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令和四年第四回三鷹市議会定例会における山田さとみの一般質問のご報告「全ての子どもが暮らしやすい三鷹市の実現について」(子育て・発達支援、子どもの権利擁護)

三鷹市議会議員の山田さとみでございます。
昨日、令和四年第四回三鷹市議会定例会が閉会しました。市長提出議案は全て可決しました。

第四回定例会における私の一般質問についてご報告致します。

テーマは子育て・発達支援、子どもの権利擁護です。
質問で確認出来た主要な答弁は以下の2点です。
子育て・発達支援の拡充に関し、学校と、子ども発達支援センターを含めた就学前の施設、そして保護者の3者が連携についての答弁と、各セクションにおける具体的な取組に対する答弁。
「子どもの権利擁護機関の設置」と「人権基本条例」を幹にしながら、「子どもの権利条例」という領城の中で、子どもの貧困・虐待の問題、ヤングケアラーの問題等、現在問題だということを何らかの形で書き込めたらと思っている。子どもがしっかりと意見を言えていける社会にしていきたい。何らかの形で表現したいという答弁。

中継録画もございますので宜しければ下記をご視聴ください。

三鷹市議会インターネット中継-録画中継 (jfit.co.jp)

以下、読み上げた質問原稿と、答弁の要約を記載しますが、正確な議事録ではない旨ご理解頂けますと幸いです。

(実際は再質問までは質問原稿を一気に読み上げていますが、分かりやすくするため、答弁は質問の下に記載します。なお、答弁は太字で表示します)

「全ての子どもが暮らしやすい三鷹市の実現について」

(1)子育て・発達支援の拡充について

三鷹市の子ども発達支援センターでは、育児支援プログラムとして、1歳半健診の後、こいぬプログラム、2歳からは、こねこプログラムが行われています。また、療育支援が必要なお子さんについては、就学前の5歳児まで、にじいろプログラムが用意されています。これらのプログラムは、お子さんとその保護者向けであり、子育てに「楽しさ」をもって向かう保護者の姿を目指すものです。
私自身も、初めての出産・育児の際に、育児書に書かれている内容と我が子の様子が当てはまらない時、とても不安で、自分の育児が正解なのか、悩みながら育児をしてきました。これは、小学生を育てている現在も同じですが、特に乳幼児を育てている保護者は孤立しやすく、子どももうまく自分の状況を話せないことから分からない事も多く、不安が強いと考えます。このような保護者をサポートし、子育てに必要なスキル取得を支援するため、これらのプログラムは大変重要であり、三鷹市内で広く展開していくべきです。

Q1.こいぬ・こねこ・にじいろプログラムについて、更に活動の場を広げ、移動も大変な乳幼児を育てる保護者への支援として、プログラムを行う場を拡充すべきです。現在、元気創造プラザで行われていますが、公立公営保育園で実施するなど、より幅広く市民に対し、プログラムを展開していくことが重要と考えますが、見解を伺います。

A1.子ども発達支援センターは、三鷹にとって大切な機関、財産だと思っている。何らかの形でさらにノウハウを積み重ね、横展開もできるようにしていきたい。

Q2.多くの市民に対してプログラムを展開するには、プログラムを理解し、実施することができる人材の数を増やしていくことが重要です。子ども発達支援センターと公設公営保育園との人事交流を強化し、人材育成を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

A2.子育ての専門施設としての強みを持っている子ども発達センターとの人事交流の機会も含めた人材育成に取り組んでいきたい。

Q3.現在実施されている「保育所等訪問支援事業」について、私立の保育所・幼稚園ともさらに連携を進め、地域で育つ子ども達のより良い育ちに繋げていくべきと考えますが、見解を伺います。

A3.保育所等訪問支援事業は、子どもの所属園に子ども発達支援センターの専門療法士が出向き、個別の支援計画に基づき、子どもへの直接支援、職員の関わり方への助言や環境調整等を行うもので、平成29年9月より実施をしている。保育園・幼稚園には、発達に関して何らかの支援を要する子どもが多数在籍していることから、アウトリーチ型の支援として、実際の生活の場である園の中で、子どもへの適切な関わり方の支援を行うことは、子どもの育ちにとって効果的である。
公立保育園への訪問に比べ、私立の保育園や幼稚園への訪問が少ないのが現状だが、地域の子育て力の向上と、子どもたちのよりよい育ちにつなげていくためにも、私立の保育園や幼稚園が利用しやすい制度となるよう努めていく。

保護者が子育てに必要なスキル取得を支援する必要性は、子どもが小学生でも同様であり、特に子どもが低学年の場合はその必要性が高いと考えます。また、教員にとっても、低学年の子どもや、発達に課題があるお子さんと適切に向き合うスキル取得は重要です。

Q4.子ども発達支援センターを中心に、小学校低学年を対象にしたプログラムを開発し、保護者と子どもの支援につなげていくべきと考えますが、市の見解を伺います。

A4.子ども発達支援センターでは、就学前のお子さんとその保護者を対象に様々な支援を行っているが、特に小学校に入学するタイミングにおいて、切れ目なく支援をつないでいくことは重要なことである。
発達に課題のあるお子さんは、生活の変化やギャップに対応することが困難な場合が多く、新1年生や2年生といった低学年の時期に学校生活に対応し切れないお子さんについては、保護者も戸感いや不安を感じるので、日々の子育てに影響を及ぼすことも懸念される。お子さんの学校生活への適応を目指し、保護者が安心して子育てに取り組めるよう、まずは学校と、それから、子ども発達支援センターを含めた就学前の施設、そして保護者の3者が連携を図り、学校で取り組めること、家庭で取り組めることを具体的に共有しながら進めていくことが有効であると考える。

Q5.「個別最適化された学び」の深化のため、教員が発達に課題があるお子さんと適切に向き合うために、子ども発達支援センターとの協働など、必要なスキルを習得・向上できる取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

A5.障がいのあるなしに関わらず、全ての子どもたちが、内在的に生きる力、よりよくなりたいという力を持っている。個性も能力もちゃんと秘められて持っている、それを引き出していくという、それが数育、指導だという発想に変わるべきだ。そういった意識の転換を、今後図っていかなければならない。3年前に数育長に赴任したときに、くるみ幼児園を見学した。一人一人の保育士さんが寄り添って力を引き出そうという場面を見て、小学校の先生方、特に教育支援の先生方はそういう機会があったようだが、さらに、見学したり、意見交換して見識を深めてもらうという機会を持っていきたい。必要な支援や関わり方を考え、実行できるような力をつけていくように取組を強化していきたい。

(2)子どもの権利擁護機関の設置について

「こども基本法」が令和5年4月1日に施行されます。同法は基本理念として「全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること」を掲げており、三鷹市もその基本理念にのっとり、子ども施策を進めていかなければなりません。 子どもの最善の利益を実現するためには、保護者・家庭の支援という観点だけではなく、子ども自身の意見を代弁するアドボケーターが所属する、子どもの権利擁護機関が重要です。この点については、「こども基本法」で「こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有する」という点を、強調しすぎではないかという懸念があります。子どもは社会全体で育んでいくものという認識に基づき、施策を展開していかなければなりません。
いわゆる「望まない宗教二世問題」についても、子どもが「保護者に帰属する子ども」として扱われ、「権利主体としての子ども」としての認識が不十分であったことから、周りにいた大人が、子どもが抱えている困難に気が付けなかった、もしくは気が付いていても、介入しづらかったのではないでしょうか。

Q6.三鷹市は、「子どもは社会・地域で育て、一人の権利主体として大切に育てる」という認識を持ち、子どもに関する政策を進めるべきであると考えますが、見解を伺います。

A6.第2期三磨市子ども・子育て支援事業計画では、その基本方針の1として、多様な主体の参画と協働による地域子育て環境の整備を掲げている。これは、子育て家庭が孤立しているという社会的な背景の中で、家庭だけではなく、地域ぐるみで子育て家庭を支援し、子どもを育てることが、子ども・子育て支援施策の重要な取組であるとの認識に立つもので、そのために地域の多様な主体の参加と協働が求められることから、地域人材の育成や、関係団体との連携を進めている。こうした考え方は今後も変わるものではなく、むしろその重要性はますます大きくなるものと考える。引き続き、地域の多様な主体の参画と協働による子ども・子育て支援施策の推進に取り組んでいく。

