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短歌71~80

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#tanka

短歌80

短歌80

恋人の鼻へと降り積もる雪がなかったことにならない花材

導いてしまうと思う数々の夜風に白い花綻んで

さよならが肌に馴染んでいくばかり舐め取ったバニラアイスが多い

ブルー、クリームソーダの 記憶の中でサムネイルにもならない人と

飛ぶ鳥を落とさないでよ真っ青なばかりの町でしない約束

撫でようとする度に私の影が猫へとかかってしまう夜道は

今なんて言った?って気軽に押せば10万年巻き戻るボタン

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短歌77

短歌77

水餃子一本でやってる店に連れて行くならあなただったよ

サンタクロース(業者)も業者なりに夢を壊さぬようにしている

この丘でした約束は映えるからずっと覚えていられるという

君が今日に限って触れてくれなかったネイルのテディベアの表情

かわいいはかなしい暖冬の風を一緒に浴びたりしてみたかった

常に脈が速いのは常に恋だから市バスのかなりすごい北上

その夜が高架が鉄線が、拍動 無様に愛を告げてみ

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短歌76

短歌76

二番目になることがもう決まってる一番高いビルに連れてって

分離帯越えた時そっと言ってみたあながち外していない考察

春雨と靄に満たされたその場所がバスの進入で道だと分かる

死んでも楽になれなかった時に入れる保険を知ってから生きたい

眼裏のそれもいつかの桜だろうさよならがでも上手くならない

甘さとかを自分で嘘に添加してこんな大人になりたいんじゃない

半分は優しさなのでバファリンの錠剤はでか

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短歌75

短歌75

冷え症で冷え症のこと包み込む徒花っぽく笑ってくれる

あとで見る、眠りたい時に見る、傷つく権利がない時に見るリスト

お前の辛さを知らないことが僕がお前ではない証明になる春影

冬らしい服を着込めば冬らしく好きってことは困るってこと

夜と夜 灯りと灯り 助かってしまえとあなたにだけは思うの

水槽に花の代わりに生命をそういう世界だって知ってた?

昨日飲み残したティーラテの続きをそういう風にまた

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短歌74

短歌74

終末の前夜の2355も日めくりアニメをやるんだろうか

昔の夢ばかり見るのは昔の記憶ばかりを整理しているから?

いたでしょう確かに青く補正した渋谷の街にあなた一人で

剥いたみかん渡してあなたの口腔に収まるまでの自転や公転

セミドライフルーツライクユアリリックあなたをあなたに説明しても

疲れてもよかったんでしょ気がつけば知らない駅で少し潮風

われていて綺麗なガラスわれるまで気づけなかった私

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短歌73

短歌73

捨てるタイミングを失ったテイクアウトドリンクに東京メトロを見せてあげる

朝顔がめちゃめちゃ咲いてるから夏?それとも朝って季節だっけ

もう誰も正解が分からない凪でバグ技でクリアするアプリゲー

アイコンをくるくる変えるアイコンはくるくる変えることが出来るから

絵画のトピックに絵画みたいな写真 連休だから連絡していい?

働けなくなったらあたし人魚がいい陸でも全然いけるタイプの

あなた以降に出

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短歌72

短歌72

定置網 抱き締め返してくれるかは意外と問題ではないらしい

縫った痕あるいは切り開いた痕の真横の虫刺され 生きている

大好きなあなたの記憶を書き留めて保ち続ける器でありたい

ネットミームだらけの花火が打ち上がりだけれどとても綺麗だった夏

折れ曲がる愛は金属 丈夫だし疲労もするしいつか壊れる

半ば意地でもう一度雲に隠れるまでを見ていた、月に限らず

寒冷紗 僕はというと僕の物真似が上達する一

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短歌71

短歌71

死んじゃっても健康ブーム終わんないでね朝焼けを思ってたら朝焼け

不本意ながら不思議ちゃんとして生きる時鋭敏になるほっぺと背中

春に春の写真を待ち受けにしたのにそれは昨日のはずだったのに

いい絵だけどアイコン映えはしないよねみたいな理屈でフってしまった

倍の家賃の部屋に住んでる後輩の実家のポチの写真かわいい

持っている夏服全部に飽きたので秋の到来を待っています

四日坊主の資格試験の教本を

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