼ぶようになりました。仕事の内容は「漫画のアシスタント」なんですが。
潜水艦漫画で有名な小沢さとる先生は何十年も前から「クルー」と呼んでいたそうです。ちょっと気恥ずかしいがカッコいいかも。

アシスタントをお願いするときに大事なのは
仕事を頼んでる
という気持ち。いや、これ回りくどく書きました。とにかく心得て欲しいのは
あなたが好きで、あなたを尊敬して仕事に来ているわけではない
・仕事に来ているのであって修行に来ているわけではない
ということ。
二つ目については結構強烈な話を聞いたことがあって「アシスタントは漫画家への修行のためなんだからギャラはこれくらい」と通常の半分くらい渡すという漫画家さん。ご自身もデビュー2ヶ月目くらいだったんですけどね。
これって…アシスタントが要求するクオリティの半分しかできなかったらどうするんだろう、と思いました。「修行中だからこの程度です」と開き直られたら、どう言い返すんだろう?

とにかく仕事なんだから最初にギャラ、仕事の内容、支払期日を明瞭にする、支払期日は厳守すべきです。人間、一回握った金は手放すのが惜しくなるものですが、こういうものは綺麗に払えば払うほどいいのです。
そして、前にも書きましたが、ボクは小規模共済をスタッフにかけていました。社会保険をかけられるほど金銭的に充実してないけど何かあったときにこれを取り崩して使えるようにしておきました。

仕事場で起こりえること

仕事中の先生(漫画家)からの指示は明確にするべきです。
何を、どんな感じで描いて欲しいのか。言葉にし、資料を見せ、とにかく明確に伝わったと確認することが大切です。自分の判断で処理して良いところも決め、あとは任せる。リテイクはなるべくやらない方が良いと思います。できが悪かったら、それは漫画家側の人選ミスだし(そういう絵が得意なスタッフに任せれば良いだけです)指示が不明確だからです。
「指示待ち人間になるな」みたいなビジネス訓を述べる人いますけど、じゃあ「自分で判断してさっさと済ませました」と報告すると「何故、指示を待たない」みたいに怒るでしょう?そんなん、ただのダブルスタンダードだから。
指示がうまく伝わらないときは全部漫画家側の問題、と考えて解決していった方が手早いです。

次に……何人アシスタントがいたとしても……「全員いなくてもオレ一人で仕上げる」という気持ちは忘れない方がいいです。
ボクは良好な職場環境を作る工夫を重ねることにしていますが、それでも上手くいかないときはあります。アシスタント同士でけんかが起きちゃったり、とかね。ごくまれにいろんな理由からアシスタントが一斉にいなくなっちゃう例も見てきました。『燃えよペン』(島本和彦)では、スケデュール管理を間違えて一本まるまる残してた、というエピソードが出てきましたね。あれ実際に起こることなんです。島本さんの職場ではないけど、他で見ました。
先生に愛想を尽かして全員いなくなっちゃった話も何度も聞きました。これはきつい。アシスタント全員に袋だたきに遭うよりは数等ましかも知れませんけど。
事情はどうあれ、引き受けた仕事の締切が来るのならそれは間に合わせなければなりません。そのためには「いざとなったら一人でも終わらせる」という覚悟は秘めてた方が良いと思います。

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