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新入社員の配属に関する考察

(Twitterはこちら → @yanagi_092)

現場研修でのマツケンサンバ事件(過去記事ご参照)を経て、私は大阪の自動車損害課へ配属となりました。以下の図で、損害サービス部門の現場ということになり、具体的には自動車保険に関する保険金支払の現場ということになります。

配属ガチャ

ここで、この時点での私のビジネス戦闘力について考えてみたいのですが、残念ながら学生時代は大した勉強はしておらず(すみません・・・)、内定獲得後の学生生活は、最後のモラトリアムということで遊び尽くしていたこともあり(更にすみません・・・)、ビジネス戦闘力はゼロです。

したがって、以下のとおり市場価値も社内価値もゼロからのスタートですね。

四象限新人

※上図4象限の考え方は以下に記載しています

そして、こんな戦闘力ゼロの私ですが、先輩方は配属初日から私のために入れ替わりで勉強会を開いていただいたりして、本当に感謝しています。

日本型終身雇用における新入社員って、私の感覚だと赤ちゃんが生まれたような感じなんですよね。大企業ほど、各部署で閉ざされたコミュニティになっていて、組織の縦割りも酷く、部署間の繋がりが希薄です(特に本店のコーポレートは酷い)。

そんな閉ざされたコミュニティに、ビジネス戦闘力ゼロの無邪気な若者が入ってくる訳で、最初はとても可愛がられます。こういった文化は、日本固有の良い文化なのではないかなぁと思います。外資系企業に転職した今だからこそ、よりそのように感じます。


事故受付の恐怖

自動車損害課に配属となって、周りの先輩はガンガン電話して自動車事故の相手と示談したり、時には苦情対応をしたり、会社にアポなし突撃してくる事故の相手とバトルしたり、弁護士と難しそうな打合せをしたりして、「すごいなぁ…」と圧倒されていたのですが、先輩社員の方が事故受付のFAXを私のところに持ってきて「ちょっとこの案件やってみな!」とのご指示を頂戴します。

ぼく「えっ、マジで、電話するの?(怖い・・・)」

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渡されたファックスは以下のような感じでした。

受付表

損害サービス的には単純な事故形態なのですが、ビビりな私は色々考えます。「ケガは無いとか言ってるけど、今は首が痛いと言われたらどうしよう」「飲酒運転だったらどうしよう」「持ち主と運転手が違うけど、保険って大丈夫なんだっけ」「修理費はどこに払うの?」「ガードレールの所有者って誰?ヤベェ奴だったらどうするんだよ」「・・・」と無限に恐怖シナリオを想像してしまいます。

何度も何度も社内マニュアルを確認していたところ、先輩社員の方から「そんなにマニュアルを眺めていても、ええことないでぇ~(笑」と言われ、ようやく腹を括って電話をします。

ぼく「ほ、ほ、保険会社のやなぎと申します!お、おぅケガは大丈夫ですか?」
お客様「すみませんねぇ、ケガは大丈夫ですよ。車も修理工場に入れてあるし、保険も工場さんに任せてるんですわ~」
ぼく「わ、分かりました。工場さんとお話しゃす! お時間ありがとうござざしゅた!」

このように、私の事故受付デビューは、噛みまくりながらも無事に?終わったのでした。

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新入社員の違い(日本と海外)

海外事例を持ち出してドヤ顔をするのは好きではありませんが、日本を知るうえでは海外との比較が有用と考えらえますので、ここで採用環境の違いについて比較検討してみたいと思います。

海外の場合は「ジョブ型採用」が主流で、雇用契約書上も明確に職務(ジョブ)を定めて入社をします。例えば「xx会社の経理担当」に応募して就職するようなイメージで、会社側の募集もジョブ毎かつ不定期です。ジョブ型では各部署に人事権があり、予算の範囲内で必要な分だけ採用をする訳ですね。そして、職務(ジョブ)が決まっている訳ですから、労働者は配属ガチャに苦心することもありません。

一方で、多くの日本企業は「メンバーシップ型」の採用が主流で、特に職務が明確で無いまま、会社のメンバーとして入社をします。人事部が人事権を握る中央集権体制で、広く薄く社内価値を上げていくキャリアが主流となります。

これだけ見ると、メンバーシップ型は最悪に見えますが、良い点もあります。ジョブ型は人が足りなくなったら補充する形式ですので、新卒であろうと中途であろうと、会社は即戦力を求めます。したがって、欧米の学生は一生懸命に勉強をして専門性を向上させ、インターンシップで実務を重ねたうえで即戦力としての能力を磨く必要がありますので、日本の就職活動よりは相当厳しい戦いを強いられます。

