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メディア、インターネット広告屋さんからパン屋さんになった話

毎週野球ばかりしてないで、2020年こそは書きたいとおもっていたnoteの第一弾が年末という。。。長いので、お時間ある方は年末年始の暇つぶし程度に読んでください。

はじめましての方もいらっしゃるかと思いますので簡単に自己紹介しますと、1987年に兵庫県宝塚市で生まれ、神戸大学工学部を卒業した後に、新卒でマクロミルへ入社。営業、人事を経験した後、現在のグライダーアソシエイツでメディアや広告、経営まわりのお仕事をしてきました。2014年にジョインしてから約7年間勤めたグライダーアソシエイツを2020年12月末で退職します。前職マクロミルから出向・転籍とグライダーアソシエイツに移ってきたので、あまり転職した感覚がなく、気持ち的には2009年に新卒入社した会社を約12年間勤めて退職した感覚です。
これまで会社や僕個人に関わってきてくださった全ての方のおかげでいまがあります、本当に感謝しています😭ありがとうございました。

2013年まではマクロミルの人事で、新卒採用をやっていたはずなのに、、、いきなりキュレーションアプリantenna* (当時はAntenna)を手がけるグライダーアソシエイツ社へ出向を命じられた時は衝撃でした。(マクロミルと資本関係があったため出向扱いに。現在は資本関係解消しています。)

そこからはじまった約7年間に渡るグライダー生活のこれまでを振り返りながら、なにを考えてきたのか、そしていまなにを考えているのかをアウトプットしようと思います。年末の個人的な備忘録のようなものなので、人生を劇的に変えるエッセンスもなければ、衝撃的なエピソードも特にないので、内容はあまり期待しないでください。笑

1.Antennaの広告事業立ち上げ⤴️

当時は三大キュレーションと言われ、2013年に大型資金調達を仕掛けたグライダーアソシエイツに正式ジョインしたのが2014年4月のことでした。

便益を全く伝えていないTVCM懐かしい・・・笑

スマートデバイスが爆発的に普及し、それに伴ってSNSなども含めプロ/アマ問わず誰でも簡単に情報発信ができるようになったことから、インターネット上のコンテンツも加速度的に増えていく中で、テレビや雑誌のような一次メディアが、かつての勢いを失ってきていました。
そこで、本当に見るべきコンテンツ、情報を厳選してお届けするキュレーションアプリが一気に成長したタイミング。antenna* は出版社を中心に提携を進め、プロが取材し、編集したコンテンツの力を信じて、数百のメディアと提携しながら事業を展開していました。

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広告事業を本格化する
2012年にantenna* が立ち上がって以降、サービスとしてはマネタイズに取り組んでこなかったわけですが、自分自身これまでマクロミルではインターネット調査の営業と人事で採用ぐらいしかやったことがなく、右も左も全くわからないど素人が変わりゆくメディア業界に放り込まれたのをいまでもよく覚えています。
なにから手をつければよいのやら、、、だったので、ひたすらに毎日5アポ5アポ・・・とたくさんの方に会いに行っては、どのようなメディアが売れるのか、どのようなメディアが生き残っていくのかをただただ聞いてまわっていました。
広告主、広告代理店、メディアレップ、メディア、テックベンダー、それぞれみなさんの立場で答えは異なるわけですが、僕が尊敬している方々が口を揃えて話していたのが、想いを持った人間が集うメディアは生き残る。ということでした。
antenna* は当時から"Teminal of Media"を標榜しており、玉石混淆のコンテンツが混在する世界で、プロが手がけるクオリティ高いコンテンツを生み出すメディアが集まり、新たなユーザーとの出会いを創出することで、新しい経済圏を作り出す。というミッションがあったため、集まるメンバーもこのコンセプトに強く共感して想いを持って働いていた集団だったので、antenna* は伸びていくと確信しました。

マスプロモーション効果を拡張するスマートフォンブランディングメディア
これが一番初めにantenna* の広告事業のコピーとして設定したものです。
広告市場も急速にスマホシフトしてきたわけですが、様々なメディアさんからコンテンツをお預かりして、流通させるantenna* だからこそ、既存のメディアに寄り添うスタンスを貫いていこうと意思決定したことが結果的によかったと思います。当時の既存メディアからすれば、スマホメディアの勃興は自分たちの仕事を奪うものだと思っていた方々も少なくないと思いますが、このスタンスを貫くことで、既存メディアとのセットセールスがうまくいき、広告事業を軌道に乗せることができたのだと思います。
事業を進める上で、スタンスを言語化してポジションを明確にとることがいかに大事かを思い知らされた出来事でした。

