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おすそ分けの初物きゅうり
朝食にきゅうりを出した。歯があまり丈夫でない母のために、斜めに切ったものを千切りにした。
母はいつもは塩もみをして欲しいと言っているが、あえてそのまま食卓に載せた。「お母さん、友だちの菜園の初物のきゅうりよー」と伝えた。
母がきゅうりを食べ始めた。しゃきしゃきといい音がしている。
暫くして母が台所の私に語り掛けてきた。
「あんた、これはみずみずしいわい、きゅうりの味がしっかりするよ」母は美味しものを食べた時のニコニコ顔になっている。
「菜園の初物だからって、一本だけいただいたんよ、先っぽには花の名残までついとったわい」と言うと、母は「ほうかね、鮮度が違うと思たんよ、これ美味しいわい」といっそうにこやかな顔になった。
そしてこう言った。「あんた私は75日は長生きすらい、昔から言おがね初物を食べたら75日長生きする言うて」そこで私はすかさず「お友だちもそう言ってこれを渡してくれたんよ」と伝えた。
するとは母は「どんなもん貰うよりうれしいねー、初物を頂くんは最高よ」と、またまた笑顔になった。
私は本当に素敵なお裾分けを頂いたと思った。
友人は自宅のそばの畑で自家用の野菜を作っているそうだ。丹精正込めて育てた野菜を知人に差し上げるのも楽しみの一つだと言っていた。
季節の旬を感じながら日々野菜の世話をする。土地作りや水やりなど大変なこともたくさんあると思うが、自ら育てて食べることはまさにSDGs な日常なんだと思う。
普段育てることをしていない私たちまでも、初物をいただけて、長生き出来そうだ。
母はそのきゅうりを愛おしそうに食べていた。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
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