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スタートアップ支援について(新しい資本主義担当大臣、経済産業大臣、NPO担当大臣)

【動画・会議録】参議院 予算委員会 令和4年3月9日

https://youtu.be/WxRA1f-TwTM?t=227    3分40秒~16分00分まで

スタートアップ支援について

答弁者 新しい資本主義担当大臣、経済産業大臣、NPO担当大臣  質疑者 山本かなえ

スタートアップ5カ年計画の目的・意義、どこでどう策定するのか(新しい資本主義担当大臣)

○山本香苗君 次に、スタートアップについてお伺いいたします。岸田総理は、今年をスタートアップ創出元年と位置付けて、六月までにスタートアップ五か年計画を作っていきたいとおっしゃっておられましたが、この目的、意義、六月までにどこがどう策定するのか、お答えいただきたいと思います。

○国務大臣(山際大志郎君) これ最終的には新しい資本主義実現会議のところで最後取りまとめることになりますが、関係省庁、内閣府や経済産業省で中身について今詰めていただいているところでございまして、それらを有機的に結合させて、最終的に六月までに新しい資本主義実現会議の下で決めていくということになります。

○山本香苗君 済みません、目的、意義のところについてもお答えいただきたいと。

○国務大臣(山際大志郎君) 大変失礼いたしました。スタートアップの意義は、イノベーションを起こし続けることが日本のこれからの社会にとって必須であると。そのイノベーションの担い手は、もちろん今もう既にある企業というものもそのイノベーションを起こしていかなくてはいけないわけですけれど、新しく業を起こす、スタートアップというものがさらにその主役になっていく。
  実際に、戦後すぐに日本の企業はほとんどスタートアップだったわけですね。それがこの七十年、八十年の間に大企業に育ってきたと。しかし、その動きというものがここ近年大分停滞しているという事実もございまして、ある意味、第二創業期間という形でこのスタートアップをしていくということが、応援していくということがこれから先の五十年、百年の日本の社会に必須であると、そういう目的意識を持って、それをやるというのが目的でやらせていただいております。

○山本香苗君 イノベーションを起こしていくということが目的であれば、世界に伍するという発想だけではなくて、世界と組むという発想を是非持っていただきたいと思います。

スタートアップ5カ年計画に、海外スタートアップを支援し、クラブチーム化を図ることも柱の一つとして位置づけるべきではないか(経済産業大臣の後に新しい資本主義担当大臣)

○山本香苗君     京都にKyoto Makers Garageという物づくりスタートアップの拠点がございます。ここの運営はMonozukuri Venturesというベンチャーキャピタルが主に担っておりまして、現在、コロナ禍にもかかわらず、海外スタートアップが集まってきています。
 この背景には、日本の物づくり支援、日本の製造業企業との連携ということを期待してということなんですが、多くのスタートアップが量産化の壁にぶち当たります。Monozukuri Venturesでは、部品を製造する企業が集まって新商品づくりの支援を行う京都試作ネットと連携することによって、多品種少量生産を可能とし、この量産化の壁をクリアしています。そして、どこにどうコンタクトしていいか分からないという海外スタートアップを、日本の製造業企業につないでいるんですね。だから、わざわざ海外から集まってきています。
  実際、Monozukuri Venturesはこれまで海外のスタートアップ二十六社を支援して、ちょっと具体例を挙げると時間がなくなっちゃうので御紹介できないんです、様々な商品を既に出してきています。
  世界のアイデアと日本の物づくりの技術が相まってイノベーションを起こすと。日本人だけ、日本の企業だけではなくて、海外のスタートアップと組むと。クラブチーム化することによってイノベーションを起こすということも今回のスタートアップ五か年計画の柱の一つとして是非位置付けていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(山際大志郎君) 端的に申し上げれば、そのつもりでやります。スタートアップを起こしていくために必要なものとして、まず、その人が必要ですよね、絶対に。そして、お金も必要です、資金が必要です。さらに、今おっしゃっていただいたようにネットワーク、あるいはネットワークというものの中には場も含まれると思いますが、が必ず必要になってまいります。この三つをきちんと提供できるような体制を整えていくと。
   そうなりましたときに、各プレーヤーというのがどういう属性の方々かということは、何も最初から日本人に限る必要はないと思っておりますし、資金の出し手も日本人だけの必要もないと思っております。
   また、もう一つ、すごく重要なことは、元々そのスタートアップをしていただくときに、グローバルの市場を視野に入れてスタートアップをしていただけるかどうかということは非常に重要でございまして、その視点も忘れないように盛り込んでまいりたいと思っております。

