忍術漫遊 戸澤雪姫 その18 『意見』
寿も下村先生の噂を耳にするが、別になんとも思わないと見えて、肌身を許す様子もない。弥五郎にして見ると、少々自惚(うぬぼ)れがある。
弥「乃公の評判がこれほど宜いのだから、寿もちと惚れそうなのものだ」
と、少々鼻天狗だが、寿は馬の耳に風邪、一向に感じない。弥五郎はこうなると愈々焦れて、寿の許へ通う。此の頃は大分自棄(やけ)気味になって、今迄の弥五郎とはまるっきり違って来た。寿はだんだん様子を探って見ると、弥五郎は寿を手に入れたいばっかりに、旅の浪人に金をやって、大吉楼で暴れ