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巡り巡ってここに至る。

「住む」ということについて、ここ半年くらい考え続けている。

というのも、実は家を建てたいと考えているためだ。
自分たち夫婦は実家が近く、車で15分ほどで行き来できる距離に両親たちが住んでいる。
土地はどちらの家にもあり、どちらかの実家の近くに建てよう!という話をして、ハウスメーカーの見学に毎週末通っていた。
性能とオシャレさに感動した地元の工務店さんにお願いすることを決めて、話を進めていくと、

「では、土地はどちらに?」

と聞かれた。そうだった。どっちにするか、まだ決めていなかった。

「候補が二つあるので、見てもらってもいいですか」

わがままなお願いをして、土地を見てもらうことになった。
(悩ましいところだし、どっちがいいかプロの判断で決めてもらおっと!というやましい気持ちしかなかった)
しかし、嬉しいことに(残念なことに?)どちらの土地も買い手がつくくらい素晴らしいという評価をいただいた。
困った。贅沢な悩みであることはわかっている。が、非常に困った。

そんなこんなで今に至るのである。

「住む」ということはその土地で生きることだ。
家を構えるとなると、さらに数十年の時間をそこで生きることになる。

極めて重要な決断を迫られている。(そんな極めて重要な決断を人任せにしようとしていたのか)

色々な条件から考えなけえればならない。

まず、第一に子育てだ。
自分の仕事の都合上、なかなか夕飯時に帰って一緒にご飯を食べる、なんてことができない。こういうときに、奥さんの実家に近いところであれば、奥さんは気軽のそちらによったり、色々なことを頼ったりすることができる。
里帰り出産なんて文化が示すように、やはり子育てをするなら奥さん方の実家に近い方が何かと便利なのは間違いないのだ。

しかし、子育ても永遠に続くわけではない。
子育てが一段落したのち、暮らすのもまたその家なのだ。

そうなると、今度は自分たちの高齢期のことを考えないといけない。
近くの施設を考えるとぼくの実家の方が、役場も病院もスーパーも、徒歩圏内にあるということで住み良い場所であると思う。

ただ、ただしだ。5月に子供が生まれる。第一子で奥さんの負担も相当に大きい。自分も、仕事盛りの年代であり家のことを優先したいが難しいところもある。そんなときに奥さんの負担を少しでも軽減してくれる、頼れる場所があるというのはとてもありがたいのだ。
そんなこともあって、この半年、非常に悩み続けている。
100点の答えはないし、あちらを立てればこちらが、状態なので譲歩と妥協のすり合わせを話し合いをしながらしていくしかないのだが。

もし、どこにでも住むことができるのなら、自分はどこに住むのだろう。
生まれてこの方ずっと田舎暮らしであり、さらに母親の出身地である場所として東京にはずっと憧れがある。
「君の名は。」で三葉が初めて東京を瀧の体から見たシーンに自分でも驚くほどの共感を覚えた。
大阪・京都・名古屋・福岡、様々な都市を巡ったが、東京はスペシャルだ。
しかし、その憧れは、「住む」につながるのだろうか。

「憧れは理解からもっとも遠い感情だよ」

あの漫画のセリフが脳を掠めていく。
そうなのだ。自分はそこに憧れているのであって、それは自分の現実とは切り離されているのだ。

どこにでも住めるとしたら、と夢想する。その時間はとても楽しい。
しかし、そこで浮かんでくる候補の土地はどれも自分の現実と地続きでない場所だ。
つまらない人間だ。こんなときくらい、現実のことを置き去りにして遥か彼方に飛んでいければ良いのに。

でも、それはできない。いや、できなくなってしまった。価値観の変容だ。妄想と憧憬と若気の至りで埋め尽くされていた脳内は、この一年の結婚と妻の妊娠で大幅なメンバーチェンジが行われた。

「住む」ことは「何を大事にするか」と直結する。
働きがいを求める人はそこでしかできない仕事を求め、
繋がりを求める人はコミュニティを作り、
空気感を求める人は最も呼吸のしやすい場所を選ぶだろう。

どこにでも住めるとしたら、を考えた末に
「大切な人と共に過ごす場所」という結論に至った。
それは「最も大事にしたいものは何か」という答えとつながった。

家づくりのことを考えるとき、この根っこの部分は忘れないようにしたい。決めること、考えることが多くなりすぎると、どうしても本質を見失いがちだ。

何が言いたいのかわからなくなってきたが、

どこにでも住めるとしたら、
どこにでも住めるからこそ、
大切な人のそばの価値を感じられるのではないだろうか。

良い家づくりを通して、良い人生を作っていきたい。

ではまた。


今回はこの企画をきっかけに考えたことを書いてみました。
まとまりはなかったですが…

読んでいただきありがとうございました。

#どこでも住めるとしたら

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