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本気で変わる、身をよじりながら

この世に与えにきたことは。
才能として顕れる。

誰かを励まし、勇気づけ、暗い道行く希望の光。

成し遂げると。
魂で約束した。

才能は、喪われない。
天が授けたものだから。

受け入れられるのをずっと待っている。

ともに歩いてくれる日を。
心待ちにしている。

人生を変えるには勇気しかない。

一時的に楽になるための慰みではなく。
根本から変える。

才能に背を向けていると。
人生はどんどん追い詰まって行くから。

この先を。
どう生きていきますか。

心の深い場所から

居室で揺れを感じたとき、同僚の技官と思わず顔を見合わせた。
すぐ、えぐるように床が大きく横に揺れた。

しばらくしてから、ふたりでサーバールームを点検した。
特に問題はなかったけど、経験のない揺れ方。

当時、大学職員だった。
カウンセリングサービスで、2度目のボランティアカウンセラーをしていた。

正直に言うと、1度目は早々にやめてしまった。
ちょうど夫と付き合い始めたころ。
一緒にいられることが嬉しくて。

結婚後、ポンコツな私は夫に散々喧嘩をふっかけたけど。
ようやく落ち着き、もう一度ボランティアカウンセラーをしていた。

だけど、プロへの昇格には、どうしても腹を括れないでいた。
お金を頂く責任が重くて、できるとは思えなかったから。

2011年3月11日。
夕方に差し掛かろうとしていた。

勤務先の居室が大揺れした。
東日本大震災。

私の住んでいるところは震度5だった。
直接的な被害はほとんどなかった。

だけど未曾有の大災害報道に、気持ちがあぶり出されてきた。

今のままでいいのかな。
誰かの力になれているとは到底思えない。

とても意外に思った。
こんな自分でも。

誰かの力になりたい気持ちがあるなんて。

2度もボランティアカウンセラーをしているくらいだ。
今考えれば、当然、誰かの力になりたいと思っている。

でも。

おこがましいと、ずっと思ってきた。
才能があるとも、思えなかった。

もっとすごくて。
実力がある人たちがいる。
私なんかじゃ力になれない。

人間は完璧じゃない。どんな人にもダメな部分がいっぱいある。
だからポンコツで、大した人間じゃなくても。
必ず誰かの力になれる。

誰かの力になって生きることを。
この世に存在する意味と理解するのは。

ずっと後のこと。

計画停電が始まった。
サーバーに突然の電源断は禁忌。
停電スケジュールを鑑みながら、技官と交代で、電源断と再起動のためだけに出勤した。

物資を送って、寄付をした。
だけど、毎日、考えた。

かたちや質は違うけど。
誰もが才能を授かっている。
この世を成すそれぞれのお役目のようなものだからだ。

才能を通じて生きられるとき、心が満たされ充実する。
だけど、背を向けていると、人生は行き詰まる。

本当は。
誰かの力になって生きていきたい。

励まし、勇気づけ、ときに暗い道行く希望の光。

あの大きな横揺れは。
生き方を根底から覆すかのようだった。

えぐり出されてしまったのだと思う。
背を向けている自分を。

私にできることって何だろう。
誰かの力になれることって何だろう。

人は愛したい生き物。
愛しているときによろこびを感じる。

愛していないときは当然苦しい。
罪悪感を覚えている。

約束をうっかりすっぽかしたとき。
感じているのは。

するべきことをしていない罪悪感。

この世に与えに来た才能を生きていないとき。
どんどん重くなる。

するべきことをしていない罪悪感が。

魂の約束に。
背を向け続けているから。

遠く聞こえる微かな声を。
ずっと無視しているから。

気のせいだよと。
言い続けているから。

だけど。
何度も自分に言い聞かせなければならないことなら。
考える必要がある。

何度も立ち現れてくることの意味を。

隠れた罪悪感は現実化する。
自分を理解してくれない人や、ひどく扱う人として。

苦しくて感じたくない無自覚に切り離した罪悪感を。
投影するから、現実化する。

当然、怒りも感じる。

だけど、怒りたくなるような相手によって。
あぶり出されてきている。