思い返せば、J-WAVEのラジオスポンサー、TRAVELLING WITHOUT MOVINGはもう6年以上も続けています。


ユーザーインパクトはほとんどないのですが、(笑)クライアント決済者がこの番組を聞いてくれていたことで、案件がスムーズに進み、受注した案件も数多くありましたね。toBプロモーションとしてはペイしてるんじゃないかなあ。
あとは直近の優秀インターン君もこのJ-WAVE経由で採用できましたね。J-WAVEさん、いつもありがとうございます😊

2.2014年9月くも膜下出血で倒れる🏥

ぼくの人生はここで大きく変わります。とある日曜日、頭を後ろからバットで思いきり殴られたかのような激痛が走り、そのまま倒れて救急車で病院へ。救急隊員は偏頭痛と言ってましたが、そんなわけあるかーい。気付いたら水曜日の夜、ベッドの上で全身管だらけ、目の前の医者からはくも膜下出血と告げられました。ほとんどの方が亡くなり、ほとんどの方が後遺症が残る大病ですね。1ヶ月ほどICUにおり、はじめは危険な状態が続いていましたが、なんとか後遺症もなく復活。

人生一度きり。

そう強く思った出来事でした。どれだけ逆算して人生を設計しても明日死ぬかもしれない。今日この1日を後悔なく生きる。それがぼくのいまのすべての原動力になっています。
仕事でも意識するようになったのはとにかくスピード。自分の100%のアウトプットは受け取り相手からすると1%かもしれない。明日やろうはバカやろう。こんな風に思うようになったのはくも膜下出血のおかげです。あと、医者はほんまにすごい。命救っちゃうんだからすごい👨‍⚕️👩‍⚕️

3.2015年グライダーアソシエイツへ転籍し、20代最年少で役員に🙇‍♂️

くも膜下から復活した後、マクロミルへ戻る選択肢もあったのですが、グライダーに残ると決めてantenna* 事業を推進。営業マネージャー、経営戦略室長を経て、2016年に全社MVPをいただき、そのまま最年少で役員に就任しました。そこからマクロミルの創業者であり、グライダーアソシエイツの創業者でもある杉本さんとより近い距離で仕事する日々が始まります。ぼくが最も尊敬する起業家であり、経営者であり、人生の大先輩です。学んだことが多すぎてここには書ききれないのでまたそれは別のどこかで。笑


また、この頃に後に出てくるCTO窪田さんとの出会いがありました。

4.antenna* 事業の伸び悩みと打ち手✋

順調に思われたantenna* もプロダクトライフサイクルの成熟期にさしかかり、成長にブレーキがかかりはじめていました。
ぼくが当時CMOとしてantenna* 事業の統括(サービス開発、プロモーション、編集、マネタイズなどなど)をしていた際、antenna* 一本だとなかなかグロースさせきれない。そこで、後にグライダーの大きな柱となるプランニング部門を立ち上げ、スマホ時代のコンテンツエージェンシーといった立ち位置でantenna* を軸とした企画商品を販売するような体制に変えていきました。
大手広告代理店の営業部長、外資系広告代理店のプランナー、広告主のマーケター、大手出版社の編集長などこれまでのキャラクターとは異なる人材の採用を進め、組織カルチャーを変えていくチャレンジをしました。
もちろんここでもたくさん失敗をしたのですが、少しでも違和感を感じた時は絶対に採用しない。と決められたのはこの時期でした。
どれほど優秀な人材でも組織カルチャーにフィットしないと驚くほどにパフォーマンスしない。かつ、癌のようにまわりにも急速に浸透しはじめ、組織ごと崩壊する。このような経験からカルチャーフィットとはなにか?を真剣に考えるようになり、面接のスタイルも変えていきました。これまではスキルドリブンな面接が多かったのですが、なぜ働くのか?を対話の中できちんと見極めていくスタイルに変えていきました。

▼人が働くモチベーションになる4つのポイント

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グラデーションはあるものの、モチベーションの根本については必ずどこかにあてはまるものがあるはずで、どれが正解か?ではなく、なぜそれを選択しているのか?をきちんと言語化して相手に伝え、最終的には共感してもらうことが大事だと思っています。

5.新規事業コンテキストマッチアドcraft. を立ち上げた想いと背景🔥

プランニングを軸とした大型案件はこれまでと受注額も桁が変わり、会社としてもantenna* に留まらないより幅広いソリューションを提供するようになった一方で、どうしても人に依存してしまう課題がありました。優秀人材がいるかどうか?が生命線になるような会社になっていく強い危機感があり、人に依存せずに成長し続ける新規事業の開発が必須だと考え、経営会議でCTOの窪田さんとともにcraft. の起案をしたのが、2018年末のことでした。

