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【ADHD治療薬】コンサータ服用の体験談【良かった点と悪かった点】

最近、発達障害やADHDという言葉をよく耳にするようになりました。

当事者の私が子供の頃、まだまだ世間には認知されておらず、治療を受けずに社会に出ていました。ADHDというのは「注意欠陥・多動性障害」のことで、発達障害のひとつです。

今日は、ADHDの治療薬に処方される「コンサータ」服用について、そのメリット・デメリットを体験を交えながら紹介します。


私はADHDの当事者であり、中重度の割と重い症状に悩まされています。結果、二次障害になってしまい、今も尚闘病中ではあるのですが…。

ADHD治療薬のコンサータとは

コンサータは、メチルフェニデートという中枢神経刺激薬を元に作られた薬です。メチルフェニデートは、日本に「リタリン」と「コンサータ」という名前で二つの種類の薬があります。

違いとして、リタリンは即効性が高く効き目が強かったため、依存性が強く、日本では過去に乱用が問題となり、現在は殆ど出されることがなくなりました。

では、同じメチルフェニデートを使ったコンサータも乱用の危険性があるのではないか?と思うかもしれませんが、そこは製薬会社さんが頑張ってくれました。

メチルフェニデートを何層もの複雑な構造で作られたカプセルに入れることで、成分がじっくりと放出されるように出来ていて、このカプセルを徐放剤と言います。

約12時間にわたってゆっくり効きつづけることによって、リタリンのようなすばやく強い効果をなくし、依存性の軽減と、乱用を防止するために様々な工夫がされています(コンサータのカプセルはめちゃくちゃ固い)。

ぶっちゃけ、コンサータって効くの?

結論、ADHDの私には効果がありました。

特に私は衝動性が強く、時に暴力的な衝動に駆られるときがあったのですが、それが殆どなくなりました。

ひとつ例に出すと、デスクトップパソコンが動かなくなって壊れてしまった時、わざわざ当時住んでたマンションの一番上の階、10階までパソコンを運び、落として爆発させることで気分を落ち着かせていたり、当時住んでいた実家は壁殴りにより穴だらけで最終的に、壁がなくなったことがあります。

恋人や友人と喧嘩した時も衝動的にスマートフォンを膝蹴りで破壊したり、ガラケーは何個破壊したかもはや覚えていません。

予備校生の時は特殊警棒を携帯し、不良っぽい人を追いかけまわしたり、小中学生の頃は学校中のガラスを割ったり、癇癪を起して椅子を先生に投げたり、まぁ、めちゃくちゃでした。前科がないのか奇跡ですね…。

発達障害からくる二次障害についても詳しく書いた記事があるので、こちらも見て頂けると嬉しいです。

ADHD治療に効かない部分もある

時間間隔の障害。
遅刻癖や後回し癖ですが、これはコンサータでは治りませんでした。

また、空間認識能力や数学的な思考能力は自分がLDであったため、コンサータで改善は見込めず、今もめちゃくちゃ方向音痴だったり、デジタル時計じゃないと時計が読めない感じです。

注意欠陥の部分ですが、確かに集中力は増しましたが、普通に今も忘れものはするし、なくしものも多く、部屋も汚いです。

コンサータのメリット・デメリットまとめ

コンサータの良かった点と悪かった点をメリットデメリットという書き方で、箇条書きにして列挙します。

良かった点(メリット)

・衝動性がかなり抑えられた
・集中力が増した
・日中眠くなくなることがなくなった

悪かった点(デメリット)

・鬱病になった
・治したい部分は治らなかった
・かなり依存性が高く、飲まないと起きあがれない状態になった


こうしてみると、
僕の体験では、コンサータはかなりデメリットが強めな感じですね。
コンサータは中枢神経刺激薬なので、割とうつ病になってしまう人が多いです。実際、うつ病になるかも。または、躁うつ病になるかも。というような注意書きがされています。うつ病患者や躁うつ病の患者には慎重に、特に重度鬱の患者さんや双極性障害1型のような方はほぼ禁忌だったと記憶しています。

私は衝動性や狂暴性、破壊衝動などが抑えられえた半面、抑えられすぎて、何もやる気になれず、動くことすら困難な難治性鬱病を患ってしまいました。

そして、この薬の一番怖いところは依存性が高すぎる点です。
どれだけ工夫しても、やはりメチルフェニデートは乱用こそしようとは思いませんが、止めれる気もしません…。

一生付き合う覚悟で飲まないと、断薬は非常に難しく、また、耐性は徐々につくので、一日で動ける時間も少なくなってきます。

コンサータの治療に踏み切った理由①

ではなぜ、私はそれほどまでにデメリットがあるコンサータを服薬するに至ったのか。ですが、

1つは無知であったことです。時間間隔の障害(遅刻癖) 報酬系の障害(後回し癖) 空間処理能力の障害(人にぶつかる) …etc などADHDの障害が全部治ると思い込んでいたので、最初飲んだ時のあまりの変わらなさにビックリした覚えがあります。