○山本香苗君 是非お願いしたいと思います。というのも、世界に伍するだけだと東京でしかできないと。地方こそスタートアップイノベーションが必要だと思います。よろしくお願いしたいと思います。

海外連携強化を図るため、中小機構・JICにおける「日本の中小企業に出資する」という前提に立った運用を見直すべきではないか。(経済産業大臣)

○山本香苗君   その上で必要なのが海外との連携です。昨年八月からファンドによる海外投資規制の特例、スタートしましたが、これによって認定されたのはいまだ一件もございません。といいますのも、国内ファンドの資金の出し手の大部分は中小機構やJIC、産業革新投資機構でありますけれども、中小機構は国内の中小企業に資金を出すことを前提としておりまして、特例で認定されても出資先は国内の企業に限定されます。これを機に、こうした前提を見直すべきじゃないでしょうか。

○国務大臣(萩生田光一君) 中小機構及びJICが出資するファンドからの投資対象企業は必ずしも日本国内の中小企業に限定されておらず、海外企業への投資も可能です。
   例えば、中小機構が出資するファンドにおいて、国内の企業に限らず、ASEAN・イスラム市場で成長が期待される事業へ投資を行うなど、ファンドが有するパートナーシップも活用して中小企業の海外展開を支援している事例もございます。
   また、JICにおいても、海外企業に投資するファンドに対して、日本企業が技術や販路を提供することにより新産業の創出や事業成長につながるものについてはこれまでも支援を実施しているところです。

○山本香苗君 ただ、実績を見ていただくと、ほとんど国内に限られております。是非、そこも是非見ていただいて、これを機に運用も見直しをしていただきたいと思います。

海外スタートアップ関係者が気軽に日本に来て、起業や事業のきっかけをつくる環境づくりも必要ではないか。(経済産業大臣)

○山本香苗君    萩生田大臣、もう一つお願いしたいことがありますが、世界ではスタートアップの獲得競争が起きております。まず日本に足を運んでもらって、そしてこの起業や事業のきっかけをつくると、これが大事で、いきなり最初から日本で起業してもらおうというのはかなりハードルが高いわけであります。この点についても是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(萩生田光一君) 先生御指摘のとおり、海外から起業家や高度人材に加えて投資家も呼び込むことで、日本での起業だけでなく、投資や事業家支援も含めてスタートアップ創出、育成する仕組みが重層的に強化されるものと認識しております。
  日本のスタートアップを取り巻く環境は改善が進んでおりますが、昨年の米国民間調査でも、都市別スタートアップ・エコシステム・ランキングにおいて東京は世界九位と、前年の十五位から評価を上げているところです。
  経済産業省では、こうした海外からの評価を一層高めるべく、国内外の有望なスタートアップと日本企業との大規模なマッチングイベントの開催や、海外に向けて日本のスタートアップ企業や支援環境などの情報発信にも継続して取り組んでいるところです。
  また、環境整備の一環として、スタートアップビザの制度を整備をし、地方自治体から支援を受ける海外の起業家の入国、在留を推進し、日本での起業を促しているところです。
  今後とも、関係省庁、関係機関、自治体とも協力しながら、海外スタートアップ関係者の呼び込み、連携強化に取り組んでまいりたいと思います。

