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Local Marketing Camp in対馬 | レポート


本記事について

目的

対馬の海。すぐに森。

今回、ローカルマーケティングキャンプin対馬に参加させていただき、実際に対馬の観光資源を体験した。
実体験を経た上で、対馬観光におけるターゲット・オケージョン・プレファレンスを考え、対馬のプレミアムを自分なりに定義することを目的としています。

背景

今回、対馬の観光資源を実際に体験しながら、参加メンバーと観光マーケティングに関して議論を深めた。
その中で、「本土(九州)よりも韓国の方が、距離的に近い」という地理的条件から、国境・海外への窓口としての歴史があること、そしてその歴史と先人達が育み続けた素敵な人財がいることがわかった。
また、自然も豊かであり、海でも山でもアクティビティを楽しむことができる。

魚も美味い、まじでぶっとぶ。

今回の滞在を通じて、私自身、家族を連れて旅行にまた行きたい、と思った。
対馬に一度来れば、ファンになってもらいリピートしてもらえるポテンシャルは秘めている。それは今回、私が身をもって体験している。

そのためには、初回、想起してもらうためのCEPがやはり重要になる。

離島といえば海や山などの自然。自然の観光資源も豊かな対馬ではあるが、長崎で見ると五島列島や壱岐、九州まで広げると屋久島など、離島の競合がひしめき合っている。

「歴史」や「地形」の文脈は、学ぶと魅力的ではあるがニッチであるし、対馬のみなさま特有の「人の良さ」というのも、対馬に行ったことがない人にとっては、対馬旅行を想起するCEPにはなりづらい。

韓国が近く、インバウンドを取りやすいという優位性はあるが、現状「韓国の旅行者に依存しており、社会情勢などのアンコントローラブルな要因によって影響を受けやすい」という課題がある。
その中で、国内のターゲットに想起してもらう必要がある。

今回、対馬の観光資源の価値を考える上で、競合となりうる地域と比較しながら、対馬の特徴・魅力を再定義していきたいと思う。

対馬の産業全体構造

対馬はどんな強みがあるのか?
そこを知るために、まずは対馬の産業についてリサーチを行った。

ツッコミどころ多すぎな、スーパーに売っていたご当地アーティストのCD

なお、比較は地域経済分析システムRESASを用いた。

長崎県との比較

対馬市の産業構造
長崎県の産業構造

長崎の中で見ると、圧倒的に「漁業」の割合が多くを占ていることから、長崎において対馬は「漁業のまち」であることが予想される。

「島だからでは?」
確かに、同じく長崎の離島である五島も美味しい魚が獲れるイメージがある。そこで、長崎の離島で競合となりそうな五島や壱岐とも比較してみる。

五島市との比較

対馬市の産業構造
五島市の産業構造
新上五島町の産業構造

売上金額は、 対馬7,455百万円 V.S. 五島+新上五島(以下、五島列島)8,744百円と、五島列島の方が金額的には大きい。
産業全体のうち、漁業が占める割合で言うと、対馬8.31% V.S. 五島列島5.51%と、特色としては対馬の方が漁業色が若干強い、といえるか。

壱岐との比較

対馬の産業構造
壱岐の産業構造

壱岐と比べると、対馬は「漁業」が大きな割合を占めている。

対馬の漁業について

後に刺身でいただいた金目鯛。甘みぱない。

対馬は長崎の中で漁業の色が強いまちであることが言えるが、データ上で言うと、五島列島と比べ同等程度と言える。
獲れる魚種など、まだリサーチする余地はあるが、海の幸"のみ"で勝負は難しいであろう。

対馬の農業構造


赤が対馬市の農業産出額

上記の通り、農業は他の長崎の離島(五島市や壱岐市)に比べ総額が圧倒的に少ない。
なお、対馬・五島・壱岐の農業の構造は以下の通り。

対馬の農業構造
五島市の農業構造
壱岐市の農業構造

対馬は農業の割合のみで言うと、「米」が多くを占め、他よりも「果実」が占める割合が多い。

対馬の林業

対馬の山道を走っていると、杉の木が多く植っていることに気がついた。

金田城トレッキングコースの杉林

また、美味しい穴子のせいろをご提供くださった「あなご亭」さんの近くにも、大きな製材所があった。
このことから林業が盛んなのではないかという仮説が立ったのでリサーチを行った。

林業総収入比較(指定地域が対馬市)
林業収入ヒートマップ

林業は他の離島どころか、長崎県内で平戸市に次ぐ2番目の金額となっている。

対馬の海

対馬の海は、綺麗。それはもう、本当に綺麗だった。
「海が綺麗〜!」と感動している一方で、「宮崎も海の綺麗さは負けていない気がする…」という、変な地元プライドが出てきたのも事実。めちゃくちゃ野暮だけど。笑

離島・海の綺麗さ比較

そうなった場合、他の離島もきっと綺麗な海を有しているのでは、ということでググると…

対馬
五島
壱岐

…うん!どこも綺麗!!!笑
ということで、世間一般で言う「海の綺麗さ」はCEPになりづらい。

海のアクティビティ

これも、ググるしかしていないが、五島にも壱岐にも、多かれ少なかれ入り組んだ入江はあり、SUPなどのアクティビティもあるため、差別化にはなりづらい。

海に関する結論と仮説

海のみで考えると、県内離島との差別化は難しそうである。
一方で、漁業が盛んなのに「海が綺麗」「磯臭さがない」というところは、現地で感じたことであるため、差別化のヒントとなる事実が隠されていそうである。