更に、給与の高いコーポレート系のジョブに就職したいのであれば、MBAの取得が募集要件になっていることも多いようです。このような背景もあって、欧米人は高額な授業料を自己負担してMBAに行く訳ですね。

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一方で、日本の場合はどうでしょうか。総合職、一般職という給与区分(この区分の闇深さは後日書きます)の違いはありますが、一部のスペシャリスト職を除いて、募集時点で具体的な職務の内容は明示されていません。学生側も、即戦力としてのアピールをする必要無く、自らのポテンシャルを語るだけで足ります。

このような背景から、私のように大学で特に勉強をしていなくて、特定の専門分野もない多くの学生は、職務を定めずに内定を獲得します。その後、各社に「就職」ではなく「就社」し、そこから職業訓練を開始する構造になっていると考えられます。

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企業側から考察する配属ガチャの必要性

このように、日本における新卒市場の高い雇用率を支えているのは、企業側が「ビジネス戦闘力ゼロの学生」をポテンシャルベースで一括採用をして、採用後に2〜3年かけて給与付きのインターンシップを実施しているからだとも考えられます。欧米のようなジョブ型では、ビジネス戦闘力ゼロの素人を、こんなに大量に採用してもらえません。

企業からすれば「専門性も無い戦闘力ゼロの学生を、2〜3年のインターンシップで給与も払って育ててあげるから、配属ガチャは受け入れてね」という主張です。確かに、配属ガチャを実施しないと新卒の大量採用は維持できないでしょうから、やむを得ない点もあるように感じられます。

結局のところ、私のように新卒時点で特段の専門分野がないのであれば、初期配属において、配属ガチャを受け入れざるを得ない部分があるような気もします。

一方で、こうした配属ガチャを回避するには、理系院生となって研究室の推薦でメーカー等に行くか、専門性を身に付けてスペシャリスト採用(東京海上ではspec採用)の枠に入り込むか、もしくは弁護士や公認会計士等の難関資格を目指す等、何かしらの専門分野に紐づいた行動が必要ではないかと考えられます。


配属ガチャ後のキャリア

では、配属ガチャから現場配属となり、そこから従業員側が主体的に何もしなければどうなるのでしょうか。一部例外はありますが、一般的に市場価値は伸びにくいと考えられます。(下図4象限の青枠エリア)

配属ガチャ後

もちろん現場が悪い訳ではないですし、私は市場価値の絶対論者でもありません。とはいえ、まずは上図の4象限の立ち位置を見定めたうえで、「どのように生きていくのか」と自らに問い続けることが重要ではないでしょうか。

この点、少なくとも高度経済成長期の日本においては、市場価値より社内価値を重視していれば(上図の青枠エリア)相応のリターンがあった訳ですから、時と場合と人によって答えは様々だと思います。

しかし、時代は常に動いています。我々の親世代の「1つの会社でとにかく頑張れば報われる」という昭和的根性論は、令和の時代にも通用するのでしょうか。終身雇用が制度疲労を起こしている現在において、ある程度は市場価値を意識しておかないと、私のように会社人生に行き詰まると取り返しがつかなくなります。

とはいえ、私は親世代の昭和的価値観の影響を強く受けています。私自身も親世代と同様に「とにかく、がむしゃらにやる!」と思考停止的な部分もあったのですが、一方で何となく「このままだと市場価値は上がらないような気がするし、市場価値が低いままだと人生のリスクが高い気がするな…」とは考えていました。


恐怖のお客様面談

それから数週間の業務を経て、一定程度は交通事故案件の対応もできるようになってきたところ、とある事案に遭遇します。

いつもどおり、まずは事故のお客様にお電話をします。

ぼく「この度の事故は大変でございました。おケガは大丈夫でしたか」
お客様「XXXX、XXXXXXX、~~~~~」
ぼく(やばい、マジで何言っているか分からん・・・)

私は大阪出身ですので、関西弁は概ね聞き取れます。しかし、今回のお客様はご高齢ということもあって、本当に何を言っているのか分かりませんでした。

先輩社員「やなぎ、それ後々苦情になる可能性あるぞ。一回会って、詳しく話を聞いてこい」

ぼく「わ、わ、分かりました!(えっ、お客様に会ったことないし、怖い・・・)」

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(続く)

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