するべきことをしていない罪悪感が。

「あなたは自分の本道を生きていませんよ」というサインとして。
人生に登場してくれている。

誰も自分を愛してくれないから、人生が追い詰まっているのではない。

誰かを愛せていない罪悪感。
愛することをやめてしまった罪悪感。
するべきことをしていない罪悪感で。

詰む。

人生を嘘にしない

一生懸命愛しているつもりでも。
愛だと思っていても。
傷ついたり苦しいのなら。

きっとどこかで選択を間違えている。
一見、愛に見える、別の何かを選んでいるのだろう。

「自分は悪い人間」とか。
「ちっぽけなやつ」とかの思いを。
代償しているだけかもしれない。

私はいい人ですよ、役に立ちますよ、と証明するかのように。

だけど、証明が目的になっているなら。
証明されたところでホッとするくらいが関の山。

補償行為という。
よろこびは感じられない。

感謝も受け取れない。
ぶっちゃけ、本心や真心から与えているわけではないから。
相手がよろこんでくれているとも思えない。

返報性の原理。
与えたものと同じものが返ってくる、心理原則。

補償行為なら。
いい人の仮面しか、返ってこないと思ってしまうから。

大して嬉しいとも思ってないのに、気を遣ってありがとうって言ってくれてるんだろう、などと。
ひねくれた受け取り方をしてしまう。

本当はとても感謝されていても。

やってもやっても足りない感じがして。
ついには燃え尽きる。

生き方を変えないと苦しさは続く。

補償行為ではなく。
この世に自分が与えにきた才能で。
誰かの力にならないと。

才能から背を向けていると。
魂の約束から逃げれば逃げるほど。

追い詰まって行く。

助教先生が居室に顔を出してくれるとほっとした。
少しでも、力になれていると思えたからかもしれない。

競争倍率がかなり高かったけど、私を気に入って採用してくれた。

だけど、あんなに好きな先生なのに。
申し訳なく思っていた。

すぐ、虚しさがやってきてしまうから。

根無草のように生きていた私にしては、かなり長く勤めていた。
求められていることは出来てると、思えてはいた。
だから、先生を裏切っているわけじゃない。

だけど。
何かに嘘をついている気がしていた。

ずっと。

医学部に勤務していた。
北関東の3月。停電中の学部棟は寒い。
自家発電している附属病院に暖を取りに行った。

院内を、ぶらぶら歩く。
外来棟、検査棟、レストラン、コーヒースタンド、売店、コンビニ。

誰かの力になって生きるなら。
できることがあるとするなら。

いったい何が。

私は定時制高校を出ていて、16歳から何らかの仕事をしている。
ポンコツだけど、妙に器用。

どんな仕事でも、割とうまく馴染める。
多芸多彩は身を助く。

ギリギリの人生だけど、どうにか生きてきた。
いや、一貫して、器用貧乏だけれども。

だけど正直。
本気じゃなかった。

どの仕事も。

灯りがなく、暗い居室では、どうしても考えてしまう。
悶々と思い悩む日々。

消去法で、できることを探す。

あれはどうか、これはどうかと。
思いついては消えてゆく。
ほぼ全て。

だけどある日、気がついた。
たったひとつ、消えなかったものに。

カウンセリング。

私は、とても真面目ではあるけれど。
基本的人格はアホだし、あまり他人に興味も持っていない。
何より、結構なポンコツだ。

なのに思ってしまった。

カウンセリングは。
誰にも負けないって。

誰かの力になれるって。
思ってしまった。

動揺した。
なんと大それたことを。

何かを敏感に感じ取る才能は。
悲しみや痛みしか見えない気がして。
誰かの力になれるとは思えていなかった。

だけど。

共感されるだけで。
人は存在を肯定される。

暗い道行く希望の光。

何かを敏感に感じ取る才能は同時に。
愛を見つける力でもある。

悲しみ、痛み、罪悪感の層で、無力感に負けて諦めず。
愛にたどり着くまでの胆力が。
当時の私にはなかった。

何度も何度も逃げたけど。
いろんな仕事もしてきたけれど。

たったひとつ。

なくならず。
あり続けた。

私の才能。
私の愛。

こんな自分でいいのだろうかとか。
誰かの力になるなんて大それているとか。

いろんなことを思ったけど。
はっきりわかった。

