コラム19 訪問看護ステーションにおけるセラピストと看護師さんの連携のためにすべきこと2
このコラムは「コラム18」「コラム20」とセットでお読みいただくと理解が深まります。
コラム18 訪問看護ステーションにおけるセラピストと看護師さんの連携のためにすべきこと1
コラム20 訪問看護ステーションにおけるセラピストと看護師さんの連携のためにすべきこと3
==ここからコラム本文====
訪問看護ステーションに必ずいる職種といえば看護師さん。
じゃあその看護師さん達は事業所内にいる「理学療法士と作業療法士の役割の違い」をきちんと理解しているでしょうか?
もしくは事業所内にいる理学療法士さんや作業療法士さん達は自分たちの職業としての役割の違いをきちんと同僚である看護師さん達に説明しているでしょうか?
言語聴覚士さんの役割はなんとなく理解してもらえていても、理学療法士と作業療法士の違いは一体何なん?って看護師さんは多いのではないでしょうか
ケアマネジャーさんたちの中には
「PTとOTの違いなんてどうでもよくて、リハビリテーションやってくれるならどっちでも構わない!」
って人もいます。
また訪問看護ステーションなどリハの人員が十分ではない事業所の場合、
「PTとOTには違いがあるのかもしれないけれども、人手が足りないので、違いがどうこうよりも空いている枠のあるセラピストに行ってもらわないと・・・」
って感じの管理者さんいるでしょうし、働いているセラピストも理学療法士と作業療法士の違いをうやむやにしたいから
「PTとOTの違いはありますが、担当しているのは私だけなので、どっちがどうではなくてリハビリテーションとしてきちんとサービスを提供します」
って言うセラピストもいるでしょう。それらのことは事実なので私も否定しません。
スタッフがたくさんいる病院リハの現場ではPT/OT/STが同時に一人の患者さんを担当して役割分担することが可能です。だけど、スタッフが少数の訪問看護ステーションにおいては役割分担をすることが困難で、PTやOTどちらか一方しか担当できないこともあります。そのことは現場で働く私も理解しています。
そんなことを前提としても、作業療法士の私からすれば「理学療法士と作業療法士に役割の違いはある」と思うのです。
たまたま、PTさんにもOTさんにも空き枠がある状態で新規の依頼があった場合、どちらに担当してもらえばよいのかという状況になったら、「理学療法士と作業療法士の違い」を理解している方がより良い選択ができると思います。
そうして、そのような場合に備えて事業所内の理学療法士や作業療法士は自分たちのアイデンティティというか、職業マインドみたいなものをきちんと事業所内で看護師さん達と共有しておく方が良いと思うのです。
私は作業療法士なので、作業療法士には作業療法士らしさを発揮できる領域があると常々思っています。
だから作業療法士として、作業療法士の領域は少なくともこの領域が含まれるのですよってことを伝えるように努力している。具体的には以下のようなものがあるので参考にしてほしい。
平成22年に以下のような厚労省の医政局長の通知が出ている。
◆医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について
(PDFが開きます)
この資料によると作業療法士の役割として以下のようなものがあげられている。
2)作業療法の範囲
理学療法士及び作業療法士法第 2 条第 2 項の「作業療法」については、同項の「手芸、工作」という文言から、「医療現場において手工芸を行わせること」といった認識が広がっている。
以下に掲げる業務については、理学療法士及び作業療法士法第 2 条第 1 項の「作業療法」に含まれるものであることから、作業療法士を積極的に活用することが望まれる。
・ 移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動に関するADL訓練
・ 家事、外出等のIADL訓練
・ 作業耐久性の向上、作業手順の習得、就労環境への適応等の職業関連活動の訓練
・ 福祉用具の使用等に関する訓練
・ 退院後の住環境への適応訓練
・ 発達障害や高次脳機能障害等に対するリハビリテーション
ちなみに法律的には以下のようになっています。
◆PT・OT法(厚労省のサイトに移動します)
上記のリンク先の引用です。
第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
2 この法律で「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。
この法律の記載があるから、医政局長の通知では「手芸工作だけが作業療法士の役割じゃないんですよ」ってことを知らせてくれているのです。
ちなみに法的には作業療法士はマッサージをすることは出来ません。理学療法士さんはマッサージって書いてあるけどね。
私は作業療法士なので、作業療法士としての役割について書いてみました。
生活期領域の支援では、作業療法士が向いていると思っています。
次のコラムでは
厚労省も強く打ち出している「活動と参加へのアプローチ」のことと私がいつもnoteに書いている「触らないリハビリテーション」のことについて書いてみますのでお楽しみにね!
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