○山本香苗君 スタートアップ・チリであったり、ヘルシンキ・プログラムであったり、いろんな形で海外が呼び込み合戦をしております。それに負けないような形を是非お願いしたいと思います。

ソーシャルスタートアップ支援の一環としてNPO法人の中に「出資型」という類型を創設することを検討していただきたい(NPO担当大臣)

○山本香苗君    あともう一つ、ソーシャルスタートアップ支援も是非五か年計画の中に取り込んでいただきたいと思います。その一つの手段として、NPO法人の中に出資型という類型を創設していただけないかなと思っております。
   近年、SDGsへの関心の高まりによりまして、NPOに単純に寄附するだけではなくて、本業や自社の技術や資産を活用し、社会課題の解決に乗り出したいという企業が増えてきています。つまり、寄附を通じたプロジェクトファイナンスだけではなくって、NPOに資産、資本参加をして、そして共同プロジェクトを行うと。企業がNPO等と新たな形態つくってプロジェクトを進めていく、こうしたニーズが出てきていると伺いました。
   NPOにとっても、出資が認められれば事業を立ち上げやすくなります。資金も集めやすくなります。もちろん全てのNPOで取り組むというものではないと思っていますが、このNPOの中に出資型というこの類型をつくっていただくことによって、より大きなインパクトをもたらすようなNPOを増やせないかなと考えているんですが、野田大臣、御検討いただけないでしょうか。

○国務大臣(野田聖子君) 現行のNPO法では、NPO法人は営利を目的としないものであること、第二条第二項第一号を制度の基本的な要素としており、株式会社における配当の受取を目的するような出資をNPO法人に対して行うことは想定していないところです。
   NPO法人に対する出資制度については、こうしたNPO法人、NPO法人制度の性格を踏まえて慎重に検討する必要があると考えています。しかし、NPO法人については、スタートアップを含め、その支援の在り方について検討することは重要な課題であると認識しています。

○山本香苗君 ありがとうございます。かなり前からこの話ってあって、全然検討もしてもらえなかったんです。是非検討していただきたいと思っております。課題はいっぱいありますけれども、現状のニーズを把握していただいて、課題を整理していただいて、どういう形ならできるのか、非営利って何なんだというところの議論が必要なんだと思います。よろしくお願いしたいと思います。

経産省内にソーシャルスタートアップを担当する部署を設けて頂きたい(経済産業大臣)

○山本香苗君   その検討に当たっては是非経産省にもしっかりと加わっていただきたいなと思っているんですが、経産省にソーシャルスタートアップだとかソーシャルビジネスとかコミュニティービジネスとか、担当する部署が現在ないと伺いました。是非決めていただいて、支援の強化をお願いしたいと思います。大臣、お願いします。

○国務大臣(萩生田光一君) 経産省では、各省各局に分散しているスタートアップ関連施策を有機的に組み合わせ強化すべきであるという問題意識から、昨年十二月なんですけれど、省内の関係部局や関係独立行政法人等のスタートアップ担当等を統率し、総合的な政策立案と実施を行うスタートアップ創出推進室というのを大臣官房に設置しました。
   環境問題、高齢化、人口減少に伴う各種サービスの不足など現代の社会課題をきめ細かく解決し、多様な人材の活躍を促していく上では、御指摘のようないわゆるソーシャルスタートアップも含め、スタートアップによる新しい技術やアイデアが貢献できることは多いものと認識しております。
   スタートアップ創出推進室においては、省内外の関係者の強みを結集し、社会課題解決型の事業も含め、スタートアップ創出を全力で後押ししていく、こういう役割を持っておりますので、先生御提案のソーシャルスタートアップについてもこの推進室でしっかり対応したいと思います。

○山本香苗君 ありがとうございます。萩生田大臣、野田大臣、山際大臣への質問はここまででございます。ありがとうございました。委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。

○委員長(山本順三君) 萩生田大臣、野田大臣、それから山際大臣、それぞれ御退席いただいて結構でございます。

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