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【至福の時間】脂のりも味も1級品。地魚推しな回転寿司の実力がすごかった【佐伯回転寿司マルマン】

全国の寿司好きな皆さん、こんにちは! 山田水産公式noteライターの池田園子です。

突然ですが、「佐伯寿司」をご存知でしょうか? 佐伯は大分県の南東端、宮崎県との県境に位置する佐伯市(ちなみに、“さえき”ではなく、“さいき”と読みます)のこと。

駅に降りたって初めて“さいき”だと知りました……

ここは知る人ぞ知る「寿司の街」で、寿司を食べるために県外から来る人も多い土地です。

いったいなぜ、寿司好きたちが集まるのか。その理由は海産物のとれる豊後水道(ぶんごすいどう、大分県と愛媛県の間にある太平洋と瀬戸内海を結ぶ海域)の環境にあります。

大分県佐伯市鶴見 水産業ガイドブック 鶴見おさかな大百科」(発行元:鶴見地域創生支援協議会)を読むと、この豊後水道がいかに豊かな漁場であるかが分かります。

太平洋の暖かな海水と栄養豊富な瀬戸内海の冷たい海水が混ざり合う豊後水道には、大量発生したプランクトンを求めて小型魚介がたくさんやってきます。

さらに、小型魚介を餌とする大型魚介が集まり、年間を通して水揚げされる魚介は350種類以上と、季節ごとに多種多様な魚介を味わえることでも知られています。

とことん、佐伯の地魚推し

そんな佐伯市まで福岡市内から特急列車でやってきた私。佐伯駅で下車します。そこから車で5分ほどのところに、山田水産が経営する寿司店「佐伯回転寿司マルマン」(以下、マルマン寿司)があります。今回はこちらを訪問しました!

「佐伯産」だらけ

店内に一歩踏み入れると、ナニコレ……! 「佐伯産」と表記された地魚名の書かれたチラシがあちこちに貼られています。

この日目にしたのはクロムツにカサゴ、石鯛、イトヨリ、甘鯛、チダイ、ムツ、モイカ……これらはすべて佐伯でとれたもの。他にも書き切れないくらいにいっぱいあります。

平日限定ランチの「マルマン御膳」「アラ煮定食」は寿司8貫中、地魚は5貫と、「佐伯に来たなら地魚を存分に楽しんでほしい!」という情熱を感じさせます。

旅(日帰りの小旅行であれ、長期旅行であれ)では、その土地でとれたもの(地のもの)をいただくのが醍醐味のひとつ、という人も多いと思います。私もそのひとりなので、ここまで地魚を推してくる点に感動しました。

【回らない寿司レベル】マルマン寿司の人気寿司種TOP5を実食!

さて、まずはマルマン寿司での人気寿司種(以下、タネ)を味わいたく、スタッフの荻 豊喜さんに人気TOP5にランクインするタネを教えていただきます。

・本マグロ赤身
・地アジ
・モイカ(アオリイカ)
・鰻
・サーモン類
との回答が! 一つひとついただいていきましょう。

まず、本マグロ赤身は脂のりがすごいです。「大トロでしょ?」としか思えない中トロは必食!

続いて、地アジ。想像の上を遥か超えるムチムチ感であります。「アジ=庶民的な魚」というイメージを36歳の今まで抱いていましたが、訂正してお詫びいたします。高級感しかない!

モイカは甘みが特徴的で、絶妙な硬さのプリプリ感。「アオリイカ」の名前で知られますが、海藻帯近くに生息する特徴から、佐伯を含む特定の地域ではモイカと呼ばれているそう。

これが鰻きゅう巻! 隣の青い皿は「うなぎ蒲焼」

山田水産といえば、養殖から加工まで一貫生産体制を誇る「無薬養鰻で育てた鰻」で知られており、鰻タネも複数ありますが、驚愕したのは鰻きゅう巻! きゅうりのさっぱり感と鰻の良質な脂とが口内で溶け合い、恍惚の表情になるのは避けられません。

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サーモン類は言わずもがなの美味しさです。このほか、印象的だったのは、酢飯に対して身が厚すぎる金華〆サバ。

宮城県石巻市で冬にとれた脂ののったサバを厳選して使っています。ボリューム感のある酢じめのサバと甘酢で煮た白板(しらいた)昆布の相性が素晴らしい!

