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路地裏の香りの不思議

私がゴミ出しをするのはいつも夕飯の後片付けをした後です。この時期はもう外は暗くなっています。エプロン姿でマスクをした私は、帽子を被ってフリースを羽織り、懐中電灯を手に大きいゴミ袋を持って、徒歩数分の所にある地区のゴミ出しスポットに持って行くのです。

その時々の夜の空気に身を任せて、無心に目的の場所までひたすら歩いて自宅に帰ります

ところがここ1週間、そのゴミ出しの時間がとても心地いいんです。家を出て角を曲がると、マスク越しにいい香りがするんです。それは甘くてやさしい癒しの香りです。小さい頃からこの香りが大好きでした。

私はふと、ゴミを出しに向かっているのを忘れてしまいそうになります。懐かしいその香りは毎年10月の半ば頃にどこからともなく香ってきます

「今年はいつもより随分遅いな・・・」って思いながら、その甘い香りに包まれて気分よく歩いて行きます。

ゴミ捨てスポットまでの間に、あちらこちらの庭からその香りが漂ってくるのです。

それは、金木犀の香りです。

その芳しい香りは、私を幼い頃に運んでくれます。小学生の頃、住宅街の閑静な家の庭から香ってくるその甘い香りの虜になっていました。軽やかなピアノ曲に運ばれるように香っていた甘ーい晩秋の香り、それから私はその香りが大好きになりました。

「ゴミ捨てに行きながらこんな気分になれるなんて」と思いながらプラスチックのゴミ出しを終えて、自宅に帰る道すがら、今度は焼肉の匂いが漂ってきました。

「この味付けはニンニクに、醤油に、後なんだろう・・、焼き肉のタレかな・・、カキ醤油、オイスターソースかな」なんて思いながら歩いている私がいます。

人間の嗅覚はすごいですね。記憶に書き込んでいる様々なものが匂いによって呼び覚まされるのです。「きっとご飯が進むだろうな、我が家も明日はお肉料理にしよう」

そんなことを思いながら自宅に帰ってドアを開けました

その瞬間、私の嗅覚を刺激したのは、その日の夕食の豚のしゃぶしゃぶの匂いでした。「しゃぶしゃぶも美味しかったな・・、でもこんな香りがするんだ」と思いながらゴミ出し作業終了です。

芳しい金木犀に、香ばしい焼き肉そして豚のしゃぶしゃぶと僅か10分くらいの間に私の嗅覚はいろいろな旅を楽しみました


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【毎日がバトル:山田家の女たち】

《匂いはほとんどわからんのよ》


リクライニングチェアーでのんびりしているばあばと。

「実は私は匂いはほとんど分からんのよね残念ながら金木犀の芳しい香りも知らんのよ、オレンジ色の可愛い花を見たら金木犀が咲いとんは分かるけど、その香りは人から聞くのみよ」

「あ母さん、何の匂いなら分かるんじゃろか」

「私はおでんのカラシの匂いは分かるんよ、あのつんとした匂いぐらいかなー、嗅覚が弱いけん本当に残念なんよ、想像するのみじゃね

母にはあの金木犀の芳しい香りも、焼肉の食欲をそそる匂いも分からないようです。その分感性が鋭いのかも知れません


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【ばあばの俳句】


団欒の焼肉うまし冬ぬくき


母の好物は肉料理です。食卓にお肉があるとご機嫌です。今日は仲良く焼け具合を確かめながら焼肉を楽しむ親子を詠みました。焼き肉は家族の団欒にはもってこいですよね。

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焼き具合は人様々、ミディアムかウエルダンかレアか焼き担当は、気を使います。ちなみに母も私も良く焼いているのが好きです。「これキープ」「次は私」なんて会話も弾みますよね。


最後までお読みいただいてありがとうございました。
たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。
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私のアルバムの中の写真から

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また明日お会いしましょう。💗

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