 「権利主体としての子ども」という認識は、近年徐々に日本に、そして三鷹市にも根付いてきています。特に、「ヤングケアラー」「児童虐待」「子どもの尊厳を守る幼児期からの性教育」こういった政策課題について、市民の関心の高まりを感じています。
現在、三鷹市は、スクールカウンセラーや、子ども家庭支援センターりぼん等において子どもからの相談を受け止めていますが、新たな「子ども基本法」に対応する形で、子どもの権利擁護に関する取組を大幅に強化すべきです。
例えば、世田谷区は、平成25年度に、子どもの人権擁護機関として「せたがやホッと子どもサポート」を設置しました。弁護士、大学教授などを「子ども人権擁護委員」として配置するとともに、社会福祉士、臨床心理士等の資格を有し、委員のサポートを担う、「相談・調査専門員」を配置し、区の子ども・若者支援課が事務局をしています。
相談方法は、電話、メール、面接、FAX、手紙、はがきなど多様な手段で相談が可能です。更に相談者は、擁護委員に世田谷区子ども条例による権利侵害の申立てをすることが出来ます。
活動報告書によると、「平成25年7月から相談を開始し、当初は電話が鳴らない日は無いというほど、相談がありました」とあります。
世田谷区にも、子ども家庭支援センターがあり、スクールカウンセラーが居ます。それでも、保護者や家庭目線ではカバーしきれない、子ども自身によるニーズがあったのだと考えます。

Q7.三鷹市にも、子どもの最善の利益を実現する為の「子どもの権利擁護機関」の設置を求めますが、見解を伺います。
Q8また、今後制定する「人権基本条例(仮称)」の中で「子どもの権利擁護機関の設置」等、具体的な「子どもの権利擁護」に関する施策を明記すべきと考えますが、見解を伺います。

A7・8.子どもの権利擁護に関する施策について、人権基本条例との関連でも、ヤングケアラーなどの最近の問題とも関連して質問があったが、三鷹ならではの方法の中で、どこまで権利擁護機関も含め、子どもたちの相談機能を拡充できるのかということは考えていきたい。これから制定しようと考えている人権基本条例に関連して、子どもの条例もそういった視点も含めて取り入れて検討していきたい。実際そういう検討をしている。
具体的な提案があったが、全部網羅できるかどうかというのはこれからの議論だと思うが、ぜひ取り組んでいきたい。特に子どもたちが安心して相談できるような、子どもの主張、あるいは困ったことに対する相談をしっかりと受け止められる組織を考えていかなければいけない。
ヤングケアラーの問題も社会的に対応する部分でしっかりと盛り込みながら、権利擁談機関、あるいは条例についての方向性も、ぜひ検討してみたい。

世田谷区の活動報告書では、子どもから、はがきでの連絡が多かったとの指摘がありました。また、福岡市では、学校で貸与しているタブレット端末を活用し、子どもが悩みや不安を相談できる専用サイトを開設しています。

Q9.子ども家庭支援センターやスクールカウンセラーが、自分では、電話やメールアドレスなどを持たない子ども自身の意見を幅広くすくい上げるため、子どもからのアプローチ方法を多様化すべきと考えますが、市長の見解を伺います。

A9.自ら意見したり相談したりすることに抵抗があったり、また、その方法が分からないでいる子どもたちの意見や相談をしっかりと汲み取っていくためには、子どもたちがアプローチできる方法を多様化することが重要である。例示していた、世田谷区のはがきやファクスによる方法も、大変有効な方法である。加えて、子どもたちに相談してもいいんだという意識の醸成を図ることも必要である。例えば発達の段階に応じたパンフレットなどを作成し、子どもの権利についての啓発を行うことなどについても検討してみたい。

Q10.同じく教育長にも伺います。

A10.アプローチ情報の多様化は大変重要である。市では学習用タブレット端末に相談窓ロ一覧をまとめていて、子どもたちはそこから相談につながることができるようになっている。また、学習用タブレットに登載されている児童・生徒用アプリ(校支援)では、SOSボタンがあり、ここから担任の先生のタブレット端末に、相談事がある旨の通知をすることができる。
これらの取組や議員が指摘していた他自治体での効果的な取組も参考にし、今後も子どもの実態に合ったアプローチ方法を工夫していく。また、相談ができるということ、あるいは、そのアプローチの方法、これを児童・生徒がしっかり知っているということが重要だ。そうしたことが伝わるよう、今後も継続的に周知・啓発を図っていく。

以降再質問

(アドリブなので、メモ程度だとご理解ください)

Q11.市が制定するとおっしゃっている子どもの人権に関する条例の中で、ヤングケアラー、虐待、体罰、尊厳を守るための幼少期からの性教育についても盛り込んでいきたいというような答弁と受け取ったが、そういった受け止めで良いか。