当時のメモ書き

当時のメモ書きがあるので、一応載せておきます。

2020年8月23日 コンサータについて。
○自分の場合(重度ADHD不注意、衝動性混合型)
18ミリ 一切効かず。
27ミリ あまり効かず。
36ミリ 衝動性に少し効果あり。
    不注意には効かず。
45ミリ 衝動性に効果あり。
    不注意には効かず。
54ミリ 衝動性にかなり効果あり。
    テキパキ感ある。
    不注意には未だ効果なし。
63ミリ 衝動性に効き、
    テキパキ感もあります。 
    不注意には少し効果あり。
    身体の負担もそれなりに。
72ミリ これ以上増量できないので、切り札として残している。
    かなり健常者に近い動きや思考ができるようになる。
            (不注意にようやく効く) 時間間隔や報酬系の障害には意味なし。

改善点
意識は普段よりハッキリする。
衝動性はかなり減る。
自分をある程度、客観視できるようになる。(メタ認知)
不改善点
不注意、遅刻、後回し癖、モノ無くし
集中力散漫、物忘れ。
副作用
18ミリでも発現
イライラ、焦燥感、鬱悪化、
被害妄想、希死念慮、吐き気、
食欲不振、不眠。
増量のタイミングで一番きます。
耐性がつくと副作用は落ち着きます。
私の場合は、
エビリファイとデパス、
睡眠導入剤で副作用は対処してます。
効きには個人差があります。
鬱や不安が酷い場合、副作用は強く出ます。
(重度鬱には禁忌)
エビリファイ服用で食欲不振が改善。
多幸感などはなし。
離脱時は何もできない。
依存性もあります。
休薬日を作ると身体が楽です。
(高容量だと、休薬日を作ると離脱がキツすぎました。)
一生付き合う覚悟が必要です。

病みサー日記お薬辞典

ADHDについて詳しく書いた記事はこちら。

コンサータの治療に踏み切った理由②

2つ目は、ADHDの症状がきつすぎて社会に出ることが不可能だと感じたからです。特に時間間隔の障害は社会人にとって致命的で、どうしても職場の人に良い顔をされません。(特に私は公立高校の教員だったので、遅刻は許されるわけがありませんでした。)

また、不注意なので、ドジ。と言ってしまえば可愛いですが、自分の様な男性だと使えないやつ。と職場でレッテルを貼られてしまいました。
これは学生時代のアルバイトの時からそうでした。

そして。一番問題だった衝動性ですが、体験談を載せておきます…。

衝動性は、本当に危うく、私は警察に捕まってもおかしくないほど危うい攻撃性がありました。実際、それは他者への攻撃になり、友人関係、恋人関係、親子関係など様々な人間関係を壊し、強い孤独と怒りにまた、衝動性が強く出て、安全靴で電柱を蹴りまくるというような奇行に及んでいました。

また、衝動的に買い物をしまくり、報酬系が短絡的なため、買い物など気楽な快楽を求めがちでした。そして、リボ払い、サラ金などで所謂自転車操業…借金地獄を経験したことがあります。(毎日50件近くの不在着信があらゆる金融機関から入っており、赤い紙が来た時も自暴自棄になっていたので全て無視していたら、差し押さえの令状?のようなものがきて、ようやく自分のやっていることのヤバさを自覚した覚えがあります。)

兎に角、ADHDを治療しなければ、私は生きていけない!と感じました。
かなり前調べはしましたが、ともかく、コンサータ以外はあまり効かないと言われており、実際自分で試した時もそうだったので、コンサータが一番ADHDの治療薬としては優れているとは思います。

ただ、上記したデメリット。
私はうつ病を患い、4年ほど空白期間があります。
ようやく今、抗鬱剤での治療に踏み切り、頑張ろうと思い始めましたが、かなりの時間を無駄にしたのもまた事実です。

コンサータは魔法の薬ではない

コンサータは魔法の薬ではありません。
メリットとデメリットで言うと、人によれば確実にデメリットのほうが強い人もいるでしょう。逆にメリットが強い人も沢山いるはずです。
ただ一つ言えることは、魔法の薬ではないのです。
メリットもあれば副作用(デメリット)もまた強い影として現れます。

光が強いとその影である闇が濃くなるような、コンサータと言う薬はまさしくそんな印象で、光と闇を強く内包するような薬だと私は感じました。

ADHDは特性で個性だということ

ただ、コンサータと4年に渡り付き合ってきた私から言えることは、
ADHDはその人の「個性」なのです。「才能」とも言えます。

私たちは所謂「普通」にはなれないし、
「普通」になろうと思うから辛いのです。

考え方を変えてみましょう。

そうすると、私たちは「凡人」ではないのです。
「天才」でもないかもしれないが、「凡人」では少なくともない。

何か得意分野があれば、そこを伸ばす。
ADHDとして生まれた我々がなせる処世術は、
そこにヒントがあると思います。

過集中という武器

私たちADHDは「過集中」という最強の武器を持っています。
私たちは、ジェネラリストではなく、スペシャリストになるべきなのです。

それは、何の分野でも良い。ただ、自分が興味がある分野が良いと思います。私たちADHDは興味のないものに対して、努力できないし、集中できません。飽き性である。というのも私たちの特性の一つなのです。

