伍魚福の提供する価値 =「驚き」と「楽しさ」 (備長炭カシューナッツ編)
伍魚福はお客様に何を提供するのか?
「すばらしくおいしいものを造り、お客様に喜ばれる商いをする」(経営理念)ということなので、「すばらしいおいしさ」がもちろん重要な要素です。
すばらしくおいしい、と思えると、人に伝えたくなりますよね。
今回はそういうお話です。
「備長炭カシューナッツ」という商品があります。
10何年も前ですが、「竹炭」を使用した商品がはやったことがあります。
伍魚福では、「備長炭」は「竹炭」よりも高温で焼成するため純度が高いこと、悪い成分を吸着するデトックス効果があるというイメージもあり、健康に良さそう、という切り口でこの商品を開発しました。
ころもは備長炭により真っ黒、甘辛いしょうゆ味に一味を効かせ、カシューナッツの甘みと混然一体となって楽しめる、私も家に常備している商品のひとつです。
当時「薬膳珍味」というシリーズをつくり、アガリクスなどと一緒に販売したのですが、シリーズ自体は振るわず、終了。
ただ、備長炭カシューナッツは、それなりに売れていたので、単独の商品として継続して今に至ります。
FOODEX JAPANという展示会に出展していたときのことです。
あるバーのマスターに立ち寄っていただきました。
その方は、「備長炭カシューナッツ」を店でお使いいただいているそうです。
お礼を申し上げるとともに、どのようにお使いですか、と聞きました。
すると、
「これをミックスナッツと一緒に出すと、お客様が『何これっ』って驚いてくれて、話の種になるんですよ」
とおっしゃるのです。
愕然としました。
我々は、健康に良い商品を作ったつもりでした。
お客様も「健康に良さそうだから」と思ってお買い上げいただいていると思い込んでいたのです。
買った方も、買った方の友人、知人、ご家族もこれを見てびっくりする。
びっくりされ、へー、おもしろいね、という反応があって、買った本人もうれしい。
それがこの商品の価値である。
ということに気づかされたのです。
もし、無人島に一人で住んでいたら、別に服も、カバンも、車も、何も必要がありません。
人間社会の中で生きているから、「かっこいいね」と言われたくて自分が「かっこいい」と思える服を着る、カバンを持つ、車に乗る。
お土産も、もらった人が喜んでくれるから買う。
お土産をあげたのに「いらない」と言われたら、そのお土産は全くの無価値です。
我々がモノを買う理由は、そのモノによってもたらされる「感情」を価値として感じているからなのです。
従って、「備長炭カシューナッツ」を改良するとして、「健康」を価値ととらえていると、備長炭の配合を増やすとか、塩分を控えめにするとか、そういう方向性になります。
これは全く間違った方向への改良だ、ということになりますね。
もっと「驚かれる」にはどうするか。
もっと「楽しい」と感じていただくにはどうするか。
そういう改良でなければ意味がないのです。
茨城県のお得意先が、こんなPOPをつけて「備長炭カシューナッツ」を山積みにしてたくさん売っていただいた事例があります。
「なんだろう、この謎の黒い物体」というのは、このお店のお客様が実際に口にされた言葉だそうです。
お店で「真っ黒だ、なんだこれ?」と思っていただき、手にとっていただく。
お客様も、買って帰って、ご家族や友人に「なんだこれ?」と思ってもらいたい。
そして、食べたらきっと驚くだろう。
そう思えると、買いたくなりますね。
その後、この事例を元に、伍魚福のデザインチームでリライトして、今でも「コトPOP」として使用させていただいています。
「コトPOP」というのは、そういう「価値」=コト、をお伝えするPOPのことです。
伍魚福では、その書き方などを長年研究していますが、「備長炭カシューナッツ」はそのきっかけになった記念すべき商品だ、とも言えます。
お客様の声に感謝です。
今後も「驚き」や「楽しさ」=「エンターテイニング」(人を楽しませる)をもっと提供できる商品をどんどん作っていきたいと考えています。
皆さんの率直なお声をお聞かせいただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan