筋トレですべてがうまくいくという話

15歳から25年間、腕立て伏せをしたり、バーベルを上げたりを続け、武道の道場で長年、幼稚園児から定年を過ぎた方まで指導をしてきた結論は、「筋トレは人生の必修項目」だという事です。


ネット上に溢れる「筋トレ教」

Twitterを初めとしたSNSでは筋トレが全てを解決するツールである、という意見が見られます。大体書かれている事は…

1.スタイルがよくなる
2.ポジティブになる
3.自信がつく
4.仕事ができる様になる
5.そもそも仕事ができる人は筋トレをしている

こんな感じです。加えて「人生が全てうまく行く」「運がよくなる」なんて言うものまでありますが、ちょっと話が大きすぎるので今回は省きます。

(SNS界の筋トレ教教祖のTestosterone氏…著書も拝読しました)

1つ1つ考察していきましょう。

1.スタイルがよくなる
 やらないよりは間違い無く良くなります。
 ガリガリの身体やお腹の出た身体よりはやはり胸板が厚く、肩ががっしりして腹の締まった身体の方がかっこよいでしょう。よく「筋肉が付きすぎたらちょっと…」なんて言う人もいますが、ちょっと筋トレでボディビルダーみたいになる事を心配するのは、コンビニのアルバイトをする時に「頑張ったら億万長者になっちゃうかも…」と悩む様なものです。
 逆に言えば、ボディビルダーやフィジークみたいな肉体を目指すとなると、筋トレにかけるエネルギーはもちろん、食習慣、睡眠、日々の生活等、見直すべきものは無数にあり、筋トレ「だけ」とはいかなくなります。

2.ポジティブになる
 筋トレをやると確かにポジティブになります。
 筋トレに励む事でセロトニンやテストステロンが分泌されて前向きになる、血行がよくなって肩凝りや頭痛が消えて体が元気になってポジティブになる…という生理学的な確証もありますが、加えて目標を立てて(腕立て伏せが○回出来る様になる、バーベルが何kg上がる様になる…)それに向き合って結果を出す、という事で、成功体験を積み重ねる事が出来る所が大きいのではないでしょうか。

3.自信がつく
 2にリンクするのですが、成功体験の積み重ねや、体格が向上する事で威圧されなくなる、等から自信がついていくのだと思います。腹の立つ上司も、何なら持ち上げて窓からポイできると思っていれば、お説教もあんまり気にならなくなります。

4.仕事ができる様になる
 この辺りから怪しくなってきます。
 筋トレが継続できる人はそもそも仕事が出来る人かもしれませんが、前述の通りポジティブになったり自信がついたりする事で仕事に良い作用が働いているのかもしれません。
 一方で、過度に威圧的になったり、筋トレにエネルギーを注ぎ込みすぎるあまり仕事が疎かになってしまう人もいるので、注意が必要です。

5.そもそも仕事ができる人は皆筋トレをしている
 これは誤りでしょう。
 勿論仕事で成果を出している人で筋トレをしている人は沢山いますが、相関関係があるとは思えません。筋トレしなくても仕事が出来る人もいれば、逆も又然りです。

眉唾でも「筋トレ教」で良い理由


 筋トレをする事でポジティブになって行動力があがり、より筋トレを頑張れてよりポジティブに…というスパイラルがうまく嵌まると、大きな成果が得られます。
 その為には疲れていても筋トレをする動機が必要です。
 競技をやっている人や元々トレーニングが好きな人は良いんですが、そうでない人には引っ張ってくれるカリスマが必要になります。そんなときにTestosterone氏の様に「筋トレですべてがうまくいく!」くらい言いきってくれる人は大変強いプラスになるのではないでしょうか。

筋トレの必要性


日本の学生であれば、18歳までは大体学校の授業の体育や部活動で、週に3~6回程度、運動をしていますが、これが大学に進学したり、就職をすると一気に運動をしなくなります。

20代の男性で20%程度、女性では10%程度しか運動習慣がない、という事になります。
人間の体は使わない部分はどんどん衰えていきますので、これでは若い頃どれだけ運動をしても年と共にどんどん衰えていきます。
運動をせず、歳を重ねていくと、サルコペニアといってどんどん筋肉が失われていきます。
筋肉が失われると基礎代謝が落ちて太りやすくなり、姿勢が悪くなって血行が悪くなり、より老いていきます。

そうならない為に、ボディビルダーにならないまでも日々運動を続ける事が大切です。

筋トレ入門

筋トレについて調べて一番困るのは、情報が多過ぎることです。
毎日やったほうがいいのか、1日おきがいいのか、どれだけやったらいいのか…筋トレは宗教・哲学みたいなものなので、どの意見も正しい様に書かれています。

初心者に勧めるBIG3

筋トレを始めるにあたり大切な事は以下の3点です。

1.準備にお金・時間がかからない
 ジムに通う、器具がいるなんかは慣れてからでよいでしょう。
 とりあえずヨガマット一枚あれば実践できます。
 入門の敷居は低い方が良いのです。

(ジム会費と比較するとコスパの良さがわかりますね)

2.簡単な運動である
 難しい運動を習わないで行うのは危険を伴います。

3.続けられる
 毎日失神寸前まで追い込むヘヴィなトレーニングを初心者が始めたら、心か身体どちらかを壊します。

そこで、私が筋トレの相談を受けたらまず腕立て伏せ、足上げ腹筋、スクワットをお勧めします。
大体こんな感じで行います。

月曜:腕立て伏せ3セット
火曜:休み
水曜:スクワット3セット
木曜:休み
金曜:足上げ腹筋3セット
土曜:休み
日曜:休み

2日に1種目、土日はお休みで丁度1週間です。
ちょっと簡単すぎるかな?と思うかもしれませんが、運動をしなくなって何年も経っていると、これでも筋肉痛でしんどくなる場合があります。

●腕立て伏せ
フォームについてはyoutubeで検索したらいくらでも出てきますが…
両足をぴったりとくっつけて両手は肩幅に開いてゆっくり行って下さい。
身体はピンと張ります。
2秒かけて下ろして、腕を曲げ切って1秒止めて、また2秒かけて上げる、という形でやると良いです。
回数が8回に満たない場合は膝を地面につけて行います。
限界まで行ったら60~90秒休んで、次のセット…と3セット行います。
15回3セットが楽にこなせたらクリアです。

●足上げ腹筋
仰向けに地面にねっころがって、おなかの力で両足を90度曲がるまで上げます。
これも2秒かけてあげて、1秒止めて、2秒かけて下ろして、地面につかないぎりぎりで1秒止めます。
腹筋は持久力が強いので、20回3セットを目指しましょう。

●スクワット
実はすごいフォームが難しいのがスクワットです。
足を肩幅に開いて、おしりを後方に突き出す様にしゃがみます。
この時、目線を上に向け、腰が曲がらない様に注意です。
ベストは腿の裏側(ハムストリング)がふくらはぎにつくまでしゃがみ込みますが、最初は膝が90度曲がるところまででも構いません。
膝を深く曲げる、という行為は丁寧に行えば下半身全体の安定・若返りにも効果がありますので、ぜひ行ってください。
目標は15回3セットです。

●より先へ

ここまできちんとこなせるならジムに行くも良しですし、自重トレーニングを継続していくも良しです。
コロナによる自粛傾向もあって、ホームワークアウトも流行っています。
私がおすすめする自重トレーニングの本はこちらです。

元囚人のポール・ウェイド氏が書くカリステニクス(自重トレーニング)の決定本。

20年以上バーベルを使っていた私が2年間、自重トレーニングに専念したのはこの本を手に取ったからです。

ウェイト、プロテイン、ステロイドといったボディビルダーの必須アイテムを全て不要と言い切ったこの本は、ポール・ウェイド氏のミステリアスな経歴と相まって様々な反響を呼びました。全身の筋トレをプッシュアップ(腕立て伏せ)、スクワット、プルアップ(懸垂)、レッグレイズ(腹筋)、ハンドスタンド(逆立)、ブリッジの6種目に集約し、それらを10のステップに分割して、1歩1歩ステップアップしていく事で誰もがいつかは超人的な技術にたどり着ける仕組みとなっています。私は2018年1月から2020年1月までこの本のメニューに取り組み、一部の種目では無事ステップ10にたどり着くことができました。それから思うところがありまたウェイトトレーニングを行っていましたが、4月からの緊急事態宣言を受けて、またこちらのトレーニングに取り組んでいます。

筋トレ初心者から、長年ウェイトトレーニングに親しんでいる人まで、幅広くお勧めできる一冊です。

まとめ

「筋トレを始めたいけど何からしたら良いかわからない」という相談を受けることがよくあります。食事の事、トレーニングの事、ダイエットの事。体重制の種目を経験した競技者にとっての当たり前を知らない人が殆どです。
手始めに筋トレの第一歩を歩む人の為にこのnoteを書きました。
最後に、続かなくても落ち込まないでください。トレーニングを1年間継続出来る人の割合は僅かです。

(0.3%~10%とばらつきますが、どちらにしても大した数値ではありません)

続かない方が当たり前、程度の認識で良いのです。
ただ、続かなくても苦手意識を持ってしまって二度とやらない、のではなく、また気が向いたらやってみよう、という認識で、また腕立て伏せや腹筋を初めて欲しいのです。
運動が苦手・嫌いという話しも良く耳にします。
後日、その辺りについても取り上げてみよう、と思います。

#筋トレ
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#運動不足
#考え方
#プリズナートレーニング
#ストリートワークアウト

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