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学習の4段階の「無意識的無能」の理解は、行動変容の第一歩


意識していないこと

私たちは、日常の生活や仕事で、自分の興味や関心がないことには意識が向きにくいため、無意識にその存在を見過ごしてしまいます。意識が向かないということは、「知っていないことすら知らない」を意味するので、行動を起こすこともできません。例えば、特定の分野に興味がない人が、その分野の情報、知識、スキルを自然に習得することはありません。このような無意識の状態が、私たちの成長や学習に大きな影響を与えることがあります。

マズロー学習の4段階レベル

マズローの学習の4段階理論は、人が新しい知識やスキルをどのように習得していくかを体系的に説明するものです。この理論は、学習者が進むべきステップを明確に示し、それぞれの段階に応じた適切な支援方法を提供することで、学習プロセスをより効果的にサポートすることができます。

この理論を理解しておくことで、対象者の現在の状況を把握し、最適な学習環境や教材の考察につながります。また、対象者も自分の進捗を把握し、目標に向かって計画的に学習を進めることが促されます。

マズローの学習の4段階理論は、以下のステップで構成されています。

  1. 無意識的無能:自分が何を知らないのかに気づいていない

  2. 意識的無能::自分が何を知らないのかに気づき、学ぶ必要性を感じる

  3. 意識的有能::学習を通じて知識やスキルを習得し、意識的に実践できる

  4. 無意識的有能:習得した知識やスキルを無意識に実践できる

マズローの学習の4段階理論は、学習者が効果的に成長し、最終的には無意識に高いパフォーマンスを発揮できるようになるための道筋を提供しています。何より、観察者(評価者)と被観察者(被評価者)の間に生じる満足と納得と不平不満の違いも認識できるようになるでしょう。

無意識的無能

第一段階は「無意識的無能」です。この段階では、「無意識」は「知らないことに気づいていない」ことを意味し、「無能」はパフォーマンスとして評価できない状態を指します。つまり、自分が何を知らないのかさえも認識しておらず、そのために適切な行動や反応ができない状態です。

例えば、補助輪付きの自転車に乗っている子供は、補助輪無しの二輪で乗ることができません。補助輪付きで遊ぶ状態に満足していれば、補助輪を取る理由も動機も生まれず、二輪で乗りたいという意識もありません。なぜなら、現状に満足している限り、状況を変える理由はないからです。

無意識的無能から抜け出す

無意識的無能の段階にいる人に対して、周囲の人々はしばしばフラストレーションを感じることがあると思います。これは、無意識的無能の状態にいる人が自分が何を学ぶべきか、どのように成長すべきかを理解していないにも関わらず、意欲や努力が不足しているという印象を持たれてしまうためです。単に「知らない、気が付いていない」と「知っている(た)、気が付いている(た)が、忘れている(た)」では解釈が全く異なってきます。無意識的無能は、不満や誤解の原因と背景の存在を確認することがテーマです。

認識の振り返り

無意識的無能の目的は「知ってもらう」ことで、まず本人が何を知らないのかを理解してもらうことが不可欠です。そのためには、お互いにコミュニケーションを通じて認識を確認し合うことによって、一方的な指導や指示から生じる不平と不満を防ぎ、自己認識力を高めていきます。このように、認識を振り返ってもらうことで、次の行動変容の段階に進むための準備が整います。

次回は、「意識的無能」について考察します。

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