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再犯防止について(法務大臣、総務大臣)

【動画・会議録】参議院 予算委員会 令和4年3月9日

再犯防止について

答弁者 古川禎久 法務大臣、金子 総務大臣、宮田祐良 法務省保護局長  質疑者 山本かなえ

動画 16分00秒~最後まで

保護観察修了者に対する息の長い支援を実施するに当たり、保護司が安心して参加出来るよう、ガイドラインを策定すべきではないか(法務大臣) 

○山本香苗君 次に、古川大臣にお伺いをさせていただきます。犯罪や非行をした人たちの立ち直りを息長く支援し、再犯防止を図ることが極めて重要です。そのため、滋賀県におきましては、平成三十年度から保護司の方々が保護観察期間を終えた方々等に対する息の長い支援に取り組んでおりまして、今年度、保護司や協力雇用主などに対しましてアンケート調査を実施されました。その結果、息の長い支援に対してほぼ九割の保護司の方が必要と答えて、この支援に参加、参画する機会があれば参加したいと、してもいいと答えた方は七割近くとなりました。他方で、制度的な裏付けのなさによってちゅうちょする方も少なからずおられました、すなわち保護司という形じゃなくなるわけですから。
 保護司の方々が保護観察期間終了後も安心して寄り添う支援ができるように、国としてガイドラインを策定して、全国展開していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。滋賀県、私も昨年、滋賀県の更生保護ネットワークセンターを訪問いたしました。地域のきずなとなって、罪を犯した人たちの立ち直りを支えておられる関係者の皆さんのお話をお聞きしまして、本当にこれは感銘を受けました。大事なことだなと本当に痛感をいたしました。
 保護司等の民間協力者による保護観察期間終了後の息の長い支援は、孤独、孤立を解消し、安全、安心な地域社会を形成する上で極めて重要だと考えています。こうした活動を全国的に広げていくに当たって、委員が御指摘されましたガイドラインというものは、ガイドラインの作成は有用だというふうに思います。
 現在、現在というか、この令和四年度から法務省では全国三か所において更生保護地域連携拠点事業を開始することといたしておりまして、ここでは、地域における再犯防止に関する多機関連携のネットワークの構築ですとか、保護観察期間満了者等の支援活動に取り組む保護司等の支援を行う予定でございます。
 まずは、この事業を通じて、この知見やノウハウ、課題などを集積して、そして、それを全国的に共有する、横展開していくというふうなアプローチの仕方を考えておりまして、この息の長い支援、保護司の方々などが安心して参加できる息の長い支援を全国に広げていけるように努めていきたいというふうに考えております。
 その中でガイドラインも、そういう取組の中でこのガイドラインの有用性というものが知見やノウハウの一部として蓄積をされていくのではないかなというふうに期待をしております。

○山本香苗君 ありがとうございます。

保護観察終了後も協力事業主情報を活用出来るようにすべきではないか(法務省政府参考人)

○山本香苗君 その息の長い支援をしていく上で必要なのが、最も必要なのが就労支援なんです。しかし、保護観察所の持っている協力雇用主の情報というのは、保護観察等が終わった方への就労支援に使わせてもらえないんですね。
 アンケートでは、九割の協力雇用主の方が息の長い支援に参加したいと回答されております。利用できるようにできないでしょうか。

○政府参考人(宮田祐良君) お答え申し上げます。刑期を終えた後も地域の一員として受け入れて息の長い支援に当たられている方にとりまして、協力雇用主に関する情報の提供につきまして御要望があることは当局も承知をいたしております。そのお気持ちは大変よく理解できるところでございます。
 他方で、保護観察所に今登録いただいております協力雇用主の情報は個人情報でございます。事業主の方によりましては、協力雇用主に登録しているという事実も公表してくださっては困るというような御要望もある、そのような取扱いに留意が必要な情報も含まれてございます。このように個人情報の問題等がありまして、限定なしと申しましょうか、無制限に協力雇用主の情報を提供できるものではないというのが課題でございます。
 もっとも、地域によりましては、保護司会と協力雇用主会とが連携して、顔の見える関係づくりの中で活動しているというような事例もございます。保護観察所におきましてはそのような活動の支援に努めてまいりたいというふうに考えてございますし、また、法務省におきまして、こういった情報の提供が円滑に行える、共有できる協議体といったようなネットワーク、それが構築できないか検討してまいりたいと思います。

