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人の優しさに触れた時

先日、母がとびっきりの笑顔になった事がありました。

「お母さん、これ見て」と差し出すと、母はそれまで懸命に描いていたイラストの手を止めて、私が渡したものをまじまじと眺めていました。


令和6年のばあばのカレンダー

あれっ、あんたこのカレンダー、私のイラストじゃがね
母は狐につままれたような表情になって、そのカレンダーを一枚一枚めくっていきます。

「これ、あんたが作ってくれたんかね」
「違うよ」
「ほしたら、どしたんぞね」
お母さんのイラスト展で、コピーしてくれた会社の営業の人が作ってくれたんよ
「まあ何と、有難い」
「お母さん、優しい人もおるねー」
「あんた、私は何を貰うより嬉しいわい」

母は、自分のイラストが印刷されたカレンダーを何度も見返して、本当に嬉しそうな表情をしていました。
1月から12月まで、毎月のカレンダーに母のイラストが添えられています。
とっても素敵なカレンダーが出来ていました。

【1月】


【2月】


【3月】


【4月】


【5月】


【6月】


【7月】


【8月】


【9月】


【10月】


【11月】


【12月】

制作してくれたコピー会社の営業マンには、感謝しかありません。

母は来年、このカレンダーを見る度に、その人を思い出し、自分の作品から今日も頑張ろうとエネルギーを貰えるはずです

「あんた、私は来年毎日カレンダー見るんが楽しみじゃわい」
93歳のおばあさんの心に、明るい希望の光が差し込みました。

思いもよらないプレゼントで人の優しさに触れました。



 
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