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オフィスもcraft. チームのみ麻布十番のレンタルオフィスを借りて、鮨詰め状態からスタートしたのが懐かしい・・・笑

antenna* ではブランド広告/純広告を中心に拡大してきたわけですが、GoogleやSNSを中心として伸び続ける運用型広告市場に参入するチャンスは十分あると考え、これまでのアセット(ブランド広告主を中心としたセールス、出版社を中心としたメディアネットワーク)をフルに活用し、急速に事業を立ち上げてきました。Cookieによるオーディエンスターゲティングには限界がくると読み、はじめからコンテキストマッチ(コンテンツを解析し、広告とコンテンツをマッチング)モデルのみで事業をスタート。

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本格展開をはじめた2019年7月からおかげさまで右肩上がりで成長し続け、様々なパートナーの皆様に助けてもらいながら、2020年はコロナで苦しい局面もありましたが、事業としても単体で営業黒字化するレベルまできた2020年でした。

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6.パン屋さん?🍞

craft. はいまやグライダーアソシエイツ全社注力のプロダクトです。はじめは開発以外の領域は全て自分自身でやってきましたが、いまは組織も育ち、自分がいなくても受注から納品、リピートまでできるようになってきたところで、いよいよこれから本格的にもう一段ギアをあげるぞ!という時に本当にわがままを言って退職することに。これは本当にこれまで一緒にがんばってきた仲間がいないとできなかったことです。グライダーのみんなが大好きで、とても感謝しています。

そんな中、まずタイトルみて、え?と思った人が多いと思います。笑
2021年からは小麦粉こねてパン焼いて〜を想像した方もいらっしゃるかもしれませんが、ぼくがパンを焼くわけではありません。笑
これまでも関わりがあったパンフォーユーという地域の人気パン屋さんのDXを推進し、パン屋さんと全国の消費者を独自の冷凍技術とITでつなぐフードテックのスタートアップに取締役としてマーケティングや事業開発、サービス開発領域を担当する形でジョインします。(パンフォーユーとの出会いを書き出すと長くなってしまうので、また別の機会に!)


パン屋さんがつくった焼きたてのパンを冷凍して個人宅からオフィス、出前館などのデリバリーサービスから駅ナカや商業施設のポップアップショップまで、実に様々な方法でお届けしていくのですが、従来のパン屋さんの販売ルートは実店舗に限られています。
ただ、パンフォーユー独自の冷凍技術を用いれば、パン屋さんは設備投資なしに冷凍パンの事業をはじめることができて、焼きたての本来のおいしさを保ったまま、遠く離れたお店のパンを消費者へ届けることができるようになります。

また、日本や世界のパン市場全体は伸びているにもかかわらず、地方のパン屋さんの運営は厳しさを増しています。朝早くからお店の準備をしなければならない労働環境と限られた販路の問題が大きいのですが、パンフォーユーによって、時間に縛られない働き方とともにローカル商圏を解放するアプローチで地域経済に貢献していくのです。

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今後は、販売方法を多様化するだけでなく、パン屋さんのDXを本格的に支援していくプロダクトの開発に注力していきます。

個人向けサブスクで、全国のパン屋さんのパンが自宅に届くパンスクもぜひ一度試してみてください☺️

ちなみに、ラクスルさんの話がすごく好きなのですが、ラクスルと提携することで飛躍的に成長した印刷会社が上場したという話。
まさにデマンドとサプライどちらの課題も解決し、価値提供ができているプラットフォームだからこそなしえることだと思います。
これまでぼくが関わってきたantenna* はスマホアプリのユーザー、craft. はブランド広告、それぞれを編集力を有するメディアのコンテンツとマッチングさせるプラットフォームです。

テクノロジーを活用して、埋もれているけれど価値のあるモノやコト、それまで出会わなかったモノやコトとの出会いを生み出し、人々の生活を豊かにしながら、新しい経済圏を作り出していく。
そんなプラットフォームサービスが好きなんだなあと最近つくづく思います。

また、これまでもいくつか関わりがありますが、スポーツのプラットフォームであるPlayer!をはじめとして、その他スタートアップや事業会社、メディアなどの事業開発サポートをパラレルで個人事業としてお手伝いすることも継続していきます。(パンも忙しくなるので、やれる範囲が限定的になりますが、なにか僕でできることがありそうであれば、いつでもご相談ください!)
成功確率を上げるのは運要素も多く含まれますが、失敗確率を下げるアプローチは一定再現性があると考えており、このあたりをこれまでの経験から微力ではありますが他組織にシェアしつつ、またそこで得た知見を本業にフィードバックするサイクルを作り出して新しい時代の働き方を確立していきたいと考えています。

パンフォーユーは来年からリリース目白押し!ビジネスサイドも開発サイドも絶賛採用中ですので、少しでも興味を持った方がいたらまずは気軽にオンラインでも話しましょう!

今度は野球の話でも書きますかね。
大変な一年でしたが、来年はきっと明るくなるはず!みなさま良いお年を!


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