息の長い支援に対する当事者のニーズを把握すべきではないか(法務大臣)

○山本香苗君 今回のアンケートは更生保護関係者が対象であって、当事者は入っておりません。当事者自身が息の長い支援をどう考えているのか、どういう支援を欲しているのか、是非実態を把握していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(古川禎久君) 息の長い支援を実施するに当たりましては、この保護観察期間を終了した者が社会生活を送る上でどのような問題を抱え、どのような支援を求めているかというようなことについて把握をし、適切な支援を行っていくことが非常に重要だというふうに認識しております。また他方で、この保護観察を終了した者が、退所者の連絡先が把握できないなど、この調査の実施が困難な事情があるのもまた事実でございます。
 法務省では、令和三年度から全国八つの更生保護施設におきまして訪問支援事業を開始し、施設職員が保護観察を終了した施設退所者等の自宅を訪問するなどの支援を行っているところです。この事業を実施していく中で、施設退所者等が抱える問題や支援に関する要望などの情報を確認し、集積をしております。
 今後も、このような要望等をより幅広く把握、修正をして、より適切な支援の強化を図るなどして、訪問支援事業の充実に努めていきたいというふうに思っております。
 また、またですね、更生保護施設退所者以外の保護観察を終了した者がどのような支援を求めているかということなどについては、委員の御指摘を踏まえて、保護観察を担当していた保護司から終了時の状況などを聞き取り調査するなどして、把握に努めていくこととしたいと思っております。

○山本香苗君 ありがとうございます。

息の長い支援を実施するに当たり、保護観察所が保護司等の相談窓口となり、地方自治体との円滑な連携・協力を図っていただきたい(法務大臣)

○山本香苗君 息の長い支援を行うに当たって、地方自治体の協力支援が不可欠ですが、保護司の方々からは自治体との連携に苦慮していると伺っております。そのため、保護観察所が常に相談窓口としてあるべきといった声が上がっています。
 保護観察所が相談窓口となって、保護司からの要望に応え、地方自治体との連携が円滑なものとなるよう法務省としても積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(古川禎久君) お答えします。委員が今御指摘になりましたように、息の長い支援を行うためには、この地方公共団体との協力支援というものが必要不可欠であり、とても大事なことだというふうに思っております。
 法務省は、法務大臣、前任の上川大臣のときだったんですけれども、地方公共団体の全首長さんに対しまして、保護司活動に対する一層の理解と協力を求める書簡を送るなどしておるところでございます。しかし、地域によってまだ理解が得られていないという声もお聞きするところでございまして、したがいまして、今後、地方公共団体の御理解と御協力をどう得ていくのかということが一つの課題になっているというふうに認識をしております。
 この課題に取り組むために、まずは保護観察所において保護司の方々の気持ちを丁寧に酌み取り、より一層地方公共団体との連携に努めるように担当部局に指示をいたしました。法務大臣としても、引き続き保護司等による息の長い支援について地方公共団体の御理解と御協力が得られるように努力をしたいと思っております。

息の長い支援の制度化にあたり、地方自治体に対する財政支援をお願いしたい(総務大臣)

○山本香苗君 そこで、金子総務大臣にお伺いしたいと思います。
 アンケートでは、自治体における息の長い支援の制度化を求める意見が多数ありました。静岡市においては、昨年度から再犯防止相談支援事業という息の長い支援を全額市の負担で行っておりまして、事業の継続的な実施に向けて国からの財政支援に対する要望が寄せられております。
 是非こうした自治体の取組に対して総務省としても財政的な支援を御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(金子恭之君) 山本委員御指摘のように、犯罪を犯し、犯罪をした者の再犯の防止に当たっては、国、自治体、民間団体等が連携することが重要であると認識をしております。地域における再犯防止対策の在り方については、まずは所管である法務省において、国と地方との役割分担を踏まえて検討していただく必要があるものと考えております。
 御指摘の財政措置については、法務省の考えをよく伺った上で適切に検討してまいります。

○山本香苗君 ということでございますので、古川大臣、是非、金子大臣とよく連携していただきますようよろしくお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。

○委員長(山本順三君) 以上で山本香苗さんの質疑は終了いたしました。


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