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発達と個人差

発達のスタート時期、スピード、分野、最大値にはかなりの個人差があります。

年齢が低ければ低いほど、数ヶ月の差は大きです。

4月生まれの10歳0ヶ月と、3月生まれの9歳1ヶ月を比較しましょう。

4月生まれの10歳0ヶ月は120ヶ月生きてきて
3月生まれの9歳1ヶ月は109ヶ月生きています。

つまり、10歳の段階で比較しても10%も生きた長さが違います。

別の比較をしてみましょう。

4月生まれ5月生まれの方が早生まれの1〜3月生まれよりも、プロスポーツ選手になりやすい、と言われたりします。

昨年の資料になりますが、Jリーグの登録選手1675人を対象に調べたところ、4~6月生まれが32%、7~9月が30%、10~12月が21%、そして1~3月生まれが16%だったそうです。

各月の出生数を加味してどうなのか?というのはありますが、差はありそうですね。

早い段階で機会を得られるのは大きいです。

発達が早ければ、試合に出る機会が多くなり、更に試合に出ることで成長が加速します。

また、自信を持てる、得意だと思える、ことも成長を加速させます。

意欲的に取り組むことが出来るので、どんどん成長していきます。


小学生に算数の指導をしていると、どうにもこうにも解けない問題が出てきます。

以前の投稿で、メタ認知能力は高学年くらいから発達する、と書きましたが、論理的思考も同じくらいから発達していくと考えられます。

目に見えない、抽象的な概念について学ぶことが多く、割合や速さなどが代表です。

「文章題が苦手」という小中学生は多いと思いますが、特にこの2つが苦手なのではないでしょうか。

まだ発達段階にないのに、これらの文章題を解いてしまうと、にっちもさっちもいかず、算数・数学が苦手になってしまうパターンが多いと思います。

大人からすると、何で分からないの?と思ってしまうと思います。

しかし、生まれた時は分かるはずがないので、発達していく過程のどこかで分かるようになるものです。

それがまだというだけです。

計算に関しては、比較的早い段階で発達することが多いので、例えばそろばんや公文式に通っている子は、凄まじい桁数の計算、中高生レベルの計算を小学校高学年で出来てしまう子が多々います。

そんな子も、論理的思考が発達しているとは限らないので、思考力が必要な分野の問題は解けないかもしれません。

英語も同じです。

文法や単語は理解できても、アカデミックな堅苦しい文章を理解することは出来ないかもしれません。


保護者・指導者側が気をつけるべきポイントは2つ。

①今できないこともそのうち出来るようになる

②早ければ良いということではない

どの分野でも言えることですが、今できないからと言って諦めてしまうのはもったいないです。

今身長が低い、体が細いからと言って、スポーツを諦めるのはもったいないです。

体も技能も思考力もどんどん成長していきます。

今算数の文章題が苦手だからと言って、算数が苦手と決めつけるのはやめましょう。

現代では、幼児教育がブームのようになっています。

モンテッソーリ教育が有名でしょうか。

将棋の藤井聡太さんがモンテッソーリ教育を受けていたと言われています。

僕の認識では、幼児教育は効果がある、という結論になっています。

子どもに質の良い教育を受けさせることには大賛成で、そう思う親の気持ちも理解できます。

モンテッソーリ教育の中身を詳しく知っている訳ではありませんが、恐らく発達段階に合わせてプログラムが組まれていると思います。

逆にそうでない幼児教育は危険かもしれません。

発達段階に達していないのに、高度なことをやらせてしまうと、効果がないだけでなく、子どもが嫌な気持ちになってしまう可能性があります。

保護者も指導者も、子どもをちゃんと見てあげることが大切です。

むしろ我々親の能力が試されているのだと思います。

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