とにかく謝る男と、ひたすら日付にこだわる女性【短編エッセイ】
高校生のとき、ホワイトデーのお返しを彼女に渡すため、部活動が終わったら買いに行こうと思っていた。
しかし僕は、その日の部活中に大怪我をしてしまい、すぐに病院に運ばれていった。
お返しを買えないまま、ホワイトデー当日を迎えることになった。
事情を説明したが、彼女は不機嫌な顔をして、ムスッと怒った。
渡さないわけではないよということと、
怪我は予期できなかったのだよということ。
なんとか納得してもらった。
別に明日でも良いやんけ
と思っていたが、中々言えない雰囲気だった。
ごめんよと謝りながら彼女を家まで送る。
なんとか機嫌を直してくれた帰り道の途中、
仲良しの友人カップルとすれ違った。
「あ、ねえねえ。見て、これね、彼氏からホワイトデーでこれもらったの。幸せ~」
あぁ、よしてくれ、なんていう最悪のタイミングなんだ。
世の中のカップルが、全員14日に確実に渡せてると思うなよと、友人カップルのことが少し嫌いになった。
そこから家までの道のりのことは言うまでもあるまい。
後日、リラックマのマグカップとお菓子を買って、どうにかこうにか機嫌を直してもらいましたとさ。
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