見出し画像

こたの読書タイム!第17回 推し、燃ゆ 宇佐見りん

みなさんどうもこんにちは!こたです!お久しぶりです!高校生活が忙しすぎてなかなか投稿できていませんでしたが、なんとか読破できたの感想を書いていきたいと思います!

今回は、第164回芥川賞受賞作の「推し、燃ゆ」を読みました!自分の高校の図書室にもあるので多分全国の学校の図書室や図書館に置いてあり、一度は見たことがあると思います。現代ならでは、感情や単語がふんだんに盛り込まれており文学好きな人も本に馴染みがない若者にも読んで欲しい作品です。

「推しが燃えた、ファンを殴ったらしい。」の文から物語が始まります。この文を太宰治の人間失格のあの一文みたいに後世に残していきたいと個人的に思いました。さてさて、主人公のあかりは、アイドルグループ「まざま座」のメンバーである上野真幸を推している高校生です。推しが燃える、つまりインターネット上で炎上してしまったことによってあかりの生活が変化していく様子が繊細に描かれています。この物語には、あかりの推しへの気持ちのパートとあかりの現実での環境の変化の2つのパートに分かれていると思います。あかりの推しへの愛はすごいです。グッズをたくさん買ったりですね、推しについて語るブログもしています。作者も実際の同じようなことをしていたのか!?と驚くほど細かく描かれています。また、あかりは病気を患っていると思わせれる描写もあり、家族構成も父が海外赴任しており、母の性格がきついなど家族に関することが重く、すべてを推しに捧げてきたあかりが、この事件によって徐々に崩れていく様子が生々しく描写されています。作中なんども「骨」や「肉」という言葉が多く出てきているのも、インターネットに関することが題材の今作に現実の生々しさを演出していると感じました。この本を買った時についてきた帯の中に、豊崎由美さんの「すべての推す人たちにとっての救いの書であると同時に、絶望の書でもある本作を、わたしは強く推す」という言葉がありその通りだと感じました。好きなアイドルやYouTuber、歌い手がいる人には特に読んで欲しいですね。

話題の本作は、まるで現代を写真に切り取ったような作品で、昔でも未来でもなく今を生きている私たちがもっとも理解できる作品だと思います。個人的にこの物語は、推しを作ることに対して警鐘を鳴らしているわけではないと思います。しかし、推しが燃えることでこのようなことになってしまう可能性も0ではありません。作中では、家族との描写が多いですが、大切なものが突然いなくなることは、どんなことでもあり得ることであり、その立ち上がりが大切ということを伝えたいのではないでしょうか。

というわけで、明るい話だと思っていたら意外と重く深い話で、さすが芥川賞受賞作だなあと感動した「推し、燃ゆ」の感想でした!宇佐見りんさんの作品面白いですね!最近は湊かなえと朝井リョウの作品が読みたいなあと思っています。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,937件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?