ここで紹介しきれないくらい、いろいろなタネをいただきましたが、総じてタネは大きく厚みがありました。「体格のいいタネ」「いい筋肉をしたタネ」と言っても言い過ぎではありません。

一つひとつの寿司に対し、「生命力に満ち溢れた魚の命をいただいている」感覚がありました。それくらいに新鮮で身が引き締まり、程よい脂がのった魚たちだということ。

九州地方ならではの「甘口醤油」のほか、調味料が充実。お茶の種類も豊富でした

寿司以外の人気メニューTOP3を実食!

ここまで寿司について書いてきましたが、マルマン寿司では寿司以外のメニューも好評です。荻さんに人気TOP3にランクインするメニューを教えていただきました。

・タコ天
・キビナゴ天
・シシャモフライ
など、魚介の天ぷら類がかなり多く注文が入るそうです。

タコ天は活きの良さを感じさせるぷりぷり感です。春が旬のキビナゴは爽やかな味わいで、骨までやわらかくいただけて、満足感があります。

シシャモフライも最高です。これでもかと言わんばかりに、身がたっぷり詰まった「山田のシシャモ」で知られる山田水産の実力が窺えます。プチプチのシシャモがカラッと揚がって、食べ慣れている焼シシャモとは異なる楽しみ方ができました。

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TOP3ではないものの、最後に汁物が欲しくなり「あら汁」も食べてみると、これ全然「あら」じゃありません。カンパチの「大きな身」がどーんと入った、太っ腹な汁物でした。

「回転寿司なのに回ってない」理由

ここまで寿司を堪能した後で「あれ?」と気づいたのですが、回転寿司といえばレーンがありますよね。レーンがまったく回っていません。

確かにレーン、何も使われてない

筆者「レーンは回さないのですか?」

荻さん「オープン後、レーンを回す余裕がないほど忙しくて、回すのをやめました。レーンに流した皿はすぐになくなりますし、別途すぐ注文が入るのが常態化しまして。毎日拭いてはいますけどね」

筆者「へえ。……(見ているとレーンが回り始めた)!」

熟練の寿司職人さん「数年ぶりに回してみました(笑)。一応回るんですよ」

筆者「(サービス精神もすごい)」

というわけで、店名に回転寿司と付いていますが、現在レーンはまったく使われず、食べたいものを都度注文すると、熟練の寿司職人さんがすぐ握ってくれます。

回らない高級寿司店並みの美味しい寿司をいただける、回らない回転寿司……「佐伯回転寿司マルマン」じゃなく「佐伯寿司マルマン」に店名を変えてもいいのでは、と勝手ながら思いました。

マルマン寿司と同じ建物内にあります

テイクアウトにも対応するマルマン寿司では、家で寿司をいただきたいときにも重宝します。そんな折、隣接する「魚惣菜 次郎長」(以下、次郎長)も覗いてみるといいかもしれません。

次郎長にはマルマン寿司で捌いた刺身がリーズナブルな金額感で並んでいます。寿司と同時に刺身も食べたい! なんてこともありますよね。

バラ売りだと新玉ねぎは2個100円

さらに、魚介だけではなく弁当や地元の市場で仕入れた新鮮な野菜もお手頃価格で手に入ります。20個ほど入ったミニトマトが100円、巨大な新玉ねぎが4個入りで200円など、都会ではまずお目にかかれないプチプライスでした。

最後に

回転寿司に行くときの予算感で、回らない寿司並み、いやそれ以上に美味しい寿司、そして旬の地魚を存分にいただけるのがマルマン寿司の魅力。

わざわざ訪れるのにふさわしい店でした。季節ごとに行くと一年を通して地魚から「旬」を感じられて、より楽しいと思います。皆さんもマルマン寿司に行ってみてください!

お店の情報は公式サイトをチェック!

マルマン寿司を運営する山田水産の山田信太郎社長自らが、好きなタネやおすすめのタネを実食しながらご紹介した動画もUPされています。地魚を中心とした幅広い魚介が揃う理由も語られています。いますぐチェックを!

取材・構成/池田園子