山や森林の比較

山頂からの景色。山すごい、落ちそうで怖かった。

五島や壱岐との比較

各離島の自然の比較(チームメンバー資料より拝借)

これは対馬を車で走っていて感じたことだが、対馬の自然は険しい。海から少し行けば森だし、岩肌むき出す岸壁は荘厳である。
対馬には平地がなく、空港も山をならして作ったとか。

県外の離島との比較

しかし、視野を広げ自然を体感できる屋久島と比較すると、屋久島は森林面積が91.3%、最高峰の標高1,936m(九州最高峰)がある。山や森を感じるには劣るかもしれない…(それでいて海も綺麗)。
また、国有林の面積にも大きな差がある。

そのほか、屋久島は森林生態保護地域に指定されるなど、森林の印象としても大きく優位である。

対馬の山や森林に関する結論と仮説

長崎県内で「海と山や森」を体感したい場合、総合的に見ると対馬が優位である可能性がある。
しかし、九州まで視野を広げると屋久島などがあり、飛び抜けたCEPが得られない。
現地で森林を見ると杉が多かったことや、産業構造の内、林業の売り上げが大きいこと、またガイドさんが「林業で一度森が少なくなり、再造林した」というお話をされていたことから、自然の森林“のみ”で売り出すことは難しそうである。
一方で、植林された杉が多く存在していることは、ある意味での「日本の森らしさ」でもあるのかもしれない。

河川の比較

屋久島はの流域面積・実測延長は調べきれなかったです、すいません。

水系数や河川数は圧倒的に多く、当然流域面積や実測延長も他の離島と比べると大きい。
※屋久島の流域面積や実測延長は調べ切ることができなかったが、河川数や水系数からみて、対馬の方が大きいと予測される。

対馬の河川は、他の九州の離島と比べると豊かであることがわかる。
データのみで見ると「河川のアクティビティ」には優位点が見出せる可能性あり。
また、河川が多く、海に真水が流れ出ることから、漁業が多く漁港が多いにもかかわらず、磯臭さがなく過ごしやすかったり、汽水域が広がることで豊富な魚種の漁場ができたりと、結果、他の離島とは違った海の楽しみ方ができるのかもしれない。
(ここの部分のファクトはもう少しリサーチしたい)

対馬旅行の想起点

対馬旅行のCEPのヒント

対馬の海・山(森)・川、それぞれ単体で見ると、プレファレンス上の競合となりうる九州の他の離島から突出することが難しいが、対馬はそれぞれの平均点が高いため、海×山(森)×川の掛け合わせをすることで対馬の強みということが見えてくるのではないか。

対馬旅行のCEP・コンセプト

「小さな日本を感じられる旅」

対馬は各観光資源の平均点が高い離島であると考えます。
だからこそ、1日で「日本」を感じられる離島とも言えます。
今回、実際に対馬を北から南(といっても中心市街地までだが)まで走った中で、綺麗な海が見えると思えば、いつの間にか山道を走っていて、その脇には川が流れ、数少ない平地では田畑も見ることができ、山あいでは棚田も見ることもできた。東の海岸に行けば朝日が見れるし、西の海岸に行けば夕陽が見れる。照葉樹の原生林もあれば、日本らしい人の手によって植えられた杉林もある。海には豊富な種類の魚がいれば、山には(害獣かもしれないが)鹿や猪などの生物も生きていて、ジビエを楽しむことができる。さらには海を挟んだ向こうは海外という、国境を感じることができる。
そのひとつ一つを、1日の間に感じることができるのは、おそらく対馬だけ。これは小さな日本という国なのではないか、と感じた。
自然の中に、自然と身を置きながら、自然の循環を身近に感じられる。
対馬だから感じられることなのである。

ターゲット

上記のコンセプトから、3種類のターゲットを設定した。

  1. 自然の循環を子に体験させたい30~40代家族

  2. 山川海のアクティビティを欲張りたい20代前後のグループ

  3. 滞在期間が短い中で日本の自然を楽しみたい海外旅行者

自然の循環を子に体験させたい30~40代家族

ここの層が1度来ると「毎年この季節は対馬に旅行へ行って家族で過ごす」という家族の1年のルーティンに入り込める可能性があるのではないかとも思う。

山川海のアクティビティを欲張りたい20代前後のグループ

滞在期間が短い中で日本の自然を楽しみたい海外旅行者

まとめ

まず、めっちゃ長くなったな〜、すんません。笑
今回調べたものについて、対馬に関しては実際に体験した上でのリサーチなので、色々と仮説は立てやすかったが、他の離島は解像度が低く、机上の空論の域から出ない。
可能であれば、競合となりえそうな地域にも足を運んでみたい。

つらつらと書きましたが、総じて対馬最高。
今回リサーチをしたことで、より対馬の特徴がわかったので、また次回行くのが楽しみになった。

あと、今回のリサーチとは関係ないですが、この合宿を通じて感じたこと。
その土地が人を育て、その人達が文化を作っていくんだな、とひしひしと感じました。

「地域文化を紡いでいきたい」と意気込んでいる私にとって、かけがえのない経験をすることができました。
ありがとう対馬!!またいきます!!

福岡⇄対馬のプロペラ機。対馬着陸の時は山に突っ込んでいくみたいで、揺れるし怖かった。笑

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