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「さきちゃんの受難」に出てくる妖怪たち ~私の作品紹介(小説)

 もうすぐハロウィンですね。ハロウィンは元々海外の行事ですので、どうしても西洋のお化けやモンスターのことを思い浮かべるものですが、日本にも興味深く面白い“人ならざるもの”がたくさんいます!
 そんな私の気持ちを、拙作のご紹介を通して皆さんにお届け頂ければと思います。


 私は以前、妖怪×ガールズトークの青春短編作品「さきちゃんの受難」をカクヨムで公開しました。(※現在は非公開)

「さきちゃんの受難」
“置いてけ堀”継いだ時、どんな気持ちだった?
 コロナウイルスの蔓延、あれよあれよと変わる流行、先の見えない将来、多様性推進……。現代を生きる人間に悩みの種が尽きないように、妖怪にだって悩みがある。

カクヨム「作品の概要」より

 自分としては、既存の(というと変な感じだけど)妖怪や都市伝説を題材としたお話を書くのは珍しいことだったので、書くにあたって簡単に調べ物をしました。
 日本の妖怪には、かつての日本人の想像力の豊かさや生活の闇の部分に潜むじめっとした湿度があっていいですよね。
 そうした存在の一部ということで、拙作に登場する“人ならざるもの”をご紹介します。

※すべて自分の記憶&インターネット調べです。詳細が気になる方は、ぜひご自身でお調べになった上で趣を感じて頂きたいと思います。


「さきちゃんの受難」の妖怪たち

〇置いてけ掘

 妖怪と言うより奇談と言った方がよいのかもしれません。江戸時代、よく魚が釣れると評判のお堀で、釣り人が夕暮れ時に帰ろうとしたら「置いてけ」と恐ろしい声がした…という怪談で、江戸を舞台にした本所七不思議のひとつとして知られています。
 その後、釣ったはずの魚が消えていたとか、怖くて逃げて助けを求めた相手がのっぺらぼうだった…なんて泣き面に蜂のような展開が続く話もあるようです。

 こんなものが亀戸にはあるとか👇


〇口裂け女

 1970年代に流行し、以降定着した都市伝説。この場合も、厳密には妖怪ではないのか…。本来(?)は、口まで隠れるマスクをつけているそうです。
 出会った人間に「わたし綺麗?」と聞き、答えが「綺麗」であればマスクの中に隠した裂けた口を見せて、それでも綺麗か更に確認してくる。答えが「いいえ」なら相手に危害を加える…というのがその特徴。
 実際にパトカーが出動する騒ぎになったり、彼女を模した悪戯が起きたりと、人間の実生活に影響を及ぼした実績はかなりあるような気がします。

 今でも高い知名度を誇り、ホラーにコメディにと色んなコンテンツに引っ張りだこ。最近だと例えば……👇


〇小豆洗い

 川で小豆を洗っているおじさんみたいな見た目の妖怪。小豆を洗うか人を取って食べるかという選択肢を、歌にして口ずさんでいるのが特徴。
 地域によっては笑っている縁起がいい妖怪として語り継がれていて、娘さんがいる女性が遭遇すると、娘さんは早くお嫁に行ける…なんて伝承もあるとか。

 2018年版の『ゲゲゲの鬼太郎』には、こんなお話もあります👇


〇油すまし

 九州の妖怪。峠道を歩いていた人が、「ここは昔、油の瓶をさげたやつが出たんだってさ」と話していたら、「今も出るぞ!」と返事をして出てきた妖怪。特にそれ以上の怖がらせエピソードは残っていないそうです。
 過去の記録では見た目について言及はなかったようですが、水木しげる氏が『ゲゲゲの鬼太郎』内で描いた、坊主頭に蓑を被った小さいおじさんのイメージが定着しています。

 2021年公開の映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』にも登場👇



 妖怪は、それを目にした人が居なければ存在に気付けないもの=人が恐れるものが具現化されたものだと自分は思っています。だから、昔から伝承される妖怪の成り立ちを知ると、今の私たちと共通して恐れるもの・違うものがわかって、かつての時代の人々に何となく愛着が湧いてきます。
 現代に妖怪は居ないかもしれないけれど、“人が恐れるものの具現化”という意味では、比較的現代に現れる都市伝説でも同じことが言えますね。恐怖は嫌なものですが、人の想像力・創造力の源でもあります。

 こんな彼らが(よく知られるのとは違う様子で)登場する拙作「さきちゃんの受難」は、以下で公開中です。カクヨムアカウントがなくてもご覧になれるはずなので、どうぞお気軽に。

 自分としては、ポップでシュールな仕上がりだと思ったけれど、「ほのぼのしました」という感想をいただいてもいるので、そういう雰囲気がお好きな方にもおすすめですよ。

 それではみなさん、よいハロウィンと毎日を~。



サムネ画像はこちらからダウンロードしました。見ているだけでもワクワクするサイトなので、ぜひどうぞ。(規約の範囲内で画像を利用しています)


本エッセイは、以下の記事を元にしています。


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© 2022 Aki Yamukai

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