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いつかどこかで見た映画 まとめ

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劇場公開時に見た映画について、そのときどきに書きつづった映画評というよりも「映画をめぐる雑念」集。段落ごとに1行空けるというネットマナー(?)があまり好きではないので、ダラダラと… もっと読む
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#映画

いつかどこかで見た映画 その1 『情痴 アヴァンチュール』(2005年・フランス)

いつかどこかで見た映画 その1 『情痴 アヴァンチュール』(2005年・フランス)

“Une aventure ”

監督:グザヴィエ・ジャノリ  脚本:グザヴィエ・ジャノリ、ジャック・フィエスキ 出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ニコラ・デュヴォシェ、ルブリュノ・トデスキーニ、フロランス・ロワレ=カイユ、エステル・ヴァンサン、アントワン・ドゥ・プレケル、バルベ・シュローデル

 小説や映画なんかで、男を破滅させる女のことを「ファム・ファタル」と呼ぶことは、よく知られていることだと

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いつかどこかで見た映画 その2と3 『歌謡曲だよ、人生は』(2007年・日本)&『こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(2009年・日本)

いつかどこかで見た映画 その2と3 『歌謡曲だよ、人生は』(2007年・日本)&『こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(2009年・日本)

『歌謡曲だよ、人生は』
監督・脚本:磯村一路、七字幸久、タナカ・T、片岡英子、三原光尋、水谷俊之、蛭子能収、宮島竜治、矢口史靖、長田達也、山口晃二 出演:青木崇高、伴杏里、六平直政、史朗、松尾諭、徳井優、田中要次、大杉漣、中山卓也、正名僕蔵、本田大輔、宮史郎、久野雅弘、板谷由夏、余貴美子、山路和弘、吉高由里子、武田真治、久保麻衣子、インリン・オブ・ジョイトイ、マモル・マヌー、内田朝陽、高橋真唯、山

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いつかどこかで見た映画 その4 『落下の王国』(2006年・アメリカ=イギリス=インド)

いつかどこかで見た映画 その4 『落下の王国』(2006年・アメリカ=イギリス=インド)

“The Fall”
監督:ターセム・シン 脚本:ダン・ギルロイ、ニコ・ソウルタナキス、ターセム・シン 出演:リー・ペイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、レオ・ビル、ショーン・ギルダー、ジュリアン・ブリーチ、マーカス・ウェズリー、ロビン・スミス、ジットゥ・ヴェルマ、エミール・ホスティナ

 インディペンデント、あるいはインディーズ。英語表記すればカッコイイ

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いつかどこかで見た映画 その5 『2012』(2009年・アメリカ)

いつかどこかで見た映画 その5 『2012』(2009年・アメリカ)

“2012”
監督:ローランド・エメリッヒ 脚本:ハラルド・クローサー、ローランド・エメリッヒ 出演:ジョン・キューザック、キウェテル・イジョフォー、アマンダ・ピート、オリヴァー・プラット、タンディ・ニュートン、ダニー・グローヴァー、ウディ・ハレルソン、モーガン・リリー、ジョン・ビリングスレイ、ジョージ・シーガル、ジミ・ミストリー、パトリック・ボーショー

 ところで、ぼくはローランド・エメリッヒ

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いつかどこかで見た映画 その6 『デビルズ・ノット』(2013年・アメリカ=カナダ)

いつかどこかで見た映画 その6 『デビルズ・ノット』(2013年・アメリカ=カナダ)

“Devil's Knot”
監督:アトム・エゴヤン 脚本:スコット・デリクソン、ポール・ハリス・ボードマン 出演:コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、アレッサンドロ・ニヴォラ、スティーヴン・モイヤー、デイン・デハーン、ミレイユ・イーノス、ブルース・グリーンウッド、エイミー・ライアン

 こと「映画」に限っていうなら、つくづくカナダというのはヘンというか不思議[ストレンジ]な国だと思う。

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いつかどこかで見た映画 その7 『祖谷物語-おくのひと-』(2014年・日本)

いつかどこかで見た映画 その7 『祖谷物語-おくのひと-』(2014年・日本)

監督:蔦哲一朗 脚本:蔦哲一朗、河村匡哉、上田真之 出演:武田梨奈、田中泯、大西信満、クリストファー・ペレグリーニ、山本圭祐、森岡龍、河瀨直美

 とにかく、これほど見る前と後で印象の異なる映画も珍しい。『祖谷物語ーおくのひとー』という題名とチラシの絵柄(そこには、「山と生きる。」だの「35mmフィルムで綴る、美しき故郷のものがたり。」だのという文字が並んでいる……)などからは、いかにも自然への回

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いつかどこかで見た映画 その8 『ザ・マスター』(2012年・アメリカ)

いつかどこかで見た映画 その8 『ザ・マスター』(2012年・アメリカ)

“The Master”
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン 出演:ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ローラ・ダーン、ジェシー・プレモンス、ラミ・マレック