A11.基本的にまだ固まっていないが、人権基本条例を幹にしながら、様々な領域についての権利条例的なものをつくっていこうという構想だ。その中に、子どもという領城があるともちろん考えている。そういう意味で、子どもの性教育の問題を入れるということは、そのときはあまり考えていなかったが、子どもの貧困・虐待の問題、ヤングケアラーの問題等、現在問題だということを何らかの形で書き込めたらと思っている。さらに子どもの意見表明権的なもの、あるいはSOSを受け止める、といった手段に偏るのか、まだ固まっていないが、子どもがしっかりと意見を言えていける社会にしていきたい。何らかの形で表現したいと思っている。

Q12.こいぬ・こねこ・にじいろプログラムについて、移動も子育てしているとすごく大変なので、近くの公立保育園とかでやってくださるとすごくありがたいと思っている。家庭で保育している御家庭にも、ぜひどんどん広めていっていただきたいと思っているので、もう一度その点についてお伺いします。

A12.プログラムのさらなる拡充というところだが、この6月に児童福祉法が改正された。この中で、未就園児を抱える子育て世帯への支援の必要性というところから、今あったように、保育所等が施設保育にとどまらない、身近な子育て支援の場として機能を発揮するということを改正法の中でうたわれているので、三鷹市ではこれまで保育園がそういった機能をもちろん果たしてきたが、先ほど提案のあった各プログラム、これを保育園等で展開することについては、今後、いろいろ課題もあるでしょうから、そういった課題などを整理しながら、将来的な実施に向けて検討していきたい。

Q13.小学校低学年を対象にしたプログラムについて、課題に関しては共有できていると感じた。具体的にどのように考えているのか、現段階での見解を伺う。

A13.特に学校に通っているということになると、学校生活というのが子どもにとっての大きな生活の場になる。低学年の支援というところでは、子ども発達支援センターができるところがあると思うが、学校、教育委員会ともしっかり連携しながらやっていく必要があるので、教育委員会とも、認識は共通にできていると思っているので、そういった形でしっかり取り組んでいきたい。

Q14.その見解について教育長にも伺う。併せて個別最適化された学びの深化のために、教員が発達支援に関して理解を深めていくこと、これについて今後どのように取り組まれていくのか、具体的に伺う。

A14.教育支援学級の先生方、また通級の担当している方々含め、教育支援の研修をしっかりとやっていく。先ほどくるみ幼児園の例も出したが、どうしても小学校から急に教える、教え込むという発想になる。遊びを通して学ぶという、大事な保育園や幼稚園の実践のよさも取り入れながら、特に教育支援はそういう取組が必要だ。
ただ客観的にいって、その専門性について、特別支援教育の免許は我が市の場合、ほかも似たりよったりだが、15%ぐらい。専門性ということになれば、やはりそれが望ましいわけで、(東京都が)そういう先生をしっかりと採用し、配属していただくということが必要。先生方にばかり責任を押しつけるのも気の毒だが、しかし、教育者として研修を深めていただきながら、一緒に学んで育っていくということで頑張っていきたい。

Q15.子ども発達支援センターとの連携についてはどうか。

A15.子ども発達支援センターとは、幼・保・小連携の取組の中で、またさらに就学相談とかそういったところで、しっかり連携を図っている。また、連携支援コーディネーターを令和2年度から配置をして、そこではやはり幼児期からの切れ目ない支援というところで様々な活躍をしていただいている。今後もより一層そうした連携が図れるように取組を進めたい。

より一層の連携をお願いします。
全ての子どもが暮らしやすい三鷹市の実現のためには、子どもが社会の中で大切に育てられ、主体的に多様な選択肢の中から生き方を選べることが重要であり、子どものウエルビーイングにつながるものと考えております。
施策を前に進めていただくことをお願いして、質問を終わります。

質問は以上です。

最後に、発達支援に関しては、答弁で「先生方にばかり責任を押しつけるのも気の毒だが」とありましたが、私は先生を責めているのではなく、仕組みの改善を求めて質問しています。私が知る限り、先生方はそれぞれ心を込めて試行錯誤しながら児童と向き合ってくださっています。一方で、教育委員会が体系立てて課題を解決していく仕組みを作ることも大切だと考えています。
三鷹市の子どもたちの育ちに関し、重要な存在である先生方を支える仕組みづくりが必要であると考え、今回の質問をしたことを補足します。

今後も市民から頂いたお声を政策にし、市政に届けて参ります。
何かありましたら是非お声をお寄せください。


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