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母と私の声に会いに行った日

親は子どもの活躍を身近で見ると本当に嬉しいものです。
小さい頃は、運動会のかけっこやリレーに出ると、両親や祖父が私以上に興奮しながら、ありったけの声援を送ってくれていました

私がアナウンサーの駆け出しの頃も、両親はよく私の応援に来てくれていました。人目に付かないようにこっそり遠くから見守っていたのです
私がアナウンサーになりたての時代は、デパートの屋上などでよく催事があって、局アナがイベントに駆り出されていました。

そんな時、舞台から客席を見ると、両親が隅っこの方で娘の頑張りを応援しているのです。
今から思い返せば、有難いなと思いますが、当時は身内の姿を見つけると照れくささの方が先に立って「来なくてもいいのに」と思っていました。家族の愛情が少々煩わしかったのです。


先日、母と二人で美術展に出掛けました。
母は弘法大師空海生誕1250年記念の国宝高野山金剛峯寺展にどうしても行きたかったのです。空海ゆかりの名宝と運慶・快慶作の仏像に会うのが目的でした。運慶と快慶は、鎌倉時代に活躍して名を遺した仏師です。

母は前の日からソワソワしていて、当日も朝早くから出かける準備をしていました。久々の外出で興奮していたようです。

美術展で念願の仏像に出会い、おぼつかない足取りでも懸命に観賞していました。仏像の気迫を生で感じ、ありがたい空気に包まれ大満足のようでした。

運慶作の恵光童子像をイラストで描く(ばあば作)

今回、母が美術展に行きたかったのには、もう一つの目的があったからです。私がナレーションを担当した、映像を見るためです
それは弘法大師・空海の人生を紙人形作家の作品を撮影して紹介したVTRです。今年の春、愛媛県西予市にある愛媛県歴史文化博物館でお披露目された【密・空と海・内海清春うちうみきよはる展】のVTRです。
母はYouTubeでは見ていましたが、どうしても美術展の会場で見たかったようです。

ビデオを制作したディレクターから、美術展の会場で流していると連絡をもらっていたので、私もとても楽しみにしていました。

展覧会場の特設スクリーンで上映されている映像を母と並んで静かに見ました。およそ20分のVTRを母は一瞬たりとも見逃さないように画面を食い入るように見て、じっくりと鑑賞していました。きっと娘の声を聞き逃すまいと言う思いだったんだと思います。

母は見終わった後「あんた良かったねー、私もここで見れて良かったわい、来たかいがあった」ととても嬉しそうでした。

この時私はふと、若い頃に両親が私の仕事を温かく見守ってくれていたワンシーンを思い出しました。そして、「有り難いな」と思い、母の娘への愛情に感謝しました。

すっかり大人になった私は、親の子どもへの思いを受け止め、その有り難さを噛みしめていました。


【毎日がバトル:山田家の女たち】

《生きとる甲斐があった》

※92歳のばあばと娘の会話です。

「まずは運慶・快慶を見て私は感動したんよ、二人の仏師の仏像から気迫を感じたね、木からこの作品が生まれるのが信じられない感じよ、素晴らしいと思たよ、仏の世界に浸っとった」

「お母さん、私がナレーションを入れとったVTRも真剣に見よったねー」

「あんたの仕事を身近で見れて良かったわい、本来なら西予市の愛媛県歴史文化博物館に行かんと見れんかったんよね、YouTubeでも見とったけど、ホント嬉しかったわい生きとる甲斐があった、行って良かったわい

私は親の愛情をひしひしと感じ、本当に有難いなと思ったのです。



最後までお読みいただいてありがとうございました。
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