そして、マルチタスクしなければならない仕事は大体向いてません。
シングルタスクを極めた「過集中」こそ、ADHDの唯一の希望であると思っています。また、豊富なアイディアや自分の世界がある。というのもまた人間的な魅力の一つであると思います。

時間に左右されるのではない、自分の価値を高め、時間に左右されないようになる。そんな夢物語を描いて良いと思います。と、いうより、時間を厳格に守れるようになるほうがむしろ、我々には夢物語なのです…。

僕は、やはり教育への興味があります。そして、言語を学ぶことは楽しいと感じます。自分を成長させる行為は、非常に楽しいです。

そう、僕は人生について、自分の人生についてにしか、興味がないのです。
自分の人生を切り開いていく、それが、教育への道にも繋がり、後世へ何か残せればと思っています。

他人に期待してはいけないが、自分には期待しましょう。
自分を信じましょう。自分で自分を信じてあげないと、誰が信じてくれるんですか。自分に優しくしましょう。辛い時は甘やかしても良いんです。
他人に嘘をついても良いです。
でも、自分との約束はなるべく守りましょう。自分に嘘をついてまで、したいことはないはずです。また、自分との約束はどんな小さなものでも守れると自信に繋がります。自分で自分の信用度を上げていきましょう。それが後に大きな成功に繋がると僕は信じています。ただ、辛い時はひたすらに休みましょう。自分との約束も放棄していいです。全部投げ出してゆっくり休みましょう。僕も1年半以上、寝たきりで過ごしていました。

いつでもやり直しは可能だと、僕が証明します!

コンサータ服薬のまとめ

コンサータという薬を服薬して良かった点は正直、衝動性が減って穏やかになったくらいですが、社会的に致命的な欠点であったのでまぁ、プラマイゼロくらいの感覚ですが、ほんのちょっとは良かったとは思っています。

ADHD治療薬の新時代

ビバンセという新薬が現在未成年のADHD患者に出されています。

この新薬はコンサータの弱点を改善する可能性に満ちています。
アンフェタミンの前駆体(プロドラッグ)であり、所謂麻薬的な使い方が出来ないように工夫され、じっくりと12時間ほど効き、更にセロトニンも増やすので抗鬱効果も認められています。メチルフェニデートとアンフェタミンではまず覚醒レベルが違うので、我々の過集中もより強化されるでしょう。

障害とも薬とも付き合って生きていく

ADHDの未来は明るいのかもしれません。
そう信じて、私たちのこの個性を活かして生きていきましょう。
コンサータと付き合っているADHDの方も、新薬がもう出ています。
耐性が付いて効かなくなるようなことが万が一あったとしても大丈夫です。

歳をとることは怖いですが、日々自身の得意分野にダイブし、研鑽を積めば、素敵な人間になれると信じています。

一緒に希望を持って、個性を活かして、生きていきませんか?
僕は、ちょっとつづ頑張ってみようと思います。

障害を個性と思い、付き合う

ADHDは個性として付き合う
薬は衝動性を抑えてくれる補助薬として付き合う

抗うつ剤は、鬱病を寛解するためにゆっくり減薬し、
焦らず出来ることを1つずつ増やしながら、スローペースで生きていく

焦っていいことないのは我々ADHDの人間ならよくわかるでしょう。
ADHDがもたらしてくれる「過集中」は焦っている時ではなく、勝手に没頭している感じだと思います。
まぁ、追い込まれたらっていう場合が殆どですが…笑

没頭できる何かが見つかれば、私たちは、「過集中」という最強の武器によって、天才にまで近づけると信じています。
この強烈な個性と共に生きていけるのです。

ドジでも、時間にルーズでも、私たちはこの障害と付き合っていくしかなく、色んな作戦を考えて、生きていきましょう。
僕の今の所の作戦は、資格勉強ですが、どんなことでも良いと思います。

そういった作戦を、是非、病みサーで語り合いましょう。
当事者が多く、当事者会なども1カ月に1回のペースでやっているので、
孤独に戦う必要がなくなります。一緒に戦いましょう。

今日はここまで。
長くなりましたが、最後まで読んでくれてありがとう。

最後の最後に、私が運営しているメンタルヘルスコミュニティである「病みサー」について、宣伝しておきます。

「病みサー」コミュニティとしての役割

薬物治療とは別に、🔗病みサーも心理療法の支援の一環として機能しているDiscord通話コミュニティです。

病みサーでは、ADHD、うつ病やその他のメンタルヘルス問題を抱える当事者が毎日オンラインで交流しています。

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✅注意:この記事は一般的な情報の提供を目的としており、医学的アドバイスではありません。筆者の経験談でしかないので、信憑性もそこまでありません。参考程度に見て頂けると幸いです。もし、重度の精神的な問題や危機を感じている場合は、専門家や医療機関の助けをすぐに求めてください。



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