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♯008 POSTSCRIPT 《OKAYAMA U30》

2021年4月22日、56冊目となるPLUG Magazineの最新号を発刊しました。

※電子版は無料公開しておりますので 最下部Linkからご覧ください。
※PLUG Magazineについてはnoteのプロフなどをご覧ください。

今号の巻頭特集は「OKAYAMA U30」、編集部の一人ひとりが皆さんに知ってもらいたい岡山在住30代以下の若者を発掘して紹介しています。

前号の特集ではハンセン病とナガシマをテーマに、感染症による差別に対して岡山県から自分たちなりの考えを発信しましたが、今号では焦点がガラッと変わっています。前号については下記で編集後記を書いていますのでチラ見していただけると嬉しいです。

さて。コロナ禍では2冊目となる今号ですが、正直、今までのように体重を乗せて踏み込めないような、なんともいえない心持ちのまま制作を進めてきました。

その原因には、コロナ禍や出版不況という逆境へのストレスもあります。しかし、それ以上に前々から自分の中で燻っていた地方メディアそのものへのいろんな憤りが消化しきれないレベルになってしまったことがあります。

これについては、後日きちんと時間をかけて「地方メディア論」と題したnoteを書こうと思っています。

需要がある内容とは思いませんが、創刊から20年近く地方誌を作ってきた身として、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌といった地方のオールドメディアに携わるひとたちに気づいて欲しいこと、それ以外の方にも知って欲しいこと、自分なりのローカルメディアの未来への示唆をまとめたいなと考えています。

「夢」も「希望」もない。これが地方都市の現実です。だから、若者たちは、都会に、海外に、当然のように脱出していくのです。地元にいたころは見向きもしなかったのに、有名になった後から「あの人は我が郷土のヒーローだ」と持て囃したり、成功してから擦り寄ったりするようなひとばかり。地元でどんなに頑張っても、栄光の凱旋なくして地域社会からオーソライズされることはなかなかありません。そこで、私たちは地方雑誌の在り方を改めて考えました。タウン誌のようなフローとしての「情報」はウェブに移行されるべきでしょう。雑誌の価値をインテリアに置き換えたり、ARなどで機能拡張する方向もあると思います。しかし、大切なのは、この時代に紙に綴じてまで何を残すべきかということ。私たちが行き着いたその何かの答えは、やっぱり「人」でした。それも、まだサクセスもブレイクもしていない、知られざるひとたちを発掘して紹介すること。これこそが、リージョナル誌が地域に介在する意義であり、使命なのだと思います。岡山が若者にとって居続けたい場所でありますように。

上記は、今回の特集のトビラページに書いた文章ですが、これは私の考える「地方メディア論」の極々一端を切り出したものです。

これは自戒も込めてですが、易きに流れて商業に飲み込まれたメディアに存在理由はありません。

かといって、尖りすぎてマイナーに埋没することや、インディペンデントでありたいがゆえに大衆を無視することが良しとも思いません。

そして、どんなにクオリティが高く、興味深いものであっても、継続性を伴わなければ、それはメディアではなく単発的なコンテンツです。

今号の特集「OKAYAMA U30」は、そうした葛藤を解消し、次号より本誌の企画を大きく改編していくための入り口になると思っています。

リージョナル誌の可能性をまだまだ感じていただけるような雑誌作りを目指して、現在すでに10月発刊予定の次号へ向けて鋭意制作中です。

最後に、今号のこぼれ話をすこしだけ。

巻頭特集「OKAYAMA U30」では4人の編集部員がそれぞれ自由に人選をして若者を紹介しているのですが、実は当誌のメンバーは5人います。

なぜ、このもう一人は今特集に関わっていないかというと、私がそのスタッフの人選に熱量が足りないと判断して、当初予定していたページ数を削り、企画から外したという経緯があります。

今回、私はそれぞれの人選や編集方法にほとんど口を挟みませんでした。性別やカテゴリはもちろん、有名無名も問いません。

ただ一つの条件は、紹介する担当者が心を突き動かされたのかどうか。必要なのは、その人のことをたくさんの人に知ってほしいという熱意だけです。

私たちにとって、限られたページ数の中で制約を受けず自由に表現することはものすごく贅沢なことであるがゆえに、そこにはどんなしがらみさえも跳ね返す圧倒的な熱量がなければなりません。

スタッフひとりを企画から外したのは少し厳しいような気もしますが(そのスタッフは反省して次回に向けてリサーチを頑張ってくれているようです)、それだけ真剣に取り組んだ巻頭特集です。

皆さんの心に響くかはわかりませんが、編集部それぞれのパーソナルも垣間見ていただける企画にもなっていますので、ぜひ最新号ご覧いただければ嬉しいですm(_ _)m

編集部員それぞれが、素直に自分のハートを掴まれた、
岡山県に居住する30歳以下の若者たち。
津山弁のリリックに魂を込める庭師ラッパー。
内なる世界に耳を傾け、ひらすらペンを走らせる画家。
良質なキクラゲづくりに人生を懸ける農業ガール。
旅人専用に開発・生産したジーンズで穴を掘り続ける青年。
岡山ではたらく、岡山でつくる、岡山で夢を追いかける4人。
有名とか、成功しているとか、そんな偏見を飛び越えて、
彼ら彼女らは、私たちの心のどこかを突き動かしました。
あなたの身近にも、そんな人がいませんか?

#01 TKG
DJ・ラッパー/津山の“INATAI”ヒップホップ

#02 ETSUKA YORINORI
農業ガール/10,000分の1奇跡の白いきくらげ

#03DAIKI
ソウルアーティスト—追い求める生命のカタチ

#04RYOSUKE GION
起業家/人生を記憶させるジーンズ

最後まで読んでくださりありがとうございましたm(_ _)m


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