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夏に観たい映画6選

 暑い、暑すぎる……。命の危険を覚えるほどの酷暑の夏は、クーラーの効いた室内で映画鑑賞と洒落込みましょう。
 今回は、夏に色んな理由で観たくなる映画を6本選びました。寝苦しい夜、日差しが強すぎる日中など、この夏のお供にぜひお楽しみください。
(以下、順不同です。)


鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

 夏と言えば怪談、肝だめし、ホラー……。そんなあなたに鬼太郎をどうぞ。いわゆる因習村系のお話で、グロテスクな表現や胸糞悪い展開も多いのですが、それでも目を離せません。(私はホラーやグロテスクな映画が苦手なのですが、本作は最後まで見届けることができました。)
 主人公の水木は戦争から帰ってきた元兵士、作中では「24時間働けますか」を地で行く企業戦士。フィジカルは強く根性もあるのに、戦争の爪痕のせいで危なっかしさを覚えるキャラクターで、この物語の主人公としてとても絶妙だと思いました。戦後のカオスから立ち直り始めた昭和には、まだ妖怪と人間はそこまで分断されていなかったのかもしれないなぁ、なんてことに思いを馳せながら鑑賞した作品です。

 

花様年華

 2001年公開、トニー・レオンとマギー・チャンが出演する香港を舞台にした映画。色彩豊かな映像美、主演二人の繊細な演技などが相まって、今では伝説的な作品として知られています。
 大人の男女のプラトニックな不倫物語……なんて言うと随分陳腐に思えるかもしれませんが、「言葉」をはるかに上回るものが見事にスクリーンに映し出されている名作です。雨の描写が多く、しっとりした蒸し暑さを感じる作品という印象があるので、雨がよく降る季節に恋しくなります。


オクトパスの神秘 海の賢者は語る

 暑すぎる。もう地上は嫌だ、水の中に逃げ込みたい。それならタコになればいいんだ、そうだそうだ……。そんな理由で選びましたが、この映画は本当に侮れません。
 南アフリカの海中に生息するタコに魅了された映像作家の視点で見る、タコの「生き様」。生体というか生き様。私は、自分がまさかタコのドキュメンタリーで泣いてしまうなんて思ってもいませんでした……。美しい海の景色もよいですよ。泳ぎに行きたくなります。


水を抱く女

 水つながりではこちらの映画もあります。ベルリンの都市開発を研究する歴史家のウンディーネが、心優しい潜水作業員・クリストフと出会い……というロマンス。ええ、ロマンスと言えばロマンスなんですが、主人公「ウンディーネ」の名前にピンと来る方ならきっと、この物語の不穏さにお気づきになるのでは。……ねえ、そうでしょう? バッハの楽曲と共に繰り広げられるミステリアスな御伽噺は、夏の夜にぴったりです。
 クリストフを演じるフランツ・ロゴフスキは、『希望の灯り』や『大いなる自由』といったドイツ映画には欠かせない名優。彼の独特の存在感もお見逃しなく。 
(『大いなる自由』は以前こちらのエッセイで取り上げました👇)


マッドマックス 怒りのデス・ロード

 2024年に前日譚となる『マッドマックス:フュリオサ』が公開された本作。水も石油も尽きかけた砂まみれの世界で繰り広げられる、壮大で車の騒音が最高にやかましい「ゆきて帰りし物語」。トム・ハーディーとシャリーズ・セロンという豪華な役者の共演はもちろん、真っ白塗りのウォーボーイズの一人としてニコラス・ホルトが登場していたのも印象的でした。
 なにせ作中がめちゃめちゃ暑そうなので、日本の酷暑を肌で体感していると妙な没入感があります。もしかしたら、登場人物たちの「怒り」には暑さも影響しているのでは……?


Summer of 85

 最後に、とても夏らしい映画を一本ご紹介します。本作は、ひと夏の出会いと別れを描いた少年同士の恋愛映画。若さゆえの危なっかしくヒリヒリした恋と思春期を、フランスの色鮮やかな背景と共に描いています。1985年が舞台のお話で、最近流行りの80年代のノスタルジックな空気・当時のヒットソングを思いきり浴びられるのも魅力。
 原作小説はエイダン・チェンバーズ著「おれの墓で踊れ」で、登場人物の名前が変わっているようですね。映画を観てから原作を読むか、原作を読んでから映画を観るか。そんな悩みもよいものです。

 

 まだまだ夏に良さそうな映画はありますが、キリがないのでこの辺りで。映画を鑑賞する時は、適度に水分補給をしながら最後まで楽しみましょうね。
 好きな映画と一緒に、少しでも素敵な夏をお過ごしください。



【おまけ】矢向の直近の映画ベスト10


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© 2024 Aki Yamukai

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