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人事評価の分析と対策

(Twitterはこちら → @yanagi_092)
※このnoteは、毎週土曜の夕方に投稿しています

年収

前回記事のとおり、私は出世のレールから外れました。しかし、これは当然の結末だったのかもしれません。自らの能力を過信し、自惚れて、人事評価の分析と対策を行ってこなかったのですから。

「目の前の仕事を一生懸命頑張るだけ」的な発想は、一部のスーパーエリートの特権であり、私のように平均的な人間が同じ思想に立つと失敗します。

そう、私のような一般人は「目の前の仕事を一生懸命頑張る」+「人事規則に基づく適切な戦略」の両輪を、上手く嚙み合わせる必要があったのです。

なぜもっと早く気付かなかったのか、と後悔をすることもありました。しかし、人事評価制度の仕組みを事前に知っていれば、レールを外れるリスクは軽減できると思いますので、スーパーエリート以外の一般人の方々には、是非知って欲しいと思っています。

エリート


人事評価を分析する

何とか出世のレールに戻ることはできないかと考え、まずは東京海上の人事規則を社内イントラで検索しました。13年目にして、初めて人事規則を見たのですが、そこは宝の山でした。

東京海上の人事評価においては「コンピテンシー評価」と「業績評価」の2軸に分かれています。

●コンピテンシー評価
要するに行動特性のことで、優秀な従業員の行動特性をサンプリングして、会社として必要と考える代表的な行動特性を、約10個に絞って抽出したものです。いわゆる「7つの習慣」の会社版だと考えられます。そして、これに基づいて人事等級やベース給与が決まるので、この評価がとても大事。
●業績評価
今年の売上XXXを達成する等、分かりやすいもので、年初に6-8個ほどコミットして期末にその状況を確認します。そして、業績状況に応じて、月額給与が1-3万円(税前)ほど上がります。(← えっ、それだけ?)

どうでしょうか。「業績評価」を気にしている方も多いですが、これって月額給与が1-3万円(税前)ほど上がるだけで、ほとんど意味がありませんね。もちろん、業績評価とコンピテンシー評価は相関性がありますので、業績評価を無視する訳ではありませんが、重要度は低いと言わざるを得ません。

そして、これは東京海上に限った話ではなく、近年では「業績評価」よりも、このような評価に重きを置いている会社も多いのではないでしょうか。

更に、これだけではありません。評価期間も重要です。多くの日系企業の事業年度は「4月~3月」ですが、評価期間はこれに一致していないこともあります。東京海上においては、以下のように全く別の評価期間を設定していました。

期間

このように、東京海上で最も重要なコンピテンシー評価の対象期間は、年度を跨いで設定されていることが人事規則にも明記されてありました。そして、9月末の状況を以って、昇格も検討すると規定されていたのです。

ぼく「えっ、、、今は4月だけど、出世に関わる評価の対象期間は9月まで半年しか残されてないのか・・・。業績評価の対象は今年1年間あるけど、月例給与の1-3万円ってどうでも良いし。いずれにせよ、時間がない!!」

焦り


人事評価の対策をする

前述のとおり、コンピテンシーとは行動特性であり、会社が示す約10個の行動特性を「継続的に行っているか」といった評価になります。この行動特性としては、例えば「社内外のネットワークを構築し、拡大している」「組織メンバーの特性を活かした業務分担と支援をしている」等、約10項目が並んでいました。(人事評価ランクによって項目数は異なる)

それぞれの行動特性に関する評価項目について、まずは私自身の評価が高い項目と低い項目の仕分けを行いました。面白いもので、行動特性の評価が低い項目を振り返ってみると「確かに、こういった行動はしていないな・・・」と改めて反省する点が多かったです。

本来、毎年の人事評価の振り返り時にこのような分析をすれば良かったのですが、自惚れていた私は「まぁ、いい感じに評価してくれるんでしょ、引き続き頑張りますよ!」的な感じでした。これは、志望校の過去問分析をせずに、ひたすら問題集を解いているだけの受験生と同じですね。

ここで、人事評価のために行動を調整すると聞くと、悪い印象があるかもしれあません。しかし、改めて自らの行動特性の分析をしていると「確かに、この行動はしていないな、、、自分に置き換えると、今後はどのような行動をすれば良いのだろうか」という発想に繋がり、行動特性の幅も広がりました。

東京海上の知り合いの方もこのnoteをご覧になっていると思いますが、正直に懺悔をしますと、当時、私は急に「若手向け財務会計勉強会」を毎週開催するようになりました。「なぜ急に勉強会?」と思った方も多いと思うのですが、これは、自らの行動特性で足りない部分を分析した結果、このような行動が必要という結論に至ったからです。

とはいえ、「これまで財務会計の勉強をしてきたけど、この知識を何かしらの形で残したいな・・・」と思っていたのも事実ですし、若手の方々から「マジで分かりやすい、やなぎさん最高っす!もっとやってください!!」と言ってもらえたのは本当に嬉しかったです。前回記事のとおり、当時、私は自らのアイデンティティが崩壊して立っていられないような状態でしたが、このような声は心の支えにもなっていました。本当にありがとうございました。


所属長との期初面談は極めて重要

期初面談、適当にやっていませんか?私は面倒な雑務だと思っていました。しかし、多くの上司は、部下に良い評価を付けたいと考えており、これは良い評価を獲得するための、事前のすり合わせの場でもあるのです。

といいますのも、各部における人事評価の会議では「AさんはXX点、BさんはXX点。ところでBさんって何してるんだっけ?」という話になりますので、ここでBさんの上司が「Bさんは、継続的に~~の行動をしている。これは評価項目の***として評価すべきである」と切り返しができる訳ですね。そして、各部での評価内容を人事部に送って、最終決定は人事部が行うという仕組みになっていますので、まずは各部の「予選」で高得点を獲得したうえで、人事部の「本戦」に進む必要があります。

そこで私は、所属する部内の評価会議で推して欲しい(伸ばしたい)評価項目を明らかにして、そのために「各項目毎に、どのような事実を積み上げるのか」を上司に伝えたうえで、10月以降の評価会議において上司が戦う際に使用する武器(=私がどのような行動したかの事実)を事前にすり合わせることが重要ではないかと考えました。

この仮説は当たったようで、期初面談で上司はめちゃめちゃメモをしていました。だって、人事評価会議において上司も部下のことをバシっと言いたいでしょうから、上司としても部下から「この評価項目を推してくれ、そのためにこういった行動をするから見ておいてくれ!」と言われると、とても助かるのではないでしょうか。

そして、以下記事のとおり、前年まで信じられないくらいヒマな状況に追い込まれたのですが、この年は金融庁関連の仕事で忙しい年になることが分かっていました。

ありがたいことに、やるべきことも一杯あるので、後は上司との「握り」を意識しながら仕事を進めていくことにしました。

頑張る

(続く)

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