noteのスキの数☆90歳のばあばが落胆
ここ最近、生き生きと俳句やイラストを創作していた母が一変した日がありました。私が1月10日にnoteの投稿を終えた後です。
その日の記事は、特別バージョンで、母の40年以上の俳句人生の集大成として、厳選した句をイラストとコラボして紹介するものでした。
母は、句を選ぶ時点から気合が入っていて、納得の4句を厳選し、それに合わせたイラストを一気に描き上げました。
その力の入れようは半端なく、凄みさえ感じました。そのくらい母にとっては特別な意味のある記事だったのです。
その日の掲載した記事がこちらです。
投稿が言わると、母は朝から何度も私にスキの数を聞いてきました。15・30・45と少しづつ増えていく数字を伝える度に、母は「あんまり上がらんね・・・、夜になったら上がるんじゃろか・・・」と落ち着かない様子でした。
「お母さんどしたん、そんなに気になるん・・・」と問いかけても母は無言です。夜になってもスキの数は50を超えませんでした。それからの母は、心ここにあらずという状態になって、ご機嫌斜めでした。
翌日、私は前日に投稿した俳句に、少しだけ解説を加えて音声配信しました。
しかし、母は「一度紹介したのに、また何で紹介するんぞね」とより不機嫌になりました。私は、母の言葉の勢いに、90歳の俳人の意地を見た気がしました。
「お母さん、どれだけ支持されたら良かったん」と聞くと「50を越えたら良かったんよ・・・」と自分なりの評価基準の数字が返ってきました。
90歳のばあばのプライドだったんでしょう。(今はどうにか50を超えました)
俳句とコラボさせるイラストを描く時にある出来事がありました。
「人誰も行く日を知らず曼殊沙華」の俳句のイラストを描いている時です。
曼殊沙華を描く母の姿が別人のようになりました。母は、自分の俳句を選んで下さった先生たちの想いが自分に乗り移ったと言っていました。
無我夢中で一心に筆を走らせるその姿には狂気さえ感じました。母が描いた曼殊沙華は恐ろしく力強いものでした。
記事を掲載した後に、俳句の初心者でも分かりやすいように解説して欲しかったという感想をいただいたので、今日は改めて、分かりやすく解説を加えて、ご紹介させていただきます。
【歳時記の風にめくれて蝶たちぬ】
情景をそのまま詠んだ写実の句です。
母が俳句の歳時記を手に取ろうとした時に、何処からともなく風が吹いてきて、歳時記のページがめくれ、そこに止まっていた蝶が飛び立った様子を詠みました。
【石鎚に打つ柏手や雲の峰】
西日本最高峰の石鎚山を句にしたいと友人たちと列車で出かけた母は、駅に降り立ってすぐに、石鎚山の姿を目にしました。はるか遠くに、雲を抱くようにそびえる山が、まるで神が宿っているように神々しく見えて、拝むように柏手を打った様子を詠んだ句です。
【人誰も行く日を知らず曼殊沙華】
秋の畑の畔などに赤く咲く彼岸花、別名を曼殊沙華(まんじゅしゃげ)と言います。実は、葉と花を一緒に観ることが無いことから死人花(しびとばな)ともいわれるそうです。秋の彼岸の頃に咲く、この花の情熱的な色に心惹かれて母はこの句を詠みました。誰しも自らの死を知ることは出来ない、その時までは美しく力の限り生きるそんな心境で詠んだ句です。
そして今、90歳になって、改めて、自分が詠んだ句の深さを感じているそうです。
【寒紅を引き鏡中にみじろがず】
寒の時期に作る「寒紅」は、ひときわ赤い色が鮮やかです。その赤い口紅を母は、鏡を見ながら、身じろぎもしないで引いています。その口紅は唇に引きながらも、老いに打ち勝とうとする自分自身の心に引いている、そんな母の強い気持ちを詠んだ句です。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《これからも頑張って、分かりやすい俳句を詠むよ》
私の書斎で投稿記事の確認をした後のばあばとの会話です。
「お母さん、何であんなにスキの数が気になったん・・・」
「あの日の記事は特別じゃったけんね、私はちょっと寂しい気持ちになったんよ、ほじゃけど落ち着いたら、何人かでも読んでくれて良かった思とんよ」
「気を取り直したんじゃったらよかったわい、これからはどうするん・・・」
「これからも、俳句もイラストも頑張るよ、これからは、初心者の人でも分かりやすいような句にして、作っていこわい」
皆さん、母はまた一つ階段を上ったようです。これからの俳句とイラスト楽しみになさっておいてくださいね。
【ばあばの俳句】
句生めば絵とのコラボで春兆す
母は今、俳句とイラストに夢中です。とても90歳とは思えないバイタリーティーで俳句とイラストを制作しています。産み落とす楽しさと苦しさは同居しているようですが、前向きにあきらめることなく作り続けています。
その幸せを春兆すと言う季語に重ねて詠みました。いつもながら恐ろしや90歳です。
▽「ばあばの俳句」「毎日がバトル:山田家の女たち」は毎日、音声配信しています。聞いていただけたらうれしいです。
今日もたくさんの記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただきありがとうございます。気に入っていただけてスキを押していただけたら励みになります。
写真は私のアルバムから
また明日お会いしましょう💗
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