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大正一二年の魔法少女『忍術漫遊 戸澤雪姫』

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大正一二年に書かれた魔法少女の物語『忍術漫遊 戸澤雪姫』を公開しています。今でいう漫画やラノベにあたる存在です。当時の挿絵も貼り付けつつ、各章の最後に解説もつけておきます。
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2018年8月の記事一覧

忍術漫遊 戸澤雪姫 その05 『山賊の来襲』

さてその翌朝になったが、乳母のお道の病気は直らなかった。そこで出立をすることは出来ない。…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その06 『神出鬼没』

頭「コリャコリャ早くしろ。金はいつでもさらえる事が出来るが、これは序でだ。本来の目的は当…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その07 『盗賊二人』

#それよりだんだん備前地へ入り込み 、三石という所へ来て宿を取った。なにしろ女巡礼が二人、…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その08 『また失敗』

権「オヤッ、これはおかしいぞ。俺の胴巻がない。落す訳もないし、布団の下に入れておいたのを…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その09 『偽せ雲助』

間もなく日も暮れて、月はまだ出ない。折柄通った一挺の駕籠、辻堂で人の気配がするからノコノ…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その10 『果たし合い』

乳母のお道も平気なものだ。言わるるままに探し歩いて御飯を夫れへ持って来る。二人は一七人の…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その11 『芸州屋長兵衛』

すると先刻より宿屋の前に佇んで、様子を見ていた一人の男、 男「エエモシ御婦人」 雪「ハイ」 男「お前さん等はお見受け申せば、大層血だらけの御武家を背負っていられますが、どうなすったので……」 雪「よくお尋ね下さいました。実は斯様斯様(こうこう)で……」 と今迄の次第を物語る。すると件の男は、 男「ヘエ……然うでございましたか……夫れはマアお気の毒な事で……宿屋が泊めねぇと言うのも無理はねぇ、跡で災難を喰らうと思うからでしょう。私は此の城下に住んでいる毛利家の人入家

忍術漫遊 戸澤雪姫 その12 『敵(かたき)の手掛り』

素破こそ一大事と、老女は老体を打ち忘れて、駆け出して行く。夫と見た雪姫は、静かに、 雪「…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その13 『千変万化の働き』

雪姫と小光は顔を見合わして、 雪「小光どの、此奴も兄姉の仇の片割れ、手に掛けるが宜い」 …

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その14 『裏の裏』

源「先生、何か御用で……」 庄「源六、又今日も巡礼が来たぞ。気の毒だがあの巡礼の住処を見…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その15 『仇討助成』

夫れに応じて門人の一人が出て来た。 庄「チョイと風呂焚三助を呼べ……」 やがて三助は来る…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その16 『身投げ』

ところで雪姫は何日迄(いつまで)も小光を一緒に連れて歩く事は出来ないから、乳母のお道と相談…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その17 『遊女寿』

丸山の廓の大吉楼という遊女屋に寿(ことぶき)という遊女が有る。何所かの武士の娘と見え、又身…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その18 『意見』

寿も下村先生の噂を耳にするが、別になんとも思わないと見えて、肌身を許す様子もない。弥五郎にして見ると、少々自惚(うぬぼ)れがある。 弥「乃公の評判がこれほど宜いのだから、寿もちと惚れそうなのものだ」 と、少々鼻天狗だが、寿は馬の耳に風邪、一向に感じない。弥五郎はこうなると愈々焦れて、寿の許へ通う。此の頃は大分自棄(やけ)気味になって、今迄の弥五郎とはまるっきり違って来た。寿はだんだん様子を探って見ると、弥五郎は寿を手に入れたいばっかりに、旅の浪人に金をやって、大吉楼で暴れ