 ポール・トーマス・アンダーソン監督の映画は、「家族」や「父と子」をめぐるものだーーとは、よくいわれる。実際、『ブギーナイツ』ではバート・レイノルズとマーク・ウォルバーグが“疑似父子”のような

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いつかどこかで見た映画 その9 『HACHI 約束の犬』(2009年・アメリカ)

いつかどこかで見た映画 その9 『HACHI 約束の犬』(2009年・アメリカ)

“Hachi: A Dog's Tale”
監督:ラッセ・ハルストレム 脚本:スティーヴン・P・リンゼイ 出演:リチャード・ギア、ジョーン・アレン、サラ・ローマー、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ジェイソン・アレクサンダー、エリック・アヴァリ、ダヴェニア・マクファデン

 昔から映画業界には、「子供と動物には勝てない」という“格言”がある。彼らの「自然な演技」を前に、観客はいとも簡単に感情移入してしま

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いつかどこかで見た映画 その10 『叫』(2006年・日本)

いつかどこかで見た映画 その10 『叫』(2006年・日本)

監督・脚本:黒沢清 出演:役所広司、小西真奈美、葉月里緒奈、伊原剛志、オダギリジョー、加瀬亮、平山浩行、奥貫薫、中村育二、野村宏伸

 黒沢清監督の「ホラー映画」に対する偏愛ぶりは、つとに有名だ。トビー・フーパーを絶賛し、ジョン・カーペンターを高く持ち上げ、中田秀夫や清水崇、鶴田法男などといった“Jホラー”ブームを担う旗手たちの作品をいちはやく評価したのも、黒沢その人だった(実際、彼らの映画のいく

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いつかどこかで見た映画 その11 『モンスターズクラブ』(2011年・日本)

いつかどこかで見た映画 その11 『モンスターズクラブ』(2011年・日本)

監督・脚本:豊田利晃 出演:瑛太、窪塚洋介、KenKen、草刈麻有、ピュ〜ぴる、松田美由紀、國村隼

 ……例によって、いきなりの脱線。豊田利晃監督の異色作『モンスターズクラブ』を見てまっ先に思い出したのが、もう随分と以前にテレビで見た1本の「SF映画」なのだった。
 そしてそれは、おそらくぼくがこれまで見てきたなかで最もチープというか酷いというか、そのあまりにも壊滅的なダメっぷりが逆に衝撃的で、

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いつかどこかで見た映画 その12 『人生はシネマティック!』(2016年・イギリス)

いつかどこかで見た映画 その12 『人生はシネマティック!』(2016年・イギリス)

“Their Finest”
監督:ロネ・シェルフィグ 脚本:ギャビー・チャッペ 出演:ジェマ・アータートン、サム・クラフリン、ビル・ナイ、ジャック・ヒューストン、リチャード・E・グラント、ヘレン・マックロリー、エディ・マーサン、レイチェル・スターリング、ジェレミー・アイアンズ、ポール・リッター

 映画や舞台におけるその内幕というか“舞台裏[バックステージ]”を描く、いわゆる〈バックステージ

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いつかどこかで見た映画 その13 『ホーリー・モーターズ』(2012年・フランス=ドイツ)

いつかどこかで見た映画 その13 『ホーリー・モーターズ』(2012年・フランス=ドイツ)

“Holy Motors”
監督・脚本:レオス・カラックス 出演:ドニ・ラヴァン、エディット・スコブ、エヴァ・メンデス、カイリー・ミノーグ、ミシェル・ピコリ、ズラータ

 映画と演劇の最も大きな違いとは、何だろう。ーーなどと、そんなことをあらためて問うなんて、やはりバカげているだろうか。映画はフィルム(またはデジタル)で撮影された映像がスクリーン(あるいはモニター画面)に映し出され、演劇は舞台上で

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いつかどこかで見た映画 その14 『ワンダーウーマン』(2017年・アメリカ)

いつかどこかで見た映画 その14 『ワンダーウーマン』(2017年・アメリカ)

“Wonder Woman”
監督:パティ・ジェンキンス 脚本:アラン・ハインバーグ 出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、コニー・ニールセン、エレナ・アナヤ、デヴィッド・シューリス、ルーシー・デイヴィス、ダニー・ヒューストン、ユエン・ブレムナー、サイード・タグマウイ

 いやもう、とにかく“驚嘆[ワンダー]”の一語なのである。何が? もちろん『ワンダーウーマン』のことさ! この

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いつかどこかで見た映画 その15 『三姉妹 雲南の子』(2012年・香港=フランス)

いつかどこかで見た映画 その15 『三姉妹 雲南の子』(2012年・香港=フランス)

“三姊妹”
監督・撮影:王兵(ワン・ビン)

 この世で何がつらいといって、年端もいかない子どもたちの“受難劇”を見聞することほどやるせなく、耐え難いものはない。テレビのニュースや新聞などで、親や大人たちによる虐待やら殺人が報じられたり、子どもたち同士による凄絶ないじめが取り上げられたりするたび、もうたくさんだ……と目を背け耳をふさいでしまう。もちろんそれは、決して「いい人」ぶってるんじゃなく、そ

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