今、嘘をついたらだめだ。

本当の自分を。
偽って生きてはいけない。

どこかで「できる」と思っている。
そうでなければ、心は葛藤しない。

腹を括らないと。
本気でやらないと。

私の人生は嘘になる。

とても幸せなこと

だけど才能を顕そうとするとき。
試される。

本気を。

当時私は、いくつかの夢がつぶれていて。
中にはとても大きなハートブレイクもあった。

何のために生きたらいいかわからなくて。
本当に苦しい期間を過ごしていたように思う。

試される。

これまで歩いてきた道を振り返り。
かけた橋を焼き払って退路を断てるか。

心は強く葛藤する。

本気を出したときにしか発揮されない力でなければ。
貫けない。

どうせ無理だろうと思われていたり。
周りの大反対にあったり。
そんなことでは生きていけないと言われたり。

こどもみたいな夢を見ないで、大人になってと言われることもある。

大人として、夢を叶えることが。
周りに勇気やインスピレーションを与えられるかも知れないのに。

本気じゃなければ、もちろん折れる。

表面的にはうまく行っているように見えていても。
また虚しさを感じながら生きるしかない。

自分に嘘をつく馴染みの感覚とともに。

するべきことをしていない罪悪感が重くのしかかり。
苦しさから逃避行動に出ることもよくある話。

求めても、求めても、全て慰み。
心は満たされないまま。

だけど人生はどこか優しくて。
チャンスは何度もやってくる。

才能を顕して生きることを。
諦めようとしているときこそ。

どういうわけか現れる。

やめたらダメだという人。
諦めちゃダメだという声。

居室で感じたあの大揺れは。

本気で生きろという。
メッセージだったのだろう。

才能を捨てる悲しみを生きてはいけない。

才能を捨てても。
誰も幸せにならない。

この世に生を受けたときから。
ずっとあるもの。

寄り添い。
ともに歩き。

気づいてくれるのを。
ずっと心待ちにしていた。

魂が震える。

気づいてしまえば、本当の意味で正直になれる。
補償行為も全て手放し、するべきことを選ぶ勇気が出てくる。
予感するのだろう。

よろこんでくれる人たちの存在を。

うまくできることもあったし。
全く歯が立たないこともあった。
だけど。

プロカウンセラーになることを。
誰かの力になることを。

貫いた。

そうでなければ。

私のクソみたいな人生は。
嘘じゃないか。

自分を偽って生きていくのは、苦しい。
これまでどの仕事も。
本気になれなかった。

どんな人にもそれぞれ。
神様から授かった才能がある。

才能を封じて生きると、ものすごく苦しい。
神様を封じることと、同じだからかもしれない。

後ろ暗さ。
嘘をついている感覚。
裏切っている感覚。

仮に裏切ったとて。
神様は愛してくれるけど。

むしろ、本当の自分に気づき。
才能を受け入れて生きると決めたときに。

祝福してくれる。

わたしの声を聞いてくれたのですね。
わたしの手を取ってくれたのですね。

心からよろこんでくれる。

授かった才能で。
誰かをよろこばせられる。

誰かによろこばれると。
よろこびの中にいる。

震災から1年半後。
ようやくプロカウンセラーとしてデビューした。

心から本気でやろうと思えた仕事は。
初めてだった。

あれから10年が過ぎた。

師匠が会社を立ち上げた30年前よりずっと、認知度が高まった職業とはいえ。
10年続けられたのは奇跡的だ。

プロカウンセラーとして生きてゆくのは、正直、厳しい道のりだ。

胡散臭いと思われる。怪しいと思われる。
それは全く構わない。

やっていることが誠実ならば、本物ならば、人を動かすから。

才能を受け入れて生きてゆくことは。
誰かの力になることは。

決して楽でも甘くもない。

力になろうとする人が多ければ多いほど。
力になろうとする人がしんどければしんどいほど。

取り組まないといけないことがたくさんあるから、大変だ。
だけど。

苦ではない。

よろこんでいるのだ。
魂が。

才能は、いつでもともにいて。
厳しい道のりをも、歩かせる力になる。
本気で、命を燃やして生きる力になる。

他の仕事と同じように。
大変なことはたくさんある。
胸がつぶれることだってある。

だけど、私にとっては。
本気で出来る仕事なのだ。

それだけ、人が幸せになってゆく姿というのは。
よろこびにあふれている。

命を燃やして生きられるのは。
とても幸せなことだ。

逃げたくなかった。
どうしても。

だってそうじゃなきゃ。
私は全部、嘘になる。

絶望はしなくていい

2020年に重い病気になり1年半休職した。

計画停電のとき、暖を取るためにうろうろしていた病院に。
まさか入院するとはなあ。

ストレッチャーの上からチラッと見えた、スイッチルームの表示。
ネットワーク機器が格納されている小部屋。

なんだ、めちゃくちゃ来てたじゃん、ここ。

主治医も、学部棟や病棟ですれ違っていたかもしれない。
いや、あの先生のことだから、すれ違うとしたら病院1階のコンビニだろう。

ベットで寝たきり。
もう、カウンセラーには戻れないだろう。
ところが。

どの病棟でも、リハビリセンターでも、仕事を訊かれる。
病前にできた動作に戻してゆくことを視野に入れるからだ。

身体が全く動かないから、隠す気すら起きなくて。
心理カウンセラーだと開示したからか。
時折、相談事が持ち込まれる。

身体はうまく動かないので、できることはほとんどない。
そもそも、雑談の範疇だな、と思える話ばかりだったから、適当に流すことが多かった。

だけど中には。

ちょっと手助けした方が良さそう、と感じることもあって。
こうしたらどうでしょう、とお伝えすることもあった。
入院中に結婚の報告を2件聞けた。

よろこんでもらえたとき。
自力でほとんど動けなくなった私にも。

まだ、生きる道があるのかと思えた。

さらに。
復職のきっかけをくれた人との出会いは。
私に勇気を与えた。

もう一度、仕事ができるようになるまで。
もう2年かかると思っていた。

だけど。

今、目の前のこの人のために。
復帰を頑張ろうと思えた。
「できるだろうか」を「やる」に変えた。

座位を取れる時間を長く出来るように頑張る。
必要な動作が出来るように頑張る。

まともに歩けないほど落ちた筋力を。
少しでも戻せるように頑張る。

悲しいほど出来ないことばかりの生活動作を。
少しでも戻せるように頑張る。

身体は思うように動けない。
だけど、心なら感じられる。

しかもどういうわけか。
病前より、もっと細かく繊細に。
感じられる領域も、ぐっと広くなっている。

最大の才能は。
最大の痛みの下にあるとはこのことか。

誰かの力になれるよろこび。
この世に生きるよろこび。

才能が、今の私を生かしている。

ああ。
プロカウンセラーを生きると腹を括ってから。
ポンコツなりに、10年。

本気でカウンセリングをしてきたんだな。
真剣にカウンセリングをしてきたんだな。

才能を捨てる悲しみを。
選ばなかったんだな。

復職して徐々に。
そして、次々に。

待っていてくれた人たちと出会い直した。
本当に久しぶりの人もいた。
新しい出会いにも恵まれている。

授かった才能を生きるなら。
どんな困難があっても、なくならない。
神様からの、授かりものだから。

南病棟8階のスイッチルーム。
だいたいの配置を覚えている。
でも、ネットワーク機器に触れることはもうないだろう。

カウンセラーという仕事だけが。
手のひらからこぼれていかなかった。

人にはそれぞれ、神様から授かった才能がある。

誰かの力になるために授けられた才能に背を向けるのは。
ものすごく苦しい。

神様を封じて生きることと、同じだからだ。

授かった才能で。
人をよろこばせることが出来る。

才能を生きるとき。
人はよろこびを生きられる。

たったひとつ。

なくならなかったもの。
あり続けたもの。

誰かを励まし、勇気づけ、暗い道行く希望の光。

成し遂げると。
魂で約束した。

この世に与えにきたことは。
才能として顕れる。

才能は、喪われない。
天が授けたものだから。

だから。
絶望はしなくていい。

受け入れられるのをずっと待っている。

もう一度、ともに歩いてくれる日を。
心待ちにしている。

人生を変えるのは勇気。
どうか諦めないで。

才能に生かされる。
真実を生きてゆく。

本気で。

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