見出し画像

「担当vs上司」の対立軸は、なぜ発生するのか

(Twitterはこちら → @yanagi_092)
※このnoteは、毎週土曜の夕方に投稿しています

年収

前回記事のとおり、出世のレールへの復活を目指して、自分なりに試行錯誤をしていました。当時の私は「目の前の仕事を頑張る」という、一見カッコイイけど、結局は自らに自惚れて無作為だったことを反省し、「上司を顧客と見立てて考える」という新たな世界観を取り入れたのでした。


会社員と個人商店

今まで、損害サービス部門で数多くの示談や苦情処理を手掛けてきたこともあって、「この被害者は訳の分からんことを言っているけど、一体何を考えているんだ・・・」と考え続けた経験は豊富でした(笑

これと同じように「この部長は何を考えているんだ」と思考を巡らせ、前回記事のとおり「部長からthanksが来たらシールを貼るゲーム」を一緒に仕事をしていた姉さんと楽しんでいました。

うちわ

ぼく「姉さん、部長のthanks!来ましたっ!!」
姉さん「よし!それなりにthanks溜まってきたね!」


この頃から、改めて会社組織の意思決定について考えるようになりました。当時の私は「担当している領域は自分が一番詳しい ⇒ 自分の判断が正しい」との思い込みがあるからこそ、「担当 vs 上司」の対立軸が発生するのではないかと思うようになります。本社であれば担当している専門領域、現場であれば担当しているお客様等が、担当領域ということになるでしょうか。

そして、会社という組織に所属している以上、私の意見が通ることもあれば、通らないこともあります。従業員として終身雇用という「安定」を享受しながら、個人商店のように自分の意見を通したいというのは、少々難しい面があるのかもしれません。

とはいえ、前回の記事でも書きましたが、上司に媚びへつらうことを推奨している訳ではありません。担当分野の関連する事実を集めて、自分なりの評価を加えた意見を提案するのですが、上司が全然違うことを言う場合もあります。今思えば、当時の部長は全然違うことばっかり言ってて、相当困ってました(笑)

ここで、改めてビジネス上の論点を整理してみると、「①客観的な事実」と「②事実に対する主観的な評価」の2つに因数分解できるのではないでしょうか。

まずは「①客観的な事実」のすり合わせ。ここに主観を混ぜなければ、目線合わせはそれほど難しくないと思います。ここをベースとして、「②事実に対する主観的な評価」については、人、部門、職階によって意見が異なることも多いので、特に本社部門においては苦労が絶えない部分かと思います。

担当の私からすると「その評価は違う、部長は現状が分かっていない!」と憤ることもあるのですが、所詮、これは担当である私の主観的な評価に過ぎません。もちろん、上司である部長の主観に過ぎない部分もあるのですが、そうであれば「会社経験の浅い担当の主観的評価」VS「会社経験の豊富な上司の主観的評価」という構図ではないかと、考えるようになります。

ぼく「色々あるけど、やなぎ商店の個人プレーではなくて、あくまで東京海上日動・財務企画部としての判断をしている訳だから、葛藤するのも変だな・・・。とはいえ、担当者の意見(主観的評価)が無いのは付加価値が無いし、会社の意思決定に対して担当者の意見をしっかり『伝えきる』ことが大事なのかな。そのうえで、会社として違う意思決定になるのは仕方がない、個人商店じゃないんだから。更に言うと、実務に近い自分の意見が、いつも正しいとは限らないんだから・・・」

画像3


運命の中間評価

以下の記事のとおり、東京海上の人事規則を分析したところ、昇格に関する評価期間は「前年10/1~当年9/30」とされており、9月末の状況をもって、11月頃に担当者が人事評価フィードバックを受けることになっています。

そして、12月~2月にかけて人事部が昇格の調整をし、3月に昇格の可否が本人へ通知されることになります。したがって、9月末の評価内容が悪ければ、その年度の3月に昇格をすることは難しくなります。

私にとって、この年は出世のレールから外される衝撃の1年でしたが、「終身雇用のコスパ最強人材(≒働かないおじさん)」を目指す訳でもなく、私なりに様々な本を読んで創意工夫をしました。人事規則を分析し、上司との付き合い方も再考し、一緒に仕事をしている姉さんに助けを求めて「部長のthanksシール遊び」をしたり・・・

そして、11月末の人事評価のフィードバックの時期が来ました。

上司「やなぎくんは今年、ものすごく頑張ったので良い点ついてるよ」
ぼく「やったぜ、これで3月に昇進して、出世のレールに復活できるのかな??」

おもいどおりい


そして3月の昇格通知と異動

昇格に関する評価期間は「前年10/1~当年9/30」です。そうであれば「9月以降は頑張っても意味は無いのでは?」と思ったりしますが、とはいえ10月以降の分は翌年の評価になる訳ですし、手を抜くことはできません。

そして、「本当にこの会社で働き続けるのか?」ということを考え出したのも、この頃からです。出世のレールから外れてしまうと、それ以降の給与は伸びず、奴隷のような働き方を強いられます。そうであれば、出世を諦めてコスパ最強(≒働かないおじさん)を目指した方が理に適っています。

しかし、いきなり会社を辞めるほどの根性もありません。まずは「在籍している東京海上で出世のレールに戻れないか」を考え、模索した1年でした。

上司「おめでとう、遅れたけどStageEに昇格しました」
ぼく「(はぁ、なんかホッとしたな。けど、4年遅れてStageEに昇格した扱いだから、まだ出世のレールに戻ったかどうかは分からないな・・・)」

<ご参考:StageEから落とされる話>


上司「あと、異動です。ずっと財務会計の勉強をしてきたと思うんだけど、君の希望どおり、経理部・主計グループになります」
ぼく「えっ、希望通ったんですか?」

当時の私は、公認会計士試験に挫折し、税理士試験も税法のマル覚え暗記についていけず、手元にあった資格は「日商簿記1級」と「証券アナリスト」のみ。挫折続きだったとはいえ、様々な会計事象を「秒で」貸借の仕訳が切れるくらい、財務会計には精通していました。このような背景もあって、経理部への異動希望を出していたのですが、出世のレールから外されたので、希望が通るとは思っていませんでした。

これを機に、現在のキャリアに大きな影響を与える経理部へ異動となりました。しかし、異動先の経理部は、私が経験した「損サ企画」や「財務企画」とは比較にならないくらい、日本型終身雇用を色濃く反映した内向きな組織だったのでした。

(続く)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?