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【2023.8.30.】リハの指示を出す医師とリハの紹介状を書く医師の要件のこと

2024年同時改定と2030年同時改定に向けて、めちゃくちゃ大事なことなのでこのコラムは無料開放しておきます。

昨日と一昨日のコラムの続き的なことですが、指示書を書く医師のことですね。

とくにね、訪問リハ事業所と訪問看護ステーションのリハの指示書の違いについてわかっていない管理者さんやセラピストは多くいるでしょう。だから僕が危惧していることはきっと伝わっていないかもしれない。だから指示書のことをもう少し詳しく書いてみる。

このコラムでは病院や診療補からのリハを訪問リハ、訪問看護からのリハを訪看リハと区別して表記しています。

介護保険領域での医師の指示書のこと

通所リハ、訪問リハ、訪看リハのいずれにも医師の指示書は必要です。

そのうえで、通所リハと訪問リハの指示には以下の要件があります。

しかし、訪看リハには指示書の記載に当たって上記のような要件は必要ありません。訪看リハの指示書の要件は以下のようなものだけ。

上記の図は訪問看護の指示書の様式の抜粋ですが、訪看リハに対しての指示書への記載は「時間と回数」のみで、通所リハや訪問リハのような「リハの目的や、いずれか1以上の指示を行うこと」のような要件はないのです。

そうして、訪問リハ事業所が行う訪問リハにあたっては一昨日のコラムにも書いたように次のような要件があります。

訪看リハの指示書は、医師であればだれでも記載することができます。

でも、訪問リハ事業所の指示書については、基本的には病院や診療所や老健の医師が、同じ事業所のセラピストにしか指示書を書くことができません。

病院や診療所の場合、リハの必要な患者さんがそこに通っていれば何の問題もありません。
でも図の右側のケースのように、かかりつけ医がまったく別の医師の場合は、訪問リハを行っている事業所の医師にかかりつけ医が「情報提供」をおこない、訪問リハ事業所の医師が指示書を書くという事になります。

ここで2024年同時改定以降問題になってくるのは、訪問リハの指示書を書く医師ではなく、情報を提供するだけの「かかりつけ医」に対して「適切な研修を修了していること」という要件があることです。

実はこれ以前からついている要件なのですが、2024年3月まで猶予されています。

リハビリが必要と判断して、訪問リハ事業を行っている事業所(病院や診療所等)に情報提供・紹介状を書く側の医師に要件があるんですよね。

訪問リハ事業を行っている病院や診療所ではけっこう話題になっていることなのですが、おそらく訪問看護ステーションでリハを実践しているセラピストや管理者さんでもこのことをご存じない方は多い。

この要件はね

「安易にリハの依頼をするのではなく、普段リハを提供していない医師がリハの必要性を判断するならそれ相応の研修を受けてね」

ってことなんじゃないかと思うのですよね。

訪問リハ事業所さんはこの要件のために、2024年以降は紹介状や情報提供を行う外部の医師は激減すると思います。

じゃあ外部の医師はどこにリハを依頼するのかというと、訪問看護ステーションに依頼をかけることになると思うのですが、そんなにうまく事が運ぶのかどうかという部分が疑問なのです。

だって訪問看護ステーションのリハは看護の一環とはいえリハビリテーションなのには間違いないところ。そうなってくると、訪問リハ事業所にたいして紹介状や情報提供するという医師の要件「適切な研修を修了していること」っていう部分は、訪看リハには必要ないのでしょうか?

紹介や情報提供ではなく指示を書くわけですよね。それなのに誰でもいいっておかしな話ですよね。訪問リハ事業所に紹介状を書くのに研修を受けておく必要があるのに、もっと重要な指示書を書くにあたって訪看リハなら医師であればOKってなんだか矛盾していますよね。

だってぶっちゃけて言うと、訪問リハも訪看リハも同じでしょう。かかりつけ医に対して、訪問リハの紹介状を書くなら研修受ける必要があるのに、訪看リハに指示書を書くのは研修受ける必要がないっておかしな話ですよね。全く整合性が取れない。

だから、2030年の同時改定ごろには、訪問看護ステーションに訪看リハの依頼をかけるなら「適切な研修を修了していること」という要件が入ってくるんじゃないのかなという事を書いたのが、2023年8月28日のコラムなのですよ。

だからこそ、訪看リハ事業所は今のうちからきちんと医師と連携を重ねて、2030年までにはどこの事業所の医師が適切な研修を修了しているのかという事を把握しておかなくてはならないし、訪問リハ事業所の医師などと連携を深めておくことが必須になると考えています。そのことを書いたのが、昨日のコラムです。

介護保険料期のリハビリテーションに関わる事業所のセラピストさんや管理者さんに2030年に向けて「指示書」の重要性をご理解いただければ幸いです。

このコラムについてのご意見やお問い合わせはお気軽に。

やまだリハビリテーション研究所
作業療法士
山田 剛

#やまだリハビリテーション研究所

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「生活期リハの視点で病院リハと地域リハをつなぐ・変える」を主要テーマとして、大阪の作業療